木戸大聖、30代に挑戦したいことは?
余命1年を宣告された音楽教師の京香と、“喜び”以外の感情を失った高校生の沖晴。二人が出会い、ひとつひとつの感情と向き合っていく姿を描いた映画『沖晴くんの涙を殺して』が2026年10月2日より公開!
沖晴を演じた木戸大聖さんに、この作品を通して改めて感じた“感情”の大切さや、30代に挑戦したいことなど、素顔が垣間見えるエピソードを教えてもらいました。
悲しみがあるからこそ、痛みに寄り添うことができる
映画『沖晴くんの涙を殺して』で木戸さんが演じるのは、津波の中で死神と取り引きをし、喜び以外の感情「嫌悪・怒り・哀しみ・恐れ」がなくなってしまった高校生の沖晴です。役をどのように構築しましたか?
原作をしっかり読んだうえで、津波により家族を失う前の、物語に描かれていない過去の沖晴を想像しました。きっと家族や周りの人たちと仲のいい、ごく普通の明るい男の子だったんじゃないかと思ったので、そこをベースに役を積み上げたのが第一でした。
次に、容姿はストレートヘアが浮かびました。死神と出会ったことで、感情だけじゃなく髪質もくせ毛っぽく変化したかもしれないと想像が膨らんだので、監督にそのアイディアを伝えて、髪型のイメージを採用していただきました。
辛い話をしているのに、ずっとニコニコしている沖晴の演技が印象的です。感情面のアプローチはなにかしましたか?
沖晴は喜び以外が完全に抜け落ちたというより、蓋をされたように考えていました。ある場面ではじわじわと蓋がずれていくような感覚を持ちましたし、ある場面では爆発するような激しさを伴う感覚。だから、ネガティブな感情は完全に消えていないことを常に意識しながらも、喜びしかないはずの場面で悲しみや怒りが透けて見えていないか、その都度監督に確認していただきながら演じていました。
この役を通して、「感情」について再認識したことはありますか?
あらゆる感情が揃っているからこそ、本当の喜びを感じられる。悲しみがあるからこそ、相手の立場に立ち、痛みに寄り添うことができる。人間にとって、そういう喜怒哀楽の大切さを改めて学ぶことができた作品です。
木戸さんがつい笑顔になってしまうものはありますか?
ゴルフとクレーンゲームをやっている時は、ニコニコしていると思います!あと最近はよもぎ蒸しにもハマっていて。すごくリラックスできるので、自然と口角がゆるんでいるかもしれません。
よもぎ蒸しいいですね!先ほど、監督にヘアスタイルを提案したお話がありましたが、役作りにおいてビジュアル面も大事にされているのですか?
信頼している美容師さんがいらっしゃって、その方に切ってもらうと、鏡を見た瞬間、自分の中に役が降りてくる感覚になるんです。だから僕にとって、見た目は大切な要素だと気が付いて。ここ数年、衣装も自分の意見をきちんと伝えるようになりました。
今回は、衣装合わせで自分の中の沖晴像を監督に素直にお伝えしたら、衣装のイメージも見せてほしいと言ってくださったので、古着屋さんに行って写真を撮ったり、洋画のワンシーンを切り取ったりしてスタイリストさんに共有しました。すると2回目の衣装合わせで理想の形に仕上げていただけて、一気に沖晴のスイッチが入りました。
でも逆に、芝居のやり方までは決めすぎないようにしています。相手役の方がどう演じるかは、現場で向き合ってみないとわからないので。
主人公・京香を演じる広瀬アリスさんとは、現場でどんなやり取りをしましたか?
広瀬さんとは芝居の話をほとんどしていません。待ち時間は何気ない話で笑っていました。
広瀬さんの何でも受け入れてくれるような懐の深さだったり、眼差しの温かさは、沖晴が京香に感じる居心地の良さに通じるものがありました。
30代は本格的な英語の勉強に挑戦したい!
衣装についても深く考える木戸さん。普段からファッションに興味はありますか?
すごくあります!昔に比べると買い物の機会は減ってしまったけど、たまにお店に行けた時にまとめて購入することが多いです。
この秋、着たい服や注目しているアイテムはありますか?
今一番着たいのはオーバーオールです。男女問わず、着ている人を見ると可愛いなって思います。昔はよく着ていたんですけど…。「若すぎるのかな」「どのタイミングで着ればいいんだろう」と考えているうちに、だんだん着る機会を逃してしまいました。でもやっぱり好きなので、この秋はラフに着られるオーバーオールがほしいです!
本作は、京香と沖晴の信頼関係や距離感も情緒的です。木戸さんは好意を持った相手には積極的に距離を縮められますか?それとも、少しずつタイミングを見ながら仲良くなるタイプですか?
積極的にいけないタイプです。いきなり自分の「好き」と気持ちを伝えるよりは、少しずつ距離を縮めるために段階を踏んでいくと思います。たとえば共通の友達何人かを交えて、その中で話せる機会を探ったりするかもしれません。
憧れの先輩に対してはいかがですか?
それなら積極的に話しかけられます!後輩という立場を活用して素直に甘えられるので(笑)。こちらから心を開いて接すると、優しく受け入れてくださる方ばかり。先輩方にはいつも多くの学びをいただいています。
会話中、無意識に視線がいく相手の表情や仕草はどんなところですか?
目です。目を見ると、ちゃんと会話に向き合ってくれているかが伝わる気がして。自分の話を真摯に聞いてくれている人には、すごく安心感を覚えます。
聞く姿勢から人柄を感じ取れますよね。
はい。誰かの会話を横で見ている時も、相手にしっかり視線を合わせて聞いている人は素敵だなと思います。だからこそ自分も、まっすぐ目を向けてコミュニケーションをとるように意識しています。
12月で30歳を迎える木戸さん。20代のうちにやっておいて良かったことと、30代で挑戦したいことを教えてください。
やっておいて良かったことは、この10年間、大好きな役者の仕事を全力でやり続けられたことです。あとは今年、仕事で初めてイタリアに行けたこと。歴史の重みを感じる風景と、ゆったりとした時間の流れを体感できたのは貴重な経験でした。
だから30代は、仕事でもプライベートでも、いろんな海外に行ってみたいです。それと同時に英語の勉強も。イタリアで言語の壁を感じたので、ちゃんと英語を勉強して、単語を並べるだけではなく、会話できるようになるのが目標です!
映画『沖晴くんの涙を殺して』
末期の乳がんを患い余命1年を宣告された音楽教師の京香(広瀬アリス)は、故郷の瀬戸内海の島に戻ってきた。そこで、いつも笑顔を絶やさない不思議な高校生・沖晴(木戸大聖)と出会う。津波で家族を亡くしたことを笑いながら話す沖晴は、喜び以外の感情「嫌悪・怒り・哀しみ・恐れ」を死神に取られたと言う。余命わずかな京香と、感情を失った沖晴の、かけがえのない日常を描く。公式HP

©2026 額賀澪/双葉社「沖晴くんの涙を殺して」製作委員会
Text:Iida Honoka
Composition:Kamakura Hiyoko









