私だけ頑張ってない?セックス中の“片思い感”

セックスって「ふたりの営み」のはずなのに、気づけば「なんか私ばっかり頑張ってない?」と感じたことはありませんか。

私も20代の頃はそうでした。彼が「気持ちいい」と言ってくれるのが嬉しくて「もっと喜んでもらいたい!」と張り切る日々。しかし、いつの間にかマッサージ師兼エンターテイナーと化している自分に気づきました。

一方で、彼の方は「そんなに頑張ってくれるなら全部任せます」とばかりに手を抜くように……。「えっ…これって片思いなんだっけ?」とむなしくなった夜もありました。

今思えば笑えるんですけど、当時は必死でした。恋愛もセックスも「与えた分だけ愛される」と思いこんでたんですよね。

実際に、性科学の調査でも「パートナーを喜ばせることが自分の満足につながる」と答える女性は多いんです。カナダの研究では、異性愛女性の約70%が「相手の快感が自分の喜びにつながる」と、回答しています(Impett, Aikins, & Strachman, 2008, Journal of Social and Personal Relationships)。

でも、その一方で「相手に合わせすぎて自分は満足できなかった」という声も少なくないんです。つまり「尽くしすぎるプレイ」には落とし穴があるわけです。

では、どうしたらこの“ベッドでの片思い感”から抜け出すことができるのでしょうか。私がたどり着いた答えは単純に「私も楽しむこと」でした。

たとえば昔の私は、手や口でのマッサージで「彼が完全に満足するまでやり続けなきゃ」と思い込んでいました。でも今は違います。

「このへんで止めて次にいくか」と自分のペースで止めて次にやることを提案したり、「こうすればふたりで同時に楽しめるよね」と一緒にマッサージし合える体勢に移ったりと工夫しています。そうすると“一方的なサービス”から“共同作業”に変わるんです。

心理学的にも、自分の欲求を相手に伝えることでお互いの満足度が上がることがわかっています。パートナーにベッドでの希望を伝えられる人ほど、ふたりの関係全体における幸福度が高くなるという調査結果もあります。

相手を喜ばせたい気持ちと、自分も楽しみたい気持ちの両方を自覚して、ちゃんとその気持ちを表現することが、ベッドだけでなくふたりの関係にも大きく関わってくるんですね。

ベッドできちんと自分の欲求を表現することも勇気がいります。「もっとこうしてほしい」「今日はそれじゃなくてこんな風にしたいんだけど」と口にすると、嫌われないかな?と不安にもなります。

でも、言いづらい本音を少しずつ打ち明けることは、相手にとっての安心材料にもなるんです。誰でも多少は「本当に楽しんでくれているんだろうか」と不安な気持ちを抱えていますから。

相手のために必死に頑張ることも素敵です。でも「自分も楽しみたい」という気持ちも大切にしていきたいですね。