毎週連載「ティモンディ前田裕太の乙女心、受け止めます!」開始1年越えを記念して、ティモンディ・前田裕太さんのarweb特別ロングインタビューを実施。
ティモンディや高岸さんへの愛を伝えた前編に引き続き、後編では前田さんの過去や人生を深掘りしたお話をご紹介します!!
前田裕太(まえだ・ゆうた)
PROFILE:1992年8月25日、神奈川出身。グレープカンパニー所属のお笑い芸人ティモンディのツッコミ、ネタ作り担当。愛媛県の済美高校野球部に所属した同級生・高岸宏行が相方で、2015年1月に結成。2人の野球経験を活かした『ティモンディベースボールTV』の登録者数は23万超え。ar web連載『ティモンディ前田裕太の乙女心、受け止めます!』では、毎週悩める女の子を優しい毒舌(1?)で包み込むメッセージを伝えている。
【前編】ティモンディ・前田裕太「売れても変わらないようにするにはどうすれば?」クレバーすぎる頭のナカ
前田裕太「感情を言語化することが、挫折との上手な向き合い方」
―今までの人生で、挫折をした経験はありますか?
「挫折だらけというか、結果がついてくるのがなかなかないというのが今までの28年間なんですけど(笑)。高校のときは野球をやっていたので、プロ野球選手にはなれなかったのも一つの挫折ですし、その中でも背番号をもらえなかったり、チャンスなのに結果が出なかったり、細かい挫折もあったり。芸人のお仕事においても、ミスや失敗とか、小さなことかもしれないけれどたくさんあるので、そもそも挫折ありきの人生なのかなとは思います。ベースとして挫折があるから、高校、大学、社会人、仕事の種類それぞれどの挫折に対しても、向き合い方や慣れ方みたいなものが上手くないとしんどくなっちゃうんじゃないかなと思いますね」
―まだ挫折を多く経験していない頃から、そのようにすんなり受け入れられましたか?
「なかなか。覚えている範囲での大きな挫折は高校2年生のときなんですけど、僕が野球部の背番号をもらえなかったんです。先輩が抜けて新チームになるっていうときで、自分の中ではチームを引っ張っていくぞ!っていう気持ちでいたんですけど。僕の代わりに、後輩がもらっていたので余計に悔しくて。ただ、モヤモヤしたものを持ち続けるのは辛いので、切り替えて自分の感情を言語化するようにしていたんですよね。背番号をもらいたかった→じゃあどうすればよかったの?→後輩が怪我をすればいける→それじゃ自分が納得できないよね→目に見える形で結果をアピールするしかないな、って。言葉にしていくとどれが良くて悪いのかがわかるし、努力するだけではなくてちょっと方向性を変えてみようとか、そういうことを考えるいいきっかけとなりました。そう言う意味ではこの頃から、挫折に対してどう向き合うかを考える時間は長かったのかなと思います」
前田裕太「自分のことは、自分が一番わかってあげないといけない」
―当時の経験は、芸人になられた今でも活かされていますか?
「そうですね。僕、変なこと言っちゃったとか、こうしてればよかったとか考えて、たまに夜眠れないことがあるんですよ(笑)。でも、基本は失敗がつきものだと言う認識でいるので、じゃあこのミスと同じことを繰り返さないためには事前にどういうことをすればよかったのか、と言語化して消化するようにしています。どんな仕事でも、絶対にこの先も失敗や後悔ってあると思うから、なるべく向き合い方でストレスなくいきたくて」
―なるほど…! ちなみに、どのようなやり方で言語化されるんですか?
「何がそんなに嫌だったのか、というのを紙に書いています。反省ノートみたいな。高校時代は野球ノートっていうのを書いていて、芸人になってからは新しくノートを書いていて20冊いっていないくらいなんですが、それを1ヶ月や2ヶ月スパンで見返してみると、こういう感じで感情が触れるんだなとか、自分のミスに対しての向き合い方や癖とかもわかってくるんです。きちんとその本質を捉えていけば、同じ感情にならないような対策ができるので。もちろん、この発言をしたからお仕事につながったとか、言わなかったから仕事につながらなかったというのは直さないといけないところですけど、言っても言わなくても変わらないこともたまにあるじゃないですか。そういうときは自分が気持ち良くできるようにしておきたいですし、自分のことは自分が一番わかってあげなきゃいけないのかなって思うから」
前田裕太「好きなことを仕事にしたら、楽しみ方が変わりました」
―反省ノートを見返して、実際に対策できたなと感じることは多い?
「いやぁ、これがまだ全然わからないですね。1年前のを見て、同じようなこと、むしろ全く同じこと言ってるじゃん!ってこともありますから(笑)。でも、気をつけなくてはいけないことは何かっていう優先順位は自分の中でつけることはできるようになっています」
―習慣づけると言うのはなかなか難しいと思いますが、ご自身に落とし込むという発想はどこから生まれたんですか?
