僕のあまのじゃく#86

ティモンディ前田裕太さんの人気コラム【前田裕太の乙女心、受け止めます!】がリニューアル。

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ガラリと雰囲気を変えて、毎週変わるお題に沿って、前田さんに自由に言葉を紡いていただくフリースタイルエッセイ【僕のあまのじゃく】をお楽しみください♡

テーマ:アイドル

この仕事をしているとアイドルという職業はとんでもないな、と思うことが多い。
そもそもアイドルとは”偶像”という意味がある。
本来、神仏などを形作って信仰の対象にしたものを偶像と呼び、崇拝するものをアイドルと呼ぶのだ。
その「僕らのアイドル」「みんなのアイドル」と他人が信仰の対象のように口にしていたものが、今や自ら「私はアイドルです」と名乗るようになった。
なんて恐ろしい。

周囲の評価を自らが口にするなんて、本当に覚悟の必要な行為で、それを堂々と表明している皆を本当に尊敬する。
尊敬する、という意味で、とんでもない職業だなと思う。
腹の括り方が違う。

私のいる業界でいるところの自らを天才と称するものだ。
天才か否かは他者との比較によって他人が決めるものであって「俺は天才コメティアン」だなんて口が裂けても言えない。

私が己を称するならば「凡人芸人」だ。
自己評価の低さが露呈してしまったけれど、その点、アイドルは腹を括って、自らをアイドルと胸を張って言えるそのメンタリティに憧れる。
今仕事で一緒になってきたようなアイドルは、まさに偶像というその語源を体現している姿勢で仕事に取り組んでいた。
見ている人に、本当にこの世に存在するのだろうか、と思うような現実離れしたキラキラを提供しているのには脱帽だ。
何食べたらあんな鱗粉みたいなキラキラ出るんでしょうね。

SnowManの目黒蓮くんとスタジオで一緒になった時は、そのスタイルと容姿を見た時は現実離れしすぎていて、仮想現実のキャラクターかと思うほどだった。
AIが作った幻想なのかも知れない。
それくらい日常では見ることのない美形だった。
横幅は私の二分の一くらいなのに、足の長さは私の倍くらい。
比較するとまるで私が星のカービーのような体型なのではないか、と思うほど四肢がすらっと伸びて、顔もビー玉くらい小さい。
私は人が放つオーラなんて見えないのだけれど、確かに目黒くんの周囲は、キラキラしていた。
金粉でも毎日食べてるんでしょうかね。

まあ、そんなマツケンサンバ並みの輝きを素で放っている目黒くんを前にして、生き物としての高尚さに圧倒されてろくに話もできなかった。
そんな彼らを見ていると「あーあ、俺もあれくらい整った見た目で産まれてきれてばなあ」だなんて言う者も多いだろう。

ただ、羨ましく思うのは自由だけれど、彼に関して言えば持って生まれたものだけではなくて、スタイル維持だったり、歌って踊って、と努力を重ねることで私含め、多くのファンを魅了している。
ほんの少ししか彼のことを知らない私でも、彼のしてきた努力などは透けて感じる事ができる。また、その努力を周囲に誇示ところがプロフェッショナルだ。
あれこそ、言葉通りのアイドル。

表面的な目に見えるものだけで、物事を評価すべきではない。
読者諸兄姉は、急にみんなの崇拝の対象になったら、それに応え切れる自信はあるだろうか。
コメントを求められた時だって、みんなの期待を裏切ることなくコメントしていたし、収録中は綺麗な姿勢は崩さず、猫背でいる瞬間など見ることもなかった。
リアクションだっていちいちカッコいい。
こんなキラキラを求められて、それを提供できるアイドルは恐ろしいよ、本当に。

ジャニーズの方と仕事を一緒になる事があるのだけれど、その眩しさから眩暈を起こすことすらある。
A.B.C-Zの河合さんと仕事でご一緒した事があるけれど、河合さんにも思う事がある。
彼は類まれなるバラエティ勘で、各番組に呼ばれては、芸人顔負けの笑いをとっていくモンスター。
芸能界なんてモンスターばかりの異世界ファンタジーなので、面白いタレントなんて括りだけで見たら、同じように笑いを取っていく人は確かに他にもいる。

河合さん自身も本人のセルフプロデュースで「僕たちはアイドルじゃなくてバラエティ組」みたいなことを現場では言っていたものの、やはりアイドル。
他の面白いタレントとはまた一線を画す。
それは、やはりアイドルだから、ちゃんとキラキラを出しているのだ。
多くの人から声援を浴び、アイドルとして第一線を走っていると、こうも人間が放つエネルギーというのは違うものか、と感心させられる。
彼も毎日金粉を食べているに違いない。

カメラワークと、それに対してカッコいいポーズや視線の向け方なんて、圧巻のアイドルだった。
私も金粉を食べようかな。
バラエティ界でアイドルの活躍の範囲はどんどん増している。
そんな彼らが身体を張って笑いをとっていくのは、本当に勘弁していただきたい。
とはいうものの、身近にキラキラを放つ人がいると、定期的に私もキラキラを現場で摂取する事ができて、精神的にハリが出るのも事実。
これからの彼ら、彼女らアイドルの活躍を身近な場所から楽しませてもらいながらも注視していきたい。

ー完ー

ティモンディ前田裕太「人は一人では生きられない」【僕のあまのじゃく#85】

ティモンディ・前田裕太「売れても変わらないようにするにはどうすれば?」クレバーすぎる頭のナカ