更新日:2015.09.03 (Thu)
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「みんなは知らない」大作戦

2015_10miyatasannrennsai

かつて勤めていた会社の後輩やら、仕事で知り合った編集者やらイラストレーターなどの女性から、誰かいい人いませんか、と聞かれることがある。

私に相談したところで、特別に独身男子をたくさん知っているわけでもなく、お役にたてなくて申し訳ない。

まあ、半分自嘲ネタとして言ってるんだとは思うけど、昔の自分を思い出してみても、彼女のできないときはまったく八方ふさがりで、見つからない気がして、暗澹たる気持ちになったものだ。

友だちに頼んで合コンしてみても、メガネにかなう異性はやって来ず、それはたぶんむこうも同じで、目の前に並んだ冴えない男たちを見て大いに落胆していたにちがいない。

調べたわけではないが、合コンで彼氏彼女ができる確率は、ものすごく低いのではあるまいか。

私は思うのだが、恋人ができるときは、思い込みとか妥協とか勘違いとかその場の衝動とか、もう理屈では説明できない、原因不明の化学作用によってできるのであって、お互いの条件をすり合わせていたらいつまでたっても恋人なんて見つからない。

理想通りの異性などまずいないからだ。

何かで出会ってそれがだんだん恋に発展していったというときも、第一印象はあまり覚えていないとか、パッとしなかったとか、眼中になかったということが多いのであって、おおむね未来の恋人は理想を下回って登場するものである。

合コンでやってきた冴えない相手も、クラスメイトや会社の同僚だったらどうなっていたかわからない。

絶対ない、と言うかもしれないが、案外そうでもないと思う。

きっと大事なのは、いっしょに何かを共有した記憶なのだ。それがあるとないとでは、相手に対する好感度も全然違ってくる。

見た目もパッとしないし、性格もタイプじゃないけど、あのときは頼りになったとか、がんばってる姿を見たとか、声かけてくれてうれしかったとか、そういう記憶が互いの目を節穴にしたり思い出を美化したりして、おかしな具合に盛り上がっていくのである。

なかでも最強の記憶は、ふたりだけの秘密というやつだろう。

たまたま偶然ふたりだけの時間、空間ができたりすると、妙に相手を意識したりして、

あれ? なんか……あれ?

って気持ちになることもままある。

もちろんならないこともあるけれども、その後うまくいく確率としては合コンより高い気がしないだろうか。

みんなは知らない、というシチュエーションほど異性を意識するものはなく、そのへんから誤解やら錯覚で盛り上がっていくのが、もっとも順当な恋人獲得法ではないかと私は思う。

かつて私がサラリーマンだった頃、会社の同僚がよく内線電話でデートの約束をしていた。まわりはみんな仕事の電話をかけまくっていたから、わからないと思ったのだろう。実はバレバレだったけれども、本人たちは自分たちだけの秘密ってことで、実に盛り上がっていた。

そこまでいけば、もう理想の条件など気にならない。「みんなは知らない」が燃料となって、どこまでも燃えあがっていける。

だとすれば、恋人を作るには、まず一対一で知り合うより、大勢のなかで知り合うことが重要である。そうしないと「みんなは知らない」状況が起こらない。

だから、もし私が恋人探し中の女性にアドバイスするなら、まずは大人数の中に飛び込め、ということかもしれない。会社にいい人がいないのなら、外で何かに参加する。月並みだけど結局趣味の同好会みたいなものが一番いいんじゃないか。

ただし、最初からそこでいい人を探そうとしても見つからないだろう。いい人はまだパッとしない姿で埋もれている。これからともに行動するなかで、記憶がゆっくりと意中の人を醸造するのだ。はじめは眼中になかった誰かがだんだん浮上してくる。

そしてあるとき、

「あれ、みんなは?」

「もう先に行っちゃったみたい」

「そうなの? え、じゃあ残ってるのおれたちだけ?」

「そうみたい」

そこからである。

ここまでくれば次は「意外な一面」という第二の燃料を投下したいところだ。

あとは野となれ山となれ。

miyatasannrennsai

 

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