ドラマ『いちばんすきな花』第7話を考察！

放送中のドラマ『いちばんすきな花』（フジテレビ系、木曜よる10時～）。誰もが一度は考えたことのあるテーマ”男女の友情”を題材にした本作について、コラムニスト・DJあおいさんに見どころや登場人物の心情について、考察してもらいました。

（こちらもチェック）【ドラマ・いちばんすきな花】『好きな人』と『好きだった人』、嫉妬はどこから消える？ゆくえ（多部未華子）が赤田（仲野太賀）に見せた嫉妬心の理由に納得【DJあおいが考察】

”ごめん”という言葉の代わりに”好き”という言葉を使った理由

今回のテーマは、間違い探しと答え合わせ、でした
夜々（今田美桜）の美容院に来店した女の子が間違い探しの絵本を見て首を傾げる

『どっちが間違いで、どっちが正解なの？』

なるほど確かに、一枚に絵として成立しているのならどちらも間違いではない
好き嫌いはあるかもしれないけど、好きだからといって正解というわけでもないし、嫌いだからといって間違いというわけでもない
正誤と好き嫌いは全くの別問題であり、『間違い探し』ではなく『違い探し』と表現する方がしっくりくるような気がする
今回夜々は椿（松下洸平）にめちゃめちゃ不器用な告白してしまうが『三人とも同じように好き』と暗にフラれてしまう
椿が純恋（臼田あさ美）と婚約解消をするシーンで、椿は”その方が楽だから”という理由で『ごめん』と謝りフッてしまうが、夜々には『ごめん』の代わりに『好き』という言葉を使った

この違いは友情の有無なのでしょう

『盛大な間違いをしてしまった』『出会ったことが間違いだったのかな』とヒロイックに紅葉（神尾楓珠）にうざ絡みをする夜々だが、恋愛対象ではないけど友達として大切にしたいという誠実な気持ちが込められた『好き』という言葉は、夜々にとって救いになったに違いない

少し話が逸れるが、ここにきて夜々と紅葉が友達として急接近しているように感じる
思春期丸出しの兄妹喧嘩のようにぶつかり合ったかと思えば、わざわざ紅葉のバイト先にまで出向いて傷心を愚痴る夜々と、それを嫌な顔もせず受け入れる紅葉の姿はまるでゆくえ（多部未華子）と赤田（仲野太賀）のような関係性を想起させる
このドラマが男女の友情を描くドラマなら、ゆくえと赤田、夜々と紅葉、そしてスピンオフの『みんなのほんね』ではゆくえの妹であるこのみ（齋藤飛鳥）と夜々の同僚である相良（泉澤祐希）の友情模様が描かれている
そうなると残るは椿の友達になるわけだが、もしかしてそれは…
これがゆくえの言うところの”場所を問わない友情”になるのなら、椿にもぜひ”あの人”をマッチングさせてあげたいと思ってしまう

そして今回ついに四人を繋ぐキーパーソンである”あの人”が登場する
名前は志木美鳥（田中麗奈）
椿にとっては中学時代の同級生
ゆくえにとっては憧れの塾講師
夜々にとっては将棋を教えてくれた従兄弟のお姉さん
紅葉にとっては高校時代の恩師
そして椿ハウスの元家主でもある

しかし、四人にとって『会いたい人』であるはずの美鳥の印象が各々でまるで違う
荒れていた人、頭の良い人、ぽわぽわした人、いつもイライラしていた人

同じ人物のはずなのに、まるで別人のように異なるその人物像に、各々が『私の美鳥』を差し出し、四人で答え合わせをするシーンでは、今回のテーマである『間違い探し』のアンサーになっているように思える
おそらくはどの美鳥も間違いの美鳥ではなくて、どれも本当の美鳥なのだろう
そこにどんな理由があったのか、どんな経緯があったのか、どんな意図があったのか、次週以降に明らかにされていくはず
赤青紫黄の四色のマグカップに果たして緑が加わるのか目が離せません

彼女や妻からは得ることのできない「栄養素」

そして蛇足ですが、個人的に心配なのが赤田の妻である峰子（田辺桃子）である
峰子は赤田を信じているという
ゆくえとの関係も疑っているわけではない
友達だとわかっている、だからイヤだという
彼女や妻からは得ることができない栄養を友達から得ているということが許せない
赤田のことは自分の栄養だけで育てたい、と半泣きで訴える姿は最近話題となっている”犬系彼女”と重なって見える
ゆくえとは対極的な位置に属する峰子を恋愛対象とする赤田の気持ちもわからないではないが、あまりにも独占欲が強すぎて無敵感さえ漂っている峰子の気持ちを解凍させることができるのか想像すらつかない
きっと友達から得られる栄養素というものは、夜々が言うところの精神安定パン（チョコチップスティックパン）のようなものなのでしょう
それでお腹が満たされるというわけでもないけど、あったら嬉しい
三食の食事だけでは満たされない安心感という栄養素が友達にはあるのかもしれない

一時期は『片親パン』などという不名誉な名前で呼ばれたチョコチップスティックパンでしたが、ここにきて『精神安定パン』という素敵なネーミングで上書きしてくれたのは嬉しいところですが、ドラマの影響なのか、その精神安定パンがコンビニやスーパーを梯子してもことごとく売り切れで、精神が悲鳴を上げている今日この頃です