おタク男子が世のおフェロ女子に物申す!
読者の乙女なお悩みに、バンドマンおタク男子の彼が思いもよらない変化球で答えます。

恋も仕事もおしゃれも夢も。人生に迷ったらあの人に相談してみよう!


答えてくれるのは、ロックバンド・オワリカラのタカハシヒョウリさん。


↑音楽家時のタカハシさん (c)勝永裕介

特撮おタク時のタカハシさん


今回はミュージシャンにミーハーな疑問を直撃!

Q 恋愛ソングって実体験からできてるんですか?

ミュージシャンの人ってやっぱり、自分の恋愛経験を赤裸々に曲にしたりするんですか? だって「バンドマンと付き合うとお前の歌ができるぞ」とかって言うじゃないですか(笑)。(うさ子さん・29歳)

「あー。これはね、そんなことはないです!

ーあら、きっぱり。そうなんですか?

「だってそうだとしたら、たとえば桑田佳祐さんとか、どんだけ恋愛してんだよって話になるでしょ。実体験から生まれてくる部分ももちろんあると思うけど、実体験からしかモノをつくれない人というのは、ある意味才能ないんですよ

ーうわお。

ウソでもホント以上のものを作れる人が、すごい人だと思うんですよ。”俺は実体験の恋愛ソングしか書かない!”っていうミュージシャンももちろんいるし、そういう人のつくるものはやっぱり説得力とか生々しさがあるんだけど、それは一流の人ではないと思います。プロの力っていうのは、自分じゃなくて誰かの物語としてストーリーを頭の中で展開して、それを説得力ある作品に仕上げられることだと思うんですよ」

ーなるほど…それって、自分じゃない誰かのいろんなケースを本とか映画とかから知って、そのライブラリが頭の中にたくさんある、ってことですか?

「それもあると思う。映画監督の黒澤明は、”天才は記憶力のいい人だ”ってはっきり言ってるんですよ。天才ってなにも発想力が優れているんじゃなくて、自分の中にあるいろんな記憶の蓄積を、必要な場面ですぐ取り出せる人のことだって」

ーへぇ〜!

「これも引用ですけど、山下達郎さんは”魂の叫びでは20曲しか書けない”みたいなことを言ってて。訴えたいことを土台にした音楽ってやっぱり迫力があるんだけど、それではせいぜい20曲くらいしかつくれない。で、20曲では食っていけないんだと。魂の叫びとそうじゃない曲と、両方のクオリティが同じくらい高くないとダメで、それでも人の心を打つものを作れて初めてプロ、ってことでしょうね」

ーうわぁ。プロってすごいんだ…。

「似たような話で、どんな人でも1本はめちゃくちゃ面白い小説が書ける、っていう説があって。その人の人生を凝縮して文章にしたら、それは絶対面白いんですよ。でもその1本だけでは、プロの小説家ではないでしょ」

ーたしかに。

「だから恋愛ソングに限らずですけど、実体験じゃないものでもたくさんの人の心を打てる作品は、やっぱりパワーがあるんですよね。その中で実体験を隠し味みたいに少しちりばめられると、それで説得力がぐっとアップする気がしますね」

ーなるほど〜…! あの、これって女子あるあるかもしれないですけど、失恋した時にたまたまよく聴いてた曲とか、その頃ラジオでよく掛ってた曲とか、後々になって『この曲聴くと失恋を思い出してつらいから聴きたくないな』ってことがけっこうあるんですけど。そういうつらさって、生み出す側の方でもあるんですか?

「あー、たとえば本当に失恋した時に生まれた失恋ソングとか?」

ーはい。あんまり演奏したくなかったりしますか?

「いや、それはないんじゃないかな。むしろそうなれる曲ってすごい曲じゃないですか。そうやって自分の記憶まで呼び覚ますような曲を作れたってことだから、ミュージシャンなら逆に嬉しいことなんじゃない?」

ーへぇ! カタルシス的な。

「やっぱミュージシャンってちょっとイカれた職業っていうか、そこんところ普通じゃないと思うんですよね。つらくなるからこの曲できないや、っていう人はあんまいないと思うし、もしいたとしたら、それは頭のネジの外れ方が足りない説すらあるね」

ーははは! 表現者ってスゴいんだなー。

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