いち髪リニューアル記念『いち髪いち恋』プレゼントキャンペーン結果発表!
今年で誕生16周年を迎えたヘアケアブランド『いち髪』。この度、インバスヘアケアシリーズ全面リニューアルを記念してプレゼントキャンペーンを実施。『いち髪 いち恋』と題して、【あなたが恋していること】をテーマにエピソードを募集。(たくさんのご応募をありがとうございました♡)
”ar編集部賞”の特典は、小説家・カツセマサヒコさんが選ばれた恋エピソードを小説化するというもの! 実話から生まれたカツセさんの素敵な恋愛小説をご堪能あれ♡
エピソード原文はコチラ♡
私が恋している人は歳が6つ上の先輩です。私は保育学校に通っていて、今2年生です。その先輩のことを好きになったのは1年生の時に行われた体育祭で副団長を勤めていた先輩を見てかっこいい…といわば一目惚れのようなものでした。体育祭が終わるとSNSを通じて何も関わりがなかったにも関わらず2年生の今ご飯に行けることもできるようになりました。初めてご飯に行ったのはもんじゃ焼き、地元が一緒なことを知り電車で途中まで一緒に帰って一人になった時自分の髪にもんじゃ焼きが付いていることに気がつきました。ああやってしまった、、と思いましたがそれも思い出です。
カツセマサヒコ オリジナルストーリー「初恋は洗い流せない」
鏡を見るまで、気付かなかった。
夢見心地とは、あのことを言うのだ。
月島駅のホームで先輩と別れてから、八駅ぶん乗った電車も、そこから家までの道も、わたしの頭の中は、先輩のことで埋め尽くされていた。
一緒にいる間は緊張し過ぎて、何を喋ったのかもうろ覚えだ。やっと飲めるようになったお酒も、初めて食べたもんじゃ焼きも、先輩を前にしたら何の味もしなかった。そんなに緊張していると思われたくなくて、ただ沈黙を埋めようと必死だった。
そんなわたしと違って、先輩にはちゃんと余裕があって、やっぱり格好良かった。ご飯を食べている間も、わたしのどうでもいい話をちゃんと聞いてくれて、先輩が返すリアクションはちゃんと面白くて、ずっとずっと楽しかった。面白いことを言った後、自分でも少し笑うその笑顔がたまらなく可愛くて、一生見ていたいと本気で思った。
幸せだ。と思った直後、先輩はわたしを、そんなふうに見てくれているだろうかと、不安に駆られた。そんな気持ちになったのは、生まれて初めてだった。
玄関の鏡に映ったわたしの顔は、完全に浮かれていた。締まりがなく、ヘラヘラと幸せそうだ。お酒が入っているせいもあるけれど、頬はやんわりと赤く、それがまた恋をしている女の表情そのものに見えた。
ずっと、こんな顔をしていたのかなあ。
なんだか恥ずかしくなって、鏡に顔を近づける。間の抜けた顔だ。でも、やっぱり幸せそう。
照れ臭くなって、前髪を右手で押さえる。眉毛の下まで前髪が降りて、それだけで少し、印象が変わった。
そこで初めて、違和感に気付いた。自分の前髪に、何か付いている。
(……これ、もんじゃ焼きじゃない?)
眉毛にかかる髪の先に、茶色い物体が確かにくっついている。見れば見るほど、もんじゃ焼きであることが揺るぎなくなってくる。
「え、なんで?」
思わず声が出た。いつから? このもんじゃはいつから、わたしの前髪を住処にしていた? わたしはずっと、もんじゃを前髪に付けながら、笑っていたってこと?
