僕のあまのじゃく#41
ティモンディ前田裕太さんの人気コラム【前田裕太の乙女心、受け止めます!】がリニューアル。
ガラリと雰囲気を変えて、毎週変わるお題に沿って、前田さんに自由に言葉を紡いていただくフリースタイルエッセイ【僕のあまのじゃく】をお楽しみください♡
前田裕太(まえだ・ゆうた)
PROFILE:1992年8月25日、神奈川出身。グレープカンパニー所属のお笑い芸人ティモンディのツッコミ、ネタ作り担当。愛媛県の済美高校野球部に所属した同級生・高岸宏行が相方で、2015年1月に結成。2人の野球経験を活かした『ティモンディベースボールTV』の登録者数は23万超え。ar web連載『僕のあまのじゃく』では、フリースタイルエッセイを毎週お届け中。
テーマ:「虫」
私は、理解できないことが嫌いだ。
分からないことを分からないまま放置しておくのは気持ち悪い。
だから、自分の理解できないことは調べる。
未だ解明できていないものは沢山あるし、真実は多面的であることは重々承知ではあるものの