「昔の哲学者、マルクス・アウレリウスという方が書いた本『自省録』を読んだことがきっかけかもしれないです。人に対しての悪口なども含め自分自身を反省して、人生を記したような内容なんですが、その本を読んでから、自分がつけているノートも後で参考になるのかな、と思って書き始めました。17〜18歳ぐらいのときかな、野球部を引退してやることがなかったので、図書室の司書さんに進められた本を全部読もうという目標を立てたんです。本当にやることがなくて(笑)、そのときに読んだ中の一冊です」
―野球部を引退した後に、芸人という夢を描かれたですか?
「元々、大学生のときは弁護士になりたくて勉強しました。でも、大学院に行くタイミングで高岸から誘われて、楽しそうだからやってみよう、って感じですね。今も楽しそうだから、の延長線上にいる状態。ただ、好きなものを仕事にするっというのは今までの楽しみ方と違うものがありますね。元々お笑いは好きだったので、テレビで観ていたときは『このツッコミ、もうちょっとこうすればいいのにな』とか思っていたりしましたけど、この世界に入ってから、何も知らずに言っていたんだな、と実感しました(笑)。やっぱり野球と同じで、仕事となると直接関係のないと思うことも大事になってくるんですよね。野球選手も、ただプレーをすることだけでなくて、毎日の食事や体調管理がものすごく大切になってくるから。好きじゃないことでもきちんとするというのが、ただ好きなことをする、のとお仕事をする、の違いでしたね」
前田裕太「夢の実現には、自分が幸せに感じることを深掘りするのが大切」
―好きなことを仕事にしたいけど不安、という人に向けて、前田さんがアドバイスを伝えるとしたら?
「金銭としての対価が払われなくても、やっていること自体が楽しいのであれば、仕事にしてもいいんじゃないかなと思います。僕や高岸も常に言っているんですけど、仕事がないときからその瞬間が楽しかったんですよ。だから、今が楽しいんだったらお金を稼げても楽しいだろうし、逆に“やっていること自体が楽しい”というのが前提じゃないと、うまくいかなくなっちゃうんじゃないかなと思うんです。お金にならないと嫌なのであれば、他のことで稼いで好きなことは趣味にするという選択をしたらいいし、消費する側が楽しいなと感じるなら、そのままでいいんじゃないかなと。それに、どんな仕事でもそれぞれ絶対にみんな不安は抱えていると思うから、自分にとっての不安との向き合い方や解消する方法を色々と試してみるのもいいと思います」
―夢を叶えるために、欠かせないことってありますか?
「何が実現されたら自分が幸せだとか感じるのか、というのを掘り下げて考えることが、夢を叶えるためには大事なんじゃないかな。こうなりたいと言っていたのに、実際その状態になったとき満足していない、という人が意外と多いんですよね。お金持ちになりたいって小さい頃に思っていたけれど、実際はお金持ちになっても幸せではない、みたいな。僕が昔弁護士になろうと思っていた理由の一つに、おばあちゃんをハッピーにしてやりたいというのがあったんですよ。お金を騙されてしまったばあちゃんが可哀想だから、弁護士になってハッピーにしてやりたいっていう。でも、お笑い芸人になったときに、ばあちゃんが喜んでくれて、応援してくれたんです。そのとき、結果ばあちゃんがハッピーなら今やっていることが叶えたかったことなんじゃないかなって、元を辿ると別に弁護士じゃなくてもよかったんだなと思ったんですよね。夢って自分の心から発生しているものだから、自分のことをきちんとわかってあげることから始まる気がします」
―ありがとうございます。最後に、前田さんの10代、20代の頃に描いた夢と目標、これからの30代の目標を教えてください!
「10代の頃の夢は、プロ野球選手になること。プロ野球選手になった後のことは全く考えていなかったので、今振り返ると、悪い意味で、ただがむしゃらだった時代だなと振り返って思います。20代の前期は、弁護士になることが夢。目標は資格を取って弁護士事務所を建てることでしたね。で、20代後半の今は、トータルで人生をハッピーにすることが夢になってきました。80歳から逆算して、幸せを獲得するために選ぶべき軸を“やっていて楽しい、ハッピーだなと思うこと”を目標にしています。選択肢に迷ったときは、この軸を意識。30代からは、トータルをハッピーにするために多少苦渋を飲んでもいいかなというところが目標で(笑)、40代以降ノンストレスになるための10年間にしたいなと思っています。そして、最期はお葬式にたくさんの人が来てくれたら嬉しいから、なんなら招待状書こうかな、ってくらいになれたら一番ハッピーですね!」
Photo: Matsumoto Yutaka
Text:Natsumi Takahashi(Instagram @spacy72.store)
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