一ノ瀬 颯、自分の性格を一言であらわすと?「本当によくも悪くも…」
――いのうえひでのりさん(劇団☆新感線 主宰・演出家)のワークショップに参加したことのある一ノ瀬さん。初舞台にして劇団☆新感線『紅鬼物語』への出演が決まった時はどんなお気持ちでしたか?
「えー!」って驚きました。ワークショップは二年くらい前のことで、その時はこのご縁に恵まれるなんて思っていなかったので。45周年という歴史があり、多くの方々を楽しませてきた劇団☆新感線の作品に出演させていただけることはとても光栄です。
――一ノ瀬さんは映像作品が中心ですが、舞台に活動の幅を広げることも考えていたそうですね。
はい。今まで仕事でお会いしてきた共演者の中には、舞台出身の方もたくさんいらっしゃったんです。その方々から伝わってくるのは力強いパワー。僕も舞台を経験することで、俳優としての成長に繋がるんじゃないかと感じていました。
――普段の撮影とはまた違った経験になりそうですね。
カメラの前で本番を撮るのと、観客のみなさんの生の反応を受けながら演じるのとではまったく別物になると思います。今回の舞台をきっかけに自分の表現の幅が広がるかもしれないと思うとワクワクします!
――いのうえさんのワークショップで学んだことは生かせそうですか?
すでに映像作品にも生かせています!それまでの僕は、お芝居をしていても“あまり動かないほうがいいのかな…”と、身体の動きを抑制するクセがありました。でもあの時のワークショップで、いのうえさんにダイナミックな動きをつけていただいたらその固定観念が和らいだんです。大きく動いてもいいんだ!って。それ以降、ドラマの撮影でも動作に変化をつけやすくなりました。本当は身体を動かすことやアクションが好きなので、舞台では殺陣のシーンがとても楽しみです!
――劇団☆新感線は迫力のある殺陣も魅力のひとつ!
僕はダンスもするのですが、殺陣はそれと通じるものがあるのかなと思います。戦いの必死さと、キレイな所作のバランスが絶妙で、ポージングをつないでいく先に“魅せる”芸術性がある。だから今回、卓越した殺陣の技術をお持ちの(早乙女)友貴さんと共演できるのも嬉しくて、たくさん学ばせていただこうと思っています。
――劇中で一ノ瀬さんが歌うシーンも楽しみです。
歌は小さい頃から好きだったし、大人になってからはボイトレの動画を観て独学していたので、みなさんに歌唱を披露できる念願の機会になりそうです!
――一ノ瀬さんが演じる桃千代(ももちよ)はどんなキャラクターですか?
鈴木拡樹さん演じる源蒼(みなもとのあお)の家臣のひとり。しっかり者だけど突拍子もないことを思いつく一面もあったりして、それがどう物語に関わってくるのか楽しみにしていただきたいです。鈴木さんは凛としたとてもお優しい方なので、頼りにさせていただきつつ、僕が足を引っ張らないように頑張ります!
――宝塚歌劇団の元花組トップスターである柚香 光さんを主演に迎え、豪華キャストが勢ぞろいですね。
本当にそうです!柚香さんは最初の本読みの後にみんなで食事をした時も、隙のない印象で、まさに“美”の象徴のような方でした。でも次第にちょっとおちゃめなところが垣間見えたり、僕にも話を振ってくださったりと、コミュニケーションを大事にされていて。ひとりひとりに気を配ってくださる姿に「この座長についていきたい!」と、僕の中でより一層やる気がみなぎりました。
――『紅鬼物語』は都の人々を襲う鬼が登場します。一ノ瀬さんの鬼にまつわる思い出がありましたら教えてください。
小さい頃に一番見ていた夢が、大きい鬼に追いかけられて踏み潰されるというもので…(笑)。これ、何回も見ていたから鮮明に覚えています。鬼がダンダン!と走ってきて、逃げる僕は転んでべしゃんと踏みつぶされて、もう1回鬼ごっこがスタート…みたいな。当時は怖かったけど、もし今夢に鬼が出てきたら僕が踏み潰してやります(笑)!
――子供の頃の怖い夢って震えますよね。この作品ではどんな鬼に出会えそうですか?
絵本で描かれるような鬼は、赤と青がいてトラ柄のパンツを穿いて、あと金棒を持っていますよね。そういうビジュアル面でも、行動面でも、幼稚園の頃の印象で止まっていた自分の中の鬼のイメージを大きく変えてくれる作品になるのかなと思います。
――鬼が登場するおとぎ話を、劇団☆新感線でどう表現されるのか胸が膨らみます。
僕も新感線の別の作品を観劇した時は「殺陣がすごい!」「歌って踊るんだ!」と驚きの連続でしたし、演出の派手さに魅了されました。独自のジャンルを築いたエンタメ要素の強さこそ、舞台にゆかりのない人も、舞台好きな人も楽しませてくれる要因なんだと思います。今回、僕は舞台をゼロから学ぶ意気込みで挑んでいます。かっこいいメイクや衣装にも注目していただきたいです。ぜひご期待ください!
――ありがとうございます! 最後に一ノ瀬さんの性格を一言で言うと?
バカ真面目!一度やると決めたらとことん取り組みます。以前作品のために身体を鍛えることになった時は、どうしたら鍛えられるか調べて、毎日「3時間の筋トレ」と「150gのタンパク質摂取」でバッチリ鍛えました。現場で一番本気で取り組んだと自負しています!
――「一日150gのタンパク質摂取」って想像つかないのですが…
1日3食で、必ず1食に50g摂るようにしていたのですが、肉だけでもこーんなボリュームで(※約2枚分強←編集部調べ)!もうそれだけでお腹がいっぱいになりそうですが、頑張って鶏ムネ肉を買って自分で料理をし、食事で摂れない日は現場でプロテインを飲んだり…。その時期は結構忙しかったのですが、睡眠時間を削って3時間筋トレをしていたし、本当によくも悪くも“バカ真面目”だと思います!
INFORMATION
2025年劇団☆新感線45周年興行・初夏公演 いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective『紅鬼物語』
むかしむかし、人々を襲う鬼がいた。ある日、貴族である源蒼(鈴木拡樹)の家臣・坂上金之助(喜矢武豊)が鬼に襲われ反撃に出る。すると鬼は捨て台詞を吐いて飛び去った。源蒼は、10年前に忽然と姿を消した妻子の行方には鬼が関係していると考え、同じく家臣の碓井四万(千葉哲也)と桃千代(一ノ瀬颯)とともに鬼の根城に向かう。しかしそこには哀しき宿命が待っていた…。
出演/柚香光、早乙女友貴、喜矢武豊、一ノ瀬颯、樋口日奈、粟根まこと、千葉哲也、鈴木拡樹 ほか
5月13日~6月1日【大阪・SkyシアターMBS】、6月24日~7月17日【東京・シアターH】にて上演
Hairmake:Ikegami Go(NICOLASHKA)
Stylist:Higaki Kentaro(tsujimanagement)
Composition:Kamakura Hiyoko