対談後編スタート

前回の対談では、結婚、セクハラや#MeTooなどについて、読者の質問に答えた上野千鶴子さんと池田エライザさん。

後編のスタートである今回は、「これって女だから?」なモヤモヤはいつまで続くの?な話題について真剣に
トークしていただきました!

対談してくれたのはこのお二人。

仕事とお金のこと

エライザ 上野さん、女性差別って、あとどのぐらいでなくなると思いますか?

千鶴子 これまで数千年以上続いてきたから、数百年じゃ変わらないんじゃないかな。私の目の黒いうちには、なくならな
い。昔よりはよくなってるけど根が深いから。

エライザ まだまだ先ですね…。

千鶴子 最近、私の講演を聞いた高校生の女の子に「これから出ていく社会が真っ暗なんだとわかりました」と言われて、あれは悲しかったな。

エライザ 仕事やお給料の低さで悩み、一人で生きていく未来図が描けず、将来が不安という女の子は多いかもしれませんね。

千鶴子 日本は「女は経済的には男を頼って、年収103万円とか130万円以下の仕事で家計を助けなさい」というやり方を続けてきてしまった。今や働く女性の10人に6人が非正規雇用に。非正規雇用の平均年収200万円だと、地方や親元ならともかく、都内で家賃を払って自活できない。女性が食っていけるようになることは、今も残る課題。でもねエライザさん、変化はしてきてる。この変化は、勝手に変わったんじゃなくて誰かが変えてきたことなの。例えば『私をスキーに連れてって』なんて男に頼まなくても、行きたいところに自分で行くようになったもの。それに昔は、女の人がお茶汲みするのが当たり前だった。会社のおっさんが、「女性がいれたお茶はうまいなぁ」とか言ってね。それに対して、「なんで私がやらなきゃいけないんですか?」って、最初に抵抗した女がいた。それに、私も!私も!という声が続いた。

エライザ みんなでやるのが大事ですね。もうすぐ姪っ子が生まれるんですけど、その子が将来もっと図々しく、図太く、厚かましく生きられる社会にしたいです。

千鶴子 若い世代には、自信を持って開き直って生きてほしいな。女性差別が根強い社会では女の子たちの自己評価は低くなりがち。みんな自分が悪いんじゃないかと思って遠慮しちゃう。

エライザ 周りを見ても、謙遜してる子は多いと思う。私っていいじゃんって思えるきっかけをたくさんつくったり、今日みたいに経験者からアドバイスをもらえる企画がもっとできたらいいな。

池田エライザ。ar7月号より
Model:池田エライザ
Photo:Hanamori Yuri
Styling:Ito Makiko
Hair Makeup:Inomata Maiko(TRON)
Text:Osada Anna
Design:Suzuki Satomi (wyeth wyeth)