僕のあまのじゃく#31

ティモンディ前田裕太さんの人気コラム【前田裕太の乙女心、受け止めます!】がリニューアル。

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ガラリと雰囲気を変えて、毎週変わるお題に沿って、前田さんに自由に言葉を紡いていただくフリースタイルエッセイ【僕のあまのじゃく】をお楽しみください♡

テーマ:傘

懇ろな関係になった相手とは、雨の日になると1つの傘を分け合ってシェアする風潮がある。相合傘とか言って、さも恋人同士の代名詞のように使われているその単語のロマンチズムを感じられなかった学生の頃の私は、なんだそれはと斜に構えてその風潮を見ていた。

私の肩幅はすこぶる広い。
小さい頃から、比較的高価な傘を持たせてもらっていたけれど、それでも広い肩幅をフォローしきれずに、どちらかの肩が濡れたりする。そもそも身体の体積が広いから、背負ってたリュックだったりが傘の中に入りきらず、目的地に着いた頃にはビショ濡れになっていた。

ただでさえ濡れるというのに、この面積を誰かとシェアするだって?

濡れることも辞さない覚悟で半身を犠牲にしながら、みんなは相合傘をしているのだろうか。

そこまでしてしたい行為なのだろうか。

デートであるならば、相手のお気に入りの服を濡らしてしまうかも知れない。相手がデートで気合いの入った服装をしてくれたら、の話だけれど。

逆に、相手を優先しすぎた結果、傘の面積の大半を相手に譲り、自分がずぶ濡れになったとしよう。
濡れた私を目にして、それでも尚それを気にしない相手であったら、なんだこいつ、とその日の休日をその人に割く選択をした自分を悔いてしまうだろう。

傘をシェアすることを決めた時点で、どう転んでも濡れるのは確定してしまう。
一人だって濡れるんだから。だったら、もう濡れないことを目的に、各々が責任を持って傘をさして歩くのが良いだろう。

過去に、意中の相手と雨の中歩く場面があったのだけれど、なんか1つの傘をシェアする流れだったので、その時の私は、相手が濡れないことを優先した。目的地の映画館に着く頃には、右肩が滝に打たれたように濡れ、右半身は1トーン暗い色になってしまった。

まあ当然、気分は良くない。

乾けば良いけれど、厚手のパーカーに吸った雨の量はなかなかのもので、映画の上映が終わった後にも、乾ききることはなく、不快感だけが右半身に残った。

それでも、相手が濡れてなければいいかと思ったのだけれど、私の右半身を犠牲にしても、相手の左半身は濡れていた。

もちろん、雨の日に全く濡れないなんてあり得ないのだけれど、お互いの気分は当然のように落ちる。

これは、お互い傘をさすか、もう合羽を着て、歩いた方が良かったのではないだろうか。ってか、もう令和なんだから新しい形だってあって良いだろう。日本なんて古墳時代から存在していたらしいし、海外では4000年の歴史があるそう。比べてみると、素材の差があるにしても、今の傘と形状は対して差がない。傘にはそろそろイノベーションが起きるべきではないだろうか。

二人が全く濡れないのであれば、私もロマンチズムな思想に浸かって、相合傘、是なり!と言える。

関係者の皆様、相合傘をしても濡れない横に長広い傘の発明をどうかよろしくお願いします。

私の身体の大きさ的に、おそらくそれでようやく私一人分のような気もするけれど。

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