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スクリーンの中で輝きを放つあの俳優から目が離せない。出演作の公開を目前に控えた彼らの素顔に迫ります。
今回は、映画『本心』に出演中の水上恒司さんにインタビューしてみました♡
1999年5月12日生まれ、福岡県出身。2018年、ドラマ『中学聖日記』で俳優デビュー。主な出演作に『MIU404』『青天を衝け』『ブルーモーメント』、映画『死刑にいたる病』『劇場版 アナウンサーたちの戦争』などがある。『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』で第47回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。現在、『八犬伝』が公開中。2025年に『九龍ジェネリックロマンス』が公開予定。
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映画『本心』の撮影秘話
「脚本を読んだ時、大事な人の〝本心〟を知りたいという、いつの時代も変わらない普遍性と、観る人に自由度の高い解釈を持たせる余白を感じました。テーマを押しつけるのではなく『どう考える?』と委ねてくれる、そういう魅力のある映画です。
僕が本心というものに関して思うのは、自分の心の声すら人は時として聞こえなくなってしまうぐらいですから、相手の感情をわかりきるなんて絶対にありえない。でも、知ろうとする努力は続けたいということです。
この作品で僕が演じた岸谷は、池松(壮亮)さん演じる主人公の朔也を見下すような態度を取るのですが、本人は〝あなたのためを思ってやってるんだよ〟と、悪意なく朔也のジャマをします。その根幹にあるのは、自分が安心するため。そういう岸谷の弱さも普遍的で、共感できました。彼に対して素晴らしいとは思わないけど、みんながみんな強いわけじゃない。弱い人はたくさんいるからです。
自分の考えにまったくない役を演じるのは僕の技術だとお遊戯レベルになってしまい、本当に恐ろしいことです。少しでも共感できる部分があるから、今回もお客様が観るに値する芝居になったと自負しています。
共演した池松さんと、朔也の母親役の田中裕子さんには、底知れない役者としての深さを感じました。池松さんが後日取材でおっしゃっていたことを聞いて、なるほどな、とうなずける部分もあったので、みなさんも映画を観て、さらにインタビュー記事に目を通すと、芝居や作品に新たな見方が生まれて面白いんじゃないかな。世の中の人がどんな意見を抱くのか、ドキドキ、ワクワクします。」
水上恒司に気になるクエスチョン♡
Q. 2025年の抱負を教えてください。
「毎年同じことですが、2024年よりもいい年にするのみです。職業柄、長くても映画だったら2か月、民放ドラマだとワンクールの短いスパンで環境が変わるので、常に緊張感を持って"どうかな?"と頭を働かせています。するといい疲労感があるので、そんなある程度の負荷をかけながら前の年より成長していきたいです。」
Q. 日々、気をつけているマイルールは?
「今いるこの場で自分の役割を把握し、実行しようと心がけています。仕事はひとりでやっているわけではないので、誰がどんな想いで取り組んでいるのかまわりを見て感じ取ろうとします。映画やドラマの現場であれば、俳優部という立場で何をすべきかを考えています。」
映画『本心』
「大事な話がある」と言い残して急逝した母・秋子(田中裕子)が実は〝自由死〞を選んでいたことを知った朔也(池松壮亮)は、生前、母と親友だった三好(三吉彩花)から情報をもらい、最新AIで母をVF(ヴァーチャル・フィギュア)としてよみがえらせて本心を探ろうとする。しかしVFと過ごすうちに自分の知らない母の一面を見ることに…。
出演/池松壮亮、三吉彩花、水上恒司、田中裕子 他 配給/ハピネットファントム・スタジオ 公開中
Photo:Tsuchiya Takaharu(TUCCI)
Styling:Fujinaga Shohei
Hair Makeup:Kohey
Text:Iida Honoka