僕のあまのじゃく#38
ティモンディ前田裕太さんの人気コラム【前田裕太の乙女心、受け止めます!】がリニューアル。
ガラリと雰囲気を変えて、毎週変わるお題に沿って、前田さんに自由に言葉を紡いていただくフリースタイルエッセイ【僕のあまのじゃく】をお楽しみください♡
前田裕太(まえだ・ゆうた)
PROFILE:1992年8月25日、神奈川出身。グレープカンパニー所属のお笑い芸人ティモンディのツッコミ、ネタ作り担当。愛媛県の済美高校野球部に所属した同級生・高岸宏行が相方で、2015年1月に結成。2人の野球経験を活かした『ティモンディベースボールTV』の登録者数は23万超え。ar web連載『僕のあまのじゃく』では、フリースタイルエッセイを毎週お届け中。
テーマ:髪型
野球を始めた頃からずっと坊主で、髪型というものに無頓着だったため、29歳になったというのにいまだに、髪型をどうしたらいいのかすごく困っている。
大学生の頃は、美容室に行くお金なんてなかったので、髪なんて自分で切ればいいと、適当にバツバツと切っていて、別にそれでよかったし、他人からかっこよく見られたいだとか思ったこともなかったから、ワックスだのスプレーなども興味すらなかった。
これが人から見られる職業についてしまったもんだから大変だ。
服装含めて身なりには気をつけなければならない。
芸人になってからというもの、流石にガタガタの髪型で人前に立つとそれが目についてしまって変な印象がついてしまいかねないので、一応美容室に行くことにしたのだけれど、美容師にどんな髪型にしましょうか?と聞かれたところで詳しくもないので、どう注文するものなのかすら分からない。
ただ、こういう場に慣れていない田舎者だと思われるのも癪なので、「いい感じで」くらいのオーダーしかしたこともなく、だいたいいつも美容師の人に任せている。
この感じで変わらないオーダーしかしないもんだから、数年間同じ髪型でいるのだ。
けれど、いつもこの髪型で正解なのだろうか、と自分で疑問に思う。
美容師の方に、その天パを生かして、ちょっと濡れた感じのパーマ風にしましょうか、と提案されたことがある。
パーマ風?それはパーマではないのか?と人生で聞いたことのない単語に戸惑っていると、美容師の方は、その言わんとする髪型をしているカットモデルの写真を見せてくれた。
そのモデルの髪型は、めちゃくちゃオシャレだった。
ただ、そのカットモデルの人が、もう既にイケメンだしそもそもオシャレな顔立ちをしていて、更に片耳にシルバーのピアスなんてあけてるもんだから、そりゃオシャレにも見える。
全然顔つきも違う私が髪型だけ真似したって、こんなオシャレにはならない。
と色々と思って「いやあちょっとどうですかね」と苦笑いをするので精一杯だった。
自意識とは結局のところ…
あと、そんな異性を意識しています、と声を大にしているような髪型のやつが、一生懸命ツッコんだりしたところで、果たしてみんなは笑えるのだろうか。そう思って、結局、色々と提案してくれても、あいつは異性に対しての目を意識している、と思われたくないという気持ちから髪型を変えられずにいる。
そんなにお前の髪型なんて気にしていないよ、自意識過剰だよ、という人もいるだろう。
そうなのだ。
自意識過剰であって、加えて、その自意識が、自分の浮ついた気持ちを許さないし、そう思われるような行動も自分自身が許してくれないのだ。
なんだか、他人の目を気にして、このままでいいのか分からない髪型のまま挑戦できない自分が情けなくなってくる。
ウェーブとかかけてみましょうか、なんて言われた日には、「おい、あいつ一丁前に髪にウェーブかけてやがるぜ」なんて誰かから言われた日には、恥ずかしくて家から出られなくなってしまいかねない。
この自意識というのは、結局のところ、自信の無さの現れなのだろう。
思い切った髪型になれないというのは、結局のところ、変化をした時の周りの反応が怖いからなのかもしれない。
今のままでいいのか分からない髪型なのだから、もう思い切ってイメチェンしたくらい髪型を変えてみるのもいいかもしれない。
ただ、その時は、ここの読者諸兄姉が、厳しすぎる自意識の前田を柔らかい言葉で包んであげて欲しい。
まずは、カットモデルの人たちの髪型を色々見てヘアースタイルについて勉強をして、「顔がかっこいいから似合ってるだけだろ」と悪態をつかないようにするところから始めたいと思う。
ー完ー
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