あまりに残念すぎて、ため息が漏れ出た。
「最悪じゃん」
楽しかったデートが、全部恥ずかしい思い出に変わってしまう。先輩はわたしのこと、おっちょこちょいで、間抜けな女と思ったに違いない。
時間を巻き戻したくて仕方なくなった。かわいい女の子でいたかったのに、このワンポイントのもんじゃで、全部がだめになってしまう。
ベッドに倒れ込みたい気持ちはありつつ、布団にもんじゃが付くのは避けなければならない。浴槽にお湯を張りに行って、そのまま服を脱いだ。途中、洋服からももんじゃ焼きの油の匂いがして、その匂いでまた、先輩の笑顔や、真剣にもんじゃ焼きを作る顔を思い出す。
一目惚れなんて、初めてだった。
出会ったのは去年のことだ。スポーツ大会の副団長としてみんなを盛り上げている先輩の姿を見て、わたしの心は、ボールみたく弾んだ。重たいはずのボールがポンと跳ねて、身体中を揺らした。何事かと思った。体調が悪くなったとか、そういう心配すらしかけた。それが実は恋なのだと気付くと、慌てて、恥ずかしくなって、でも、とびきり嬉しく、切なくなった。
あの人と、仲良くなりたい。
人を勇気づけて、元気にさせて、笑顔にさせる。そんな先輩に、心底惚れ込んだのだった。
そこからのわたしの行動力は、今振り返ってもおかしかった。関わりが何もなかった先輩に対して、あらゆるツテとSNSをたどって、連絡先を手に入れる。そこから辛抱強く駆け引きを続けて、いよいよ今夜、二人で食事にまで行けたのだ。デートなんて呼ぶにはおこがましい。けれど、間違いなく、わたしにとっての大きな一歩だった。本当に楽しかったし、先輩は二人きりになっても、やっぱり素敵だった。嬉しかった。
なのに、きっと先輩はわたしのこと、ただ間抜けで慌ただしい後輩としか見ていないんだろうな。シャンプーを洗い流すと、前髪からもんじゃ焼きがきれいに取れていく。柔らかい香りが広がって、油臭かった思い出が、排水溝に溶けていく。
先輩も、そろそろ家に着いたかな。
無数の水流を身体に受けながら、あの笑顔を思い浮かべてみる。お礼のメッセージを考えていたけれど、何度打っても長くなるから、諦めていた。お風呂から上がったら、じっくり考えてみよう。
そう思って、脱衣所に出たタイミングだった。
部屋着の上に置いたスマートフォンが震えた。まさかと思って画面を覗くと、先輩の名前が表示されている。
「今日、すごく楽しかった。でも、帰ったら肘のとこにもんじゃ焼きが付いててさ、ダサすぎて笑っちゃった。こんなんでも良かったら、またどっか行きたいです」
思わず、目を瞑った。意識を強く持たないと、頭の先からとろとろと溶けていってしまいそうだった。口元が緩んだ。そこから、幸せが溢れ出していく気がした。
これが、恋か。
洗いたての髪を乾かしながら、踊る心を噛み締める。
その甘い匂いに、いつまでも包まれていたいと思った。
カツセマサヒコ
1986年東京生まれ。2020年刊行の『明け方の若者たち』(幻冬舎)で小説家デビュー。同作は累計14万部を超える話題作となり、翌年に映画化。2作目となる人気ロックバンド indigo la Endとのコラボレーション小説『夜行秘密』(双葉社)も大きな反響を呼んだ。現在はファッション誌や文芸誌の連載を中心に、『NIGHT DIVER』(TOKYO FM 毎週木曜28:00~)のラジオパーソナリティとしても活動中。
ar編集長特別賞もご紹介♡
ちなみに、ar編集長が選んだエピソードはコチラ!
彼氏がいた時は記念日等にプレゼントしてもらっていたけど、シングルになった今は自分の為にお花一本一本を選ぶ時間がとても楽しいです。
お花が長持ちするように丁寧にお世話して、枯れてしまったら悲しいけど、また新しいお花を迎え入れて。恋愛をしている時の気持ちに少し似ているなぁと思いました。
恋って、相手の有無に関わらず一人の時間を大切にすることでもっと素敵になると思うんですよね。今の時間も、これから恋する時間も大切にしてていいなと思った作品です。
『いち髪』のインバスヘアケアシリーズが全面リニューアル!
日本の髪を本質から考える――。(※)『いち髪』のインバスヘアケアシリーズは全面リニューアルして発売中。
(※)日本の風土や気候などの環境に合わせたヘアケアを研究しています。
ブランド独自の補修&予防成分『純・和草プレミアムエキス』に『明日葉エキス』を新配合し、しなやかさを強化。動きさえも美しい、“ほどきたくなる絹髪へ”。また、愛され続ける『いち髪』の香りは、日本中が待ちわびる”桜が花開く瞬間”に着目した香りです!
髪が美しくなることで、自分らしい美しさを引き出し、内側から輝く凛とした女性へ…。
新しくなったいち髪に注目♡
新ライン”カラーケア&ベーストリートメント”がデビュー!
カラーした髪色が美しく見えない理由は褪色だけではなく、ダメージも原因だった! 色落ちを防ぐのはもちろんのこと、カラー等によるダメージの補修と、ベースづくりまでできるいち髪ならではのカラーケア。浮き毛やパサつきダメージをケアして次のカラーまで美しい髪色に。透きとおる檸檬花(れもんか)と優雅な桜の香り。自信をもってカラーを楽しめる毎日に。
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(W*:髪と地肌)
新しい恋を「いち髪」で咲かせませんか?
カツセマサヒコさんの手がけた「恋エピソード」にキュンときた人も多いはず! ぜひ「いち髪」で髪から美を磨いて新しい恋にチャレンジしてみませんか? arはみなさんの恋心を心から応援しています!