THE RAMPAGE・山本彰吾×DDTプロレス・上野勇希 スペシャル対談♡【後編】

(左)山本彰吾 (右)上野勇希

表現者としての美学は?「感情をフラットに、瞬間的な反応を大切にする」

ステージとリングという、それぞれの表舞台に立つお二人ですが、心がけていることや、必ずこれは貫く!という「美学」的なものがあれば教えてください。

山本 僕はここ 2〜3 年で少し心境の変化があって、それまではどんな現場でも「よっしゃ、いくぞ!!」って気合い十分な気持ちでステージに立っていたんですけど、その自分と、いざステージに立った瞬間の自分の気持ちのギャップに違和感を感じることがあって。あれ、なんか今日ダンスがうまくいかないな、とか、なんかちょっと違うなっていう感覚が続いた時があったんです。

何回か続いた時に「これはまずい、一回リセットしたい」と思って、最近はそのステージに立つ前の気持ちづくりをやめて、本当にフラットな状態でステージに立つようにしました。波立ってない鏡のような水面のイメージですね。その状態で観客の皆さんの声を聞いたり、ステージに立った瞬間に感じたことが、その水面にぽたっと雫のように落ちて、波紋のようにじわじわと広がっていく感覚を大切にするようにしました。

山本彰吾

今はそのマインドでステージに立つから、曲によって自分の感情が大きく揺れたり、繊細に揺れたり…感情があっちこっち行ったり来たりするのがすごく楽しい。その結果かはわからないけど、それをするようになってからファンの方からダンスを褒めていただけたり、自分が発信するものに感銘を受けていただくことがちょっとずつ増えていったような気がしていて、今の自分のスタイルはこれがしっくり来るんだなって感じていますね。

上野 ”その時の感情を受け止める”というのは、僕の大切にしていることと似ているかも。例えば試合でいうと、負けたら悔しいし、勝ったら嬉しいって普通そうなんですけど、多分それって刷り込みというか、今までの経験で反射的にそう感じるようになっているところもあると思うんです。

試合中に頭を踏まれたりするとムカついたりもするんですけど、じゃあその”ムカつき”って何なのか?もっと細分化したら、自分が思っていることってもっとあるんじゃないのか?負けて悔しいのなら、”悔しさ”の気持ちに隠されている、もう一段階下の感情って何なのか?みたいな感じで、その瞬間瞬間をより具体的にしていくことはすごく意識しています。

上野勇希

それは試合中もそうだし、勝ってマイクを取って話す時もそうで、相手に対して自分が今何をどう感じているかというのは、できるだけ自分の言葉で伝えようとはしています。言おうと思えば、結構それっぽいことって言えちゃうんですよね。お互い健闘を称え合ってその日を終えることってできてしまうんですけど、できるだけ新鮮な状態の自分の言葉で伝えたい。これが非常に難しいんですけどね…。

山本 すごい…。ちょっと近い感覚、あります。上野さんのマイクパフォーマンスって毎回すごく心打たれるんですけど、普段から言語化するために意識してやっていることとかあるんですか?

上野 日頃感じたことを書き出すように、自分だけしか見ない日記をつけています。あとは映画を見たり小説を読んだ後に、感じたことを素直に、できるだけ細かく書くようにしています。サイトの情報とか、他の人のレビューを見ると、”すでにあるもの”に引っ張られちゃうので、見ないで書くようにしていますね。

自分だけしか見ないものに書くというのがポイントで、”正しいもの”としてこの世に発信するのって、怖いしリスクもあるから、なかなか素直な気持ちって書き出せないこともあると思うんです。それを自分だけのメモでとりあえず練習するっていう。そこで感情を誤魔化さない練習はしているかもしれないですね。

山本彰吾 上野勇希

伝えられたと感じる瞬間は「相手も自分も”楽しめたか”」

ダンスもプロレスも、言葉を使わずに感情を伝える表現だと思います。お二人が「今日の自分は一番伝えられた」と感じる瞬間はどんな時ですか?

上野 僕は結果がどうなろうとも、”対戦相手”に向けてすべてを出し切れたか、感情が大きく動いたかというところが一番大きいかな。相手が満足してくれたかどうかって、実際に言葉で伝えてくれることもあれば、感情が滲み出ていることもあるし…それを「満足してくれているかも」と感じとることができて、僕自身も満足のいく試合だったのであれば、それは一番いい試合というか、十分にお互いの心を伝えられた試合になっているんじゃないかなと思います。

その満足感は、試合中の苦しい時に感じることもあれば、翌日ふと「昨日の試合楽しかったな」って感じることもある。そういうふうに思い出しちゃうくらい楽しかった試合は、相手もきっと楽しいって思ってくれているんじゃないかなって、理想ですけど思っていますね。

上野勇希

山本 自分が楽しめたかって、すごく大切ですよね。僕はライブをつくる立場として、昨年末から休養していたメンバーの川村壱馬が、今年5月に開催された大阪公演で戻ってきてくれたライブが直近では印象深かったです。壱馬の復帰後初の舞台でもあるし、どういう感じでファンの皆さんに見せていけばいいだろう?と考えた時に、壱馬が戻ってきて16人の、今までのTHE RAMPAGEの良さは残しつつ、確実に進化していると思ってもらいたいという気持ちがすごくありました。ただ、”おかえり”だけじゃなくて、そもそものレベルがあがってるじゃん!って。

だからこそ、これは残す要素なのか、切り捨てて新しいものを取り入れるのかという、精査する作業をめちゃくちゃ頑張ったんです。自分なりに色々と考えて、メンバーみんなにも説明して、そしてライブでもファンの皆さんに説明して…。

ライブ一発目の登場の仕方も、僕がずっとこだわっていたことの一つでもあって。リハーサル直前でも形を変えて試行錯誤していましたが、ライブ本番でお客さんの歓声を聞いた瞬間、「これはきた」と確信できました。僕はその時ラップをしているのでイヤモニをつけており、本当はファンの皆さんの声は聞こえてこないはずなのに、それさえも越えて、本当に大きな、熱量高い歓声が聞こえてきた。あの瞬間は本当に忘れられないし、自分が試行錯誤して考えたものたちが「伝わってよかった」と心から思った瞬間です。

上野 やっぱり何度聞いても、お客さんの声援って気持ちが上がりますよね。ひとえに声援と言っても、毎試合違うもので、それこそ”楽しんでくれてるんだな”ってダイレクトに伝わってくる。とてもありがたいですよね。声援の一言一言すべてが聞こえているかと言われたらそれは難しいんですけど、大きなエネルギーのかたまりとして、確実に僕たちの身体に入っていると思います。

試合会場やライブでしか、受け取れない感動が絶対にある

山本彰吾

ファンの応援で「これが励みになった」というエピソードはありますか?

山本 やっぱり僕はコロナ禍の時ですね。今でも心に炎を燃やし続けられていられるのは、あの時にファンの皆さんがずっとTHE RAMPAGEを応援してくれていたからだと思っています。

僕はあまり思い悩むタイプではないほうなんですけど、コロナ禍はすごく気持ちが落ちちゃった時があって。何もやる気が起きなくなっちゃったり、塞ぎ込むこともあったんですけど、ふと”今まで応援してくれた人たちに顔向けできない”と思って、メンバーとインスタライブをしようって話になって。

リレー形式でみんなで繋いでいくインスタライブをやった時に、僕たち自身もすごく楽しくて、ファンの皆さんからたくさんの応援コメントをいただきました。「このインスタライブが日々の楽しみです。ありがとうございます」って言っていただいたこともあったんですけど、ファンの皆さんに向けてやったことではあるけど、僕たちが逆に元気をもらっていたように感じます。あの経験があるからこそ、今ライブをやれていることに改めて感謝ですし、絶対に無くしたくない。ライブでしか受け取れない感動があると思っています。

上野 本当に大変な時期でしたよね。コロナ禍の無観客試合は声援もないなかで、やっぱりかなりキツかったなという記憶があります。さっきの話に戻るようですけど、やっぱりお客さんの声援ってエネルギーになるんですよ。こうして日常に戻ると、声援は当然のことのように思えてしまうけど、やっぱりないと無理ですね。

僕はDDTを気にしてくれてる全員に感謝の気持ちを持っていますけど、やっぱり会場で声を出してくださっている方々へのありがたみは日々感じています。好きな選手が負けたら悔しいだろうし、痛そうな場面を見ると怖い思いをすることもある競技だと思うんですけど、それでも楽しんで見にきてくれる、楽しかったって言って帰ってくれること自体が、確実に僕たちの力になっています。

山本彰吾 上野勇希

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Photo:Shim Kyutai
Hair Makeup:oya