ar's Cinema Paradise
スクリーンの中で輝きを放つあの俳優から目が離せない。
出演作の公開を目前に控えた彼らの素顔に迫ります。
今回は、池松壮亮さん・松居大悟監督にインタビュー♡
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1990年7月9日生まれ、福岡県出身。2003年、『ラスト サムライ』で映画初出演。近年の出演作に『夜空はいつでも最高密度の青色だ』『君が君で君だ』『斬、』『宮本から君へ』などがあり、中国映画『柳川』など海外作品にも活動の幅を広げる。公開待機作に『シン・仮面ライダー』がある。
1985年11月2日生まれ、福岡県出身。劇団ゴジゲン主宰。2012年、『アフロ田中』で映画監督デビュー。『バイプレイヤーズ』シリーズ、『くれなずめ』などを監督。舞台『Birdland』の演出や、ラジオ『JUMP OVER』など多岐に活躍。
映画『ちょっと思い出しただけ』の裏側
松居 クリープハイプの尾崎くんから新曲の『ナイトオンザプラネット』を聴かせてもらった時に、曖昧さや余白を描く長編のラブストーリーを作りたくなりました。
勝手なイメージで、内に向いた池松くんと、外に開いた伊藤(沙莉)さんは、他の作品であわなそう。
その相反する二人が演じる時間や関係を見てみたくて出演をお願いしました。
池松 それは初めて聞きました。伊藤さんは葉ちゃんという役を本当に豊かにしてくれて感謝しています。誰にでも起こりえる日常を切り取った物語なので、シーンの質的なことより、場の密度を上げていかないといけないと思いました。
その点でも伊藤さんはすごくノリがよく、二人で呼吸を合わせていけた気がします。
松居作品で、これだけまっすぐなラブストーリーができたのはいい意味で異質です。
松居 そうね。僕は真剣に作るほど照れが出てきてしまうので、これまでの作品は物語の途中でテンションがひっくり返るような描写を入れていたんです。
今回も、最初の台本ではタクシーが空飛ぶシーンを書いていたんですけど、まわりに反対されてカットしました。
池松 得意技を封じ込めて新たな作品を生み出したことは、作家として大きな変化です(笑)。
松居 でもよくある〝別れたけど私は大丈夫〟みたいな悲しい終わり際ではなくて、温かい気持ちになれる展開にはしたかったんです。
ドキドキした時間も、出会った瞬間も、二人の時間をさかのぼれば多幸感にあふれるような気がして、ある1日をさかのぼる〝ちょっと思い出しただけ〟の映画にしました。
池松 題材は恋愛だけじゃなく、家族でも、物でも、場所でもいいと思います。
コロナで世界的に大きな転換期がきて、変化に対応し、変化を求めながらも、後ろ髪をひっぱられる気分を誰しもが経験したと思うんですね。
すると過去をなかったことにしたり、逆にしがみついてしまいがちだけど、この映画を観た人が、それぞれの人生における過去と現在を同時に等しく抱擁できて、それぞれの夜明け前にちょっと思い出すことに浸ってくれたら嬉しいです。
池松壮亮さんに質問!
Q.主題歌を歌う尾崎世界観さんと松居監督との"ちょっと思い出す"エピソードは?
A. 昔はよく3人で時間を共有しました。
LINEグループで連絡を取り合ったり、たくさん一緒に映画を観に行ったり。
青春を共にしてきましたね。
いつからかそれがなくなって、それぞれの道に行って。
数年ぶりに、この作品で松居さんが再集合をかけてくれました。
松居大悟監督に質問!
Q.主題歌を歌う尾崎世界観さんと主演の池松さんとの、"ちょっと思い出す"エピソードは?
A. 3人で温泉に行った時のことを思い出しました。
その様子をSNSで実況していましたね(笑)。
LINEグループは、2人が退出して今は僕だけ(笑)。
1人になってもトークルームは残してあります!
クリープハイプの新曲『ナイトオンザプラネット』をもとに生まれたラブストーリー。
ケガでダンサーの道を諦めた照生(池松壮亮)と、タクシードライバーの葉(伊藤沙莉)の6年間を、〝ある1日〞でさかのぼる。コロナ以前から現在にかけて二度と戻れない愛おしい日々が、切なくも温かく描かれる。監督・脚本/松居大悟 出演/池松壮亮、伊藤沙莉 他 配給/東京テアトル 2/11公開
Hair Makeup:FUJIU JIM(I 池松さん分)
Text:Iida Honoka