僕のあまのじゃく#66

ティモンディ前田裕太さんの人気コラム【前田裕太の乙女心、受け止めます!】がリニューアル。

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ガラリと雰囲気を変えて、毎週変わるお題に沿って、前田さんに自由に言葉を紡いていただくフリースタイルエッセイ【僕のあまのじゃく】をお楽しみください♡

テーマ:習慣

仕事、家に帰って作業、ネタを書いて、寝る。
起きて、宿題をして仕事して、執筆して、寝る。
そんな自分にとって当たり前の日々を繰り返し過ごすことに、幸せを感じる方が難しい。

仕事があることはありがたいことなのだけれど、閉塞感を感じてしまう。

これでは、精神衛生上良くない。

メリー・ポピンズも、子供達に向かって、「苦い薬も、ひと匙の砂糖で美味しくなる」といったニュアンスの言葉を言っている。

今の日常が苦い薬な訳でもないし、メリー・ポピンズの子供達のように、部屋の片付けをごねている訳ではないのだけれど、この行き詰まった日常には、ひと匙の砂糖が必要なのだろうと思う。

私はメリー・ポピンズが大好きなので、彼女の言うことには絶対的信頼を寄せている。
あんな強烈メルヘンな格好で子供達の教育係として成立しているのは、言っていることの正当性がなければあり得ないだろう。
なので、時折、劇中での彼女を私自身の教育係として置く時がある。

今回も、彼女の意見を参考にしようと考えたのだ。

では、そのひと匙の砂糖は何にしようか、と考えた時に、とりあえず朝にお茶を淹れるようにした。

なんか、メルヘンでメリー・ポピンズっぽいし。
メリー・ポピンズになりたい訳ではないけれど。

彼女が言うなら間違いはない

読者諸兄姉よ、お茶はいいぞ。

気取った連中が、丁寧な暮らしだとか言っていて、そんな奴らがティータイムなんかをしたりしているのを写真にあげているのを見て
内心、何が丁寧な暮らしだ、他人に見せることを前提とした行為ではないか、と毒づいていたけれど、試しに茶葉を買い、お茶を淹れて飲むことにした。
メリー・ポピンズもお茶淹れて飲んでたし。
好きすぎるな、私。

早速、ほうじ茶だったり緑茶を購入して、光沢のある素敵な茶器を揃え、朝起きてから仕事に行く前に一杯淹れて飲んだ。

すると、なんだか、今まで斜に構えていたから、くだらないと思っていたティータイムが、自分自身が余裕のある紳士であると錯覚できるような時間を過ごすことができたのだ。

朝のティータイムなんて、精神的にも時間的にも余裕のある人しかできないでしょう。

余裕がある訳ではないのに、余裕がある人のするような行動をするだけで、自分もさも余裕があるように思えた。
錯覚なんだろうけれど。

なんだか、それくらいで充実感を覚える自分の単純さが嫌になりそうだったけれど、もしかすると、私はもともと余裕のある人間で、ティータイムがそれを思い出させてくれただけなのかもしれない。

けっと嫌な顔をして見ていた丁寧な暮らしを、もしかしたら、私も実はしていたのかもしれない。
ティータイムは、自分を改めて見ることができる時間なのだ。

そんな幻覚を見るくらい、朝、少しゆっくり茶を飲んでいるという事実は、充実感を私に与えてくれた。

これは、もはやお茶を味わっているのではない。

充実感を味わっている行為なのだ。

なんだか、楽しくなってしまった私は、紅茶も何種類か買うようになり、今は、水出しで瓶に紅茶を淹れたり、マンゴー烏龍茶などの洒落た飲み物を淹れるようにもなった。

1日の始まりが、充実したスタートだと思えれば、気分がいい。

これがまた当たり前になってしまって、充実感も感じられなくなってしまう時が来るのかもしれないけれど、それまでは、このお茶を淹れるという行為を、習慣化していきたいと思う。

丁寧な暮らし、最高!
メリー・ポピンズ、最高!

ー完ー

ティモンディ前田裕太「我々にスポットライトは当たらない」【僕のあまのじゃく#65】

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