初心者向け美容医療 シミとり編
みなさん、こんにちは!皮膚科医の藤巻あいらです。今回のテーマは「シミとり」です!
「シミとり」で調べると、フォトフェイシャル?レーザー?どっちがよいのかな…と思われる方も多いでしょう。クリニックでもよくされる質問の1つです。
イメージとしては、フォトフェイシャルは「回数かけてでも低リスクで治療を行いたい!」という方に、レーザーは「ダウンタイムは問題ない!とにかくシミを取りたい!」という方にご提案しています。
特にレーザーでは【炎症後色素沈着】といって、治療による炎症をきっかけに、照射した箇所に一時的な色素沈着ができるリスクがありますが、フォトフェイシャルの方が、そのリスクが低いといわれています1)。
今回は初心者さんもチャレンジしやすいフォトフェイシャルに重点を置いて、ご説明していきます!
フォトフェイシャルとは
実はフォトフェイシャルとは、M22などの治療機器で有名なルミナス社(ルミナス・ビー・ジャパン株式会社)の登録商標であり、一般名をIPLといいます。
今回は、分かり易さのためにIPLをフォトフェイシャルと呼び、以下解説していきます。
シミ治療の説明と効果的な症状
突然ですがみなさん、太陽光をイメージしてください。
学生時代に理科の実験で、太陽光をプリズムに通して、光を7つの色に分類するという授業を受けたように、太陽光にはいくつかの種類の光(波長)が含まれています。
太陽光と同じように、美容医療において使う光にも波長があります。シミ(メラニン)に吸収されやすい波長(515nmや532nmなど)、赤み(酸化ヘモグロビン)に吸収されやすい波長(590nm付近)などです。
レーザーの場合…しっかりシミをとるのに効果的!
シミだけに反応させたい場合は、メラニンに強く吸収される波長だけを取り出して、特定の”シミ”というターゲットだけに強く反応させるようにします2)。強い治療であるため、かさぶたが剝がれるまで2週間程度テープをはっていただくこと、炎症後色素沈着の予防のために、治療前後、治療後数カ月の紫外線対策が不可欠です2)。
フォトフェイシャルの場合…シミだけでなく、赤ら顔・ハリにも効果的!
メラニンに吸収される波長だけでなく、赤みに吸収される波長、水に吸収される波長等、色々な波長をカバーしており、シミや赤ら顔以外にも、皮膚のコラーゲンを増やしてハリをださせることなどにも有効な治療です3)。エネルギーは弱いためダウンタイムやリスクも低い一方で、1カ月に1度3~5回ほど、繰り返しの治療が必要となります。
フォトフェイシャルでシミを治療する場合は、メラニンを持つ皮膚細胞に光が吸収され、その熱エネルギーで細胞にダメージを与えます。ダメージを受けた皮膚のターンオーバーによってシミを薄くしていく仕組みです4)。レーザーと異なり、テープは不要でいわゆるダウンタイムの少ない治療ですが、紫外線対策はしっかり行ってください!
ただし!ここで重要なのが「どの種類のシミなのか」ということです。シミといっても色々な種類があり、ぽつぽつとした茶班のそばかすや、小型の丸い茶班である日光黒子に対してはレーザーやフォトフェイシャルが有効な場合が多いです。その一方、皮膚の深いところにメラニンがあるような、灰色や青みがかったタイプのシミには、フォトフェイシャルは効きません。
まずは、自分のシミがどんなタイプかは是非医師の診断を受けてくださいね。
肝斑にフォトフェイシャルはNGですか?
程度にもよりますが、肝斑には、内服や塗り薬、そして紫外線対策のための日焼け止めが最も大切です2)。
その上で、表皮ターンオーバーの促進によって色素を追い出したり、コラーゲン増生により真皮のダメージを改善させることを目的として、弱い設定でフォトフェイシャルを照射することも可能な場合もあります5)。
費用と事例のご紹介
費用はフォトフェイシャル初回 ¥16,500 2回目以降33,000円です。
フォトフェイシャルの副作用(リスク)
照射時、部分的にパチンッとした刺激を感じる方がいます。
照射後、火照りや赤みを感じる方もいらっしゃいます。火照った感じは10分程度で落ち着きます。光に反応した色素沈着部分が、一時的に濃くなることもありますが、時間経過とともに薄くなります。
治療頻度と時期
フォトフェイシャルの頻度は、前述の通り月1回をオススメしています。
時期は日焼けがない時期がオススメです。しっかり日焼け対策を行っていただけるのであれば、夏場もIPLは可能ですが、レーザーに関しては夏場はオススメしていません。
まとめ
シミ治療は【どの種類のシミなのか】を見極めること一番大切です。
ぜひ一度診察を受けてみてくださいね!
1) Wang CC, et al. J Am Acad Dermatol. 2006 May;54(5):804-10.
2) 尾身徳弥,ほか:メスを使わない美容皮膚科治療.あたらしい美容皮膚科学,p189,南山堂,2022
3) Negishi K,et al. Lasers Surg Med. 2002;30(4):298-305.
4)Yamashita T,et al. J Invest Dermatol. 2006 Oct;126(10):2281-6.
5)Yi J, et al.Aesthetic Plast Surg. 2020 Jun;44(3):947-952.