更新日:2015.10.13 (Tue)
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今月のテーマ「料理と絶望」

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お盆休み、妻が一足先に実家に帰省し、私が息子のために料理をすることになった。

私は料理が好きじゃない。そもそも食べること自体好きじゃない。

と言うとみんな、頭がおかしい、という目で私を見るが、本当だからしょうがない。子供の頃から食事の時間が嫌で嫌で、食事なんて全部錠剤で済めばいいのにと思っていた。

なぜかというと、その時間遊びたいからだ。せっかく楽しく遊んでいるのに、「ごはんよー」と呼びつけられるのが、残念で残念で仕方がなかった。

大人になった今もその点は変わらない。食事なしで生きていけたらどんなに楽しいだろうと思い続けている。

当然、そんな私が料理など好きになるはずがない。

独身時代10年ほどひとり暮らしをしたが、外食がほとんどで、たまに自宅で食事するときは、ごはんだけ炊飯器で炊いて、あとは惣菜を買ってきて食べていた。帰りが遅い日など、スーパーが閉まっていたら、あらかじめ蓄えておいたツナ缶を食べた。

ごくごくまれに、誰かがうちに来るとか、休日に何も用事がなく雨で出かける気もしないときとか、料理を作ったことがあるにはある。

そういうときのメニューはカレー。カレーなら簡単だから、一度にたくさん作って何日もそれを食べた。

そんな私であるから、このたび妻が帰省して息子とともに取り残されるにあたり、食事をどうしたものか頭を抱えた。外食ばかりもしていられないし、料理のできない父の姿を息子に見せたくない。

まあカレーなら作れるわけだが、それは最後の手段にとっておき、まずは冷蔵庫を確認すると、ゴーヤ、ナス、じゃがいも、トマト、たまねぎ、万能ねぎに、豆腐と卵とステーキ用の豚肉があった。とくにたくさんあったのが、ゴーヤ、ナス、じゃがいも、卵。これはゴーヤチャンプルーを作れというお告げだと考えた。もちろん作ったことなどないけども。

ところが、ゴーヤ嫌いの息子は、それだけは勘弁してくれという。

ではカレーにするかと、即、最後の手段に変更しそうになったのだが、ステーキ用の豚肉をカレーにするのは惜しい。野菜カレーはどうか、というとこれも嫌だという。じゃあ、何が食べたいのか言ってみろ、と聞けば、ガーリックライスが食べたいとのこと。全然材料とかみあってない。

ガーリックライスは後で考える。

まずは大量にあるゴーヤをどう処分するか。チャンプルーがだめなら、チップスを作ることにしよう。薄めにスライスして、塩で揉んで水に浸してアクを抜く。それを油で揚げれば終わり。なんだ簡単じゃないか。

そうしてできたのがゴーヤの焼死体風チップスである。

見た目は悪いけれども、味のほうはもっとひどかった。ゴーヤの風味は消え、コゲた味に強烈な苦味だけが残っていた。アク抜きしたのに謎である。

気を取り直し、今度は油の温度を少し下げてやってみると、少しましなゴーヤの大火傷風チップスができたので、これを息子に食わしてみると、ぺっぺっぺ、とのことだった。

だんだん慣れてきたところで次にポテトチップスを揚げてみると、これがうまくいって、ようやく息子の信頼を得、さらに肝心の夕食は豚カツと、レタスを買ってきて、トマトを切ってうさぎサラダにして無難に済ませる。うさぎが好きそうなサラダという意味だ。

1日目はこれで乗り切り、2日目にはナスと挽肉炒めを作り、もちろん味付けは市販の即席調味料だけども、それなりの食事になり、半熟卵が食べたいという息子に卵をゆでてやろうとすると、沸騰したお湯の中に落とした卵が割れて大惨事になった。

豆腐は冷奴で食べ、ガーリックライスは、にんにく買って挑戦したら、にんにくチャーハンができ、何かが違う気がしたが息子は食ってくれた。

ともあれ、あれやこれやで人生で初めて5日間連続で料理したのである。

そうして感じたことは、主婦はこれを一生やり続けるという事実の恐ろしさだ。ものすごい牢獄感。マリッジブルーの正体はこれじゃないのか。

会社勤めを始めたとき、これから40年間ずっと通勤し続けるのかと思った、あの絶望と同じものを感じた。

男も女も人生は大変である。仕事と家事はときどき交代しないと無理だ。

できれば結婚も2人じゃなくて、4人ぐらいでし、2人が稼いで2人が家事をして、さらに全体でときどきシャッフルするのがいいと思う。 

miyatasannrennsai

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