僕のあまのじゃく#65
ティモンディ前田裕太さんの人気コラム【前田裕太の乙女心、受け止めます!】がリニューアル。
ガラリと雰囲気を変えて、毎週変わるお題に沿って、前田さんに自由に言葉を紡いていただくフリースタイルエッセイ【僕のあまのじゃく】をお楽しみください♡
前田裕太(まえだ・ゆうた)
PROFILE:1992年8月25日、神奈川出身。グレープカンパニー所属のお笑い芸人ティモンディのツッコミ、ネタ作り担当。愛媛県の済美高校野球部に所属した同級生・高岸宏行が相方で、2015年1月に結成。2人の野球経験を活かした『ティモンディベースボールTV』の登録者数は23万超え。ar web連載『僕のあまのじゃく』では、フリースタイルエッセイを毎週お届け中。
テーマ:スポットライト
私たちは傷ついてばかりだ。
人生七転び八起きというけれど、転ぶたびに膝は擦り剥けて血は流れるし、時折立ち上がるのも嫌になる時がある。
けれど世の中は、立ち上がって歩いてナンボじゃ、と前に進むのを善として、横たわっていることを怠惰だと見做す風潮がある。
進んでいることが、偉いことだと言わんばかりだ。
なんて傲慢な奴らなのだろう。
歩き続ける努力もすごい。
けれど、休むという選択をするのも、勇気がいるんだぞ、と思う。
どうせ人間100年そこらで死ぬんだから、ちょっとだけ多く努力したって、ちょっとだけ多く休んだって、その100年の人生が劇的に変わる訳ではない。
そのちょっとの積み重ねが大事なんだよ、と口にする愚か者がいるかもしれないけれど、それはあくまでも無理のない範囲で行うものであって、限界を超えたもう一歩分を努力しなければならないものではない。
普段、我々が生活している中で、スポットライトはあたらない。
努力して当たり前、人が当然やることは当然にできなければならないし、やったとて褒められることはない。
大人になって、みんなどんどん褒められることは少なくなっているだろう。
普段、そんなスポットライトが当たらない日々を送っているのに、何かミスをしたり、迷惑をかけてしまったり、休もうとした時だけ、スポットライトが当たる。
悪い時だけ、スポットライトを当てる人間は一体なんなのだろうか。
SNSに跋扈している、何か悪いことがあった時に、個人に対して攻撃の姿勢を見せる人間は、果たして、良い行いを目にした時は、同じような熱量で賞賛をしているのだろうか。
私は、往々にして否であると思う。
学校の時も、ルールは守らなければいけないと教育され、ルールを守っている状態では特に何か言われることはなかった。
けれど、違反をした時にだけ、罰則が用意されている。
そんな幼少期を育ってきて、いまだにそれが当たり前だと思っている人が多いのだろう。
なんて生きにくい時代になってしまったのだろうか。
他人に迷惑をかけないように、という言葉があるけれど、人間生きていたら、他人に迷惑をかけずに生活するなんて不可能なのに。
インドでは「あなたは、人に迷惑をかけて生きるのだから、人のことも許してあげなさい」と教えるらしい。
人によって価値観は様々あるけれど、私はこの考え方の方が格段に生きやすくなると思う。
今からでも教職員をインド人に変えれないだろうか。
無理か。
何はともあれ、ミスをした時にだけスポットライトが当たる世の中には変わりない。
そんな浮世をサバイブしていくには、何か良い事をしたり、他の人にとっては当たり前だとしても自分には褒められるようなことを成し遂げた場合、自分自身が自分にスポットライトを当てて、自分が自分を賞賛してあげるしかない。
はたから見れば、何をその程度で自分を褒めているんだ、と思われるかもしれないけれど、そうでもしなければ、誰もスポットライトを当ててくれることなんてないんだから。
遅刻せず出勤できた、でも十分に賞賛に値される行為だと思うし、本来は、会社の朝礼で、一回まずは出勤できた皆に拍手!という時間を設けてもいいと思う。
それくらいする必要があるように、誰かを褒め流、褒められる、ということが大人になると希薄になってしまっている。
今日は休みます、といった時にも「休みます、と言いにくいのに伝えた勇気は凄い!」と褒めてあげるのがいい。
とりあえずまずは読者諸兄姉も、ライトの光で日焼けするくらい自分自身に自分でスポットライトを当てて、自身の声の喝采を浴びようではないか。
ー完ー
ティモンディ前田裕太「みなさん、ハロウィンって知ってますか?」【僕のあまのじゃく#64】
ティモンディ・前田裕太「売れても変わらないようにするにはどうすれば?」クレバーすぎる頭のナカ