僕のあまのじゃく#103
ティモンディ前田裕太さんの人気コラム【前田裕太の乙女心、受け止めます!】がリニューアル。
ガラリと雰囲気を変えて、毎週変わるお題に沿って、前田さんに自由に言葉を紡いていただくフリースタイルエッセイ【僕のあまのじゃく】をお楽しみください♡
前田裕太(まえだ・ゆうた)
PROFILE:1992年8月25日、神奈川出身。グレープカンパニー所属のお笑い芸人ティモンディのツッコミ、ネタ作り担当。愛媛県の済美高校野球部に所属した同級生・高岸宏行が相方で、2015年1月に結成。2人の野球経験を活かした『ティモンディベースボールTV』の登録者数は23万超え。ar web連載『僕のあまのじゃく』では、フリースタイルエッセイを毎週お届け中。
テーマ:個性
付き合っていた女性が不倫をしていた。
正確には、私と付き合う前から関係を持っていたので、実質私が浮気相手になっていたのだ。
何故、知ってしまったのか書き出すと分量が多くなり話が逸れてしまうので割愛するけれど、まあ相手の脇の甘さから分かってしまったのだ。
以前から節々に違和感を覚えていたので、やっぱりそういう事だったのか、と合点がいったのが正直な感想だった。
知ってしまった以上、すぐ別れるものなんでしょう。
もしも友人が同じ状況なのだとしたら、今すぐ別れるべきだと口にしていただろう。
けれど、私と付き合ってしているのに不倫の関係を継続させてしまっている自分の魅力の無さにも問題があるのではないか、とも考えた。
きっと私に溢れる魅力があれば、そんな関係などすぐに解消しようと思うはずな訳で。
不倫関係を継続しているのはこちら側にも問題がきっとあって、努力をすべきなのではないかと思ったんです。
それにですよ。
個性ってどこまで受容されるべきなのだろうか、とも考えたんです。
どんな人の個性も尊重されるべきだし、受け入れられる社会であるべきだ。
人には色んな心の形があるし、私は私で歪んでいるのに、他人の心の形を何故咎めることができようか。
物はすぐ無くすし甲斐性もなければ男らしさもない私も私で人間性でいえば大概だし。
だから、彼女に問い詰めることができなかった。
「どっちか選べ」だなんて問う以前に、私だけを選択していない現状が、もう選べないという結果を出している訳ですからね。
それに、私と彼女が結婚をしている訳でもないから、他所で恋愛をしていても何も法的に責められるようなことはしていないし。
私だけを選んで欲しければ、もっと私が魅力的になればいい。
私が悪いし、私が変わればいい。
そう思った。
けれど、法律を勉強していた身からしたらすると分かるんですが、不倫って刑法には触れないけれど、民法709条の不法行為に当たるんですよ。
要は学校のいじめや職場の嫌がらせ、ネット上の誹謗中傷と不倫は法律上は同じ。
その観点から見れば、直接私が被害に遭っている訳ではないけれど、不倫はそれらと同じような違法行為をしているのだ。
どんな個性も受け入れられるべきだと思っていたけれど、違法行為は許容すべきではない。
これは良くない。
それを許容しようしていた私も良くない。
そう思い、相手が不倫をしているという事実では好きという気持ちが変わらなかったけれど、別れを告げるに至った。
人の感情は規則や規範で縛られるものではない、と思ってしまい、結局相手に問い詰めることはできなかったけれど。
けれど、受容してはいけない個性もあるのだな、と学ぶことができた良い経験だった。
もう同じような思いをするには二度と御免だけれど。
ー完ー
ティモンディ前田裕太「それぞれの秋」【僕のあまのじゃく"102】
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