僕のあまのじゃく#73
ティモンディ前田裕太さんの人気コラム【前田裕太の乙女心、受け止めます!】がリニューアル。
ガラリと雰囲気を変えて、毎週変わるお題に沿って、前田さんに自由に言葉を紡いていただくフリースタイルエッセイ【僕のあまのじゃく】をお楽しみください♡
前田裕太(まえだ・ゆうた)
PROFILE:1992年8月25日、神奈川出身。グレープカンパニー所属のお笑い芸人ティモンディのツッコミ、ネタ作り担当。愛媛県の済美高校野球部に所属した同級生・高岸宏行が相方で、2015年1月に結成。2人の野球経験を活かした『ティモンディベースボールTV』の登録者数は23万超え。ar web連載『僕のあまのじゃく』では、フリースタイルエッセイを毎週お届け中。
テーマ:新年
読者諸兄姉の皆様、新年明けましておめでとうございます。
喪中の方は、本年も宜しくお願いします。
冬は、クリスマスに年末に年始にと、他の四季に比べるとイベント盛り沢山。
新年は家族で過ごすことが多い。
親に連れられて、よく分からない親戚だかなんだか分からない大人達に挨拶させられた思い出がある。
まあどこの家庭もそんなものなのだろう。
そんな時は、大人達にお年玉を貰えて嬉しかった記憶があるけれど、それと同時に、普段会わない親戚達に囲まれて、箱根駅伝を見なければならなかった。
昔は、箱根駅伝は本当に面白くなかった。
ただ自分よりも大きい人が走っているのをひたすら流す時間。
何も絵変わりもない。
苦しそうに走っている姿を見ていると、幼心ながら、そこまでして走る必要が果たしてあるのだろうか、というも疑問に思っていた。
乗り物という文明の利器があるのに、長距離移動で走る意味がどこにあるのだろうか。
並走している白バイに乗せて貰えばいいのに。
そんな存在意義が分からなかったマラソンも、自分が大学に入ってから、母校という帰属意識ができてからは、スポーツ観戦の観点から、箱根駅伝を楽しく見れるようになった、今年は母校の駒澤大学が優勝。
おめでとう、先輩として鼻が高いよ。
特に私が何をした訳ではないのだけれど。
年齢を重ねると、見るものを感動させてくれる素晴らしいスポーツだという認識になっていった。
ただ、長距離を走るのが苦手な私からすると、マラソンを実際に走る良さ、というものがよく分からない。
完全に見る専門だ。
ダイエット目的であるならばカロリー消費のために、心拍数を上げて辛い思いをするのは分かるけれど、ただ単に走って辛い思いするのは理解できない。
なぜ、辛いのに人は走るのだろう。
ただ、あの村上春樹先生は、ご存知の通り、マラソンがとても好きで、マラソンについて書籍を出すほど。
そんな文学界における大先生が、マラソンについてこう記述している。
「フルマラソンを16回走れば、文体が変わる」と。
本当なのだろうか。
走って文章が変わるか?
そう疑問に思ったけれど、「走ることについて語るときに僕の語ること」という書籍で、ひたすらにマラソンの良さを説いていた。
あの世界的作家が言うのだから、きっと文体が変わるというのも間違いないのだろう。
本職は芸人ながらも、こうやって物書きが好きで仕事の1つとしてコラムを書かせてもらっている身からすると、
自分の執筆力が上がるのであれば、その手段は多少辛いものでも講じたいと思っている。
ただ、それがフルマラソンかあ。
しかも、16回もかあ。
滅入る。
箱根駅伝を見ることすら、大人になって最近ようやく楽しめるようになった程度の男が、
果たして16回もフルマラソンを走ることなんて可能なのだろうか。
いや、可能とかの話なのではない。
きっと、走った者にしか分からない世界があるのだ。
私は頭でっかちで、しんどい思いをすることに意味を見出していないだけで、東京マラソンなど、ただ走るというイベントに多くの人が応募する現実から見ると、人を惹きつける何かがあるのは間違いない。
走る意味は分からないけれど、決めた。
文章力の向上、文体をより魅力的にしていくために、16回とは言わないまでも、まずは今年のうちに、1回はフルマラソンの距離を走ってみたいと思う。
なんだか、他の手段があるような気もするけれど、今年の目標をここに掲げたいと思う。
ー完ー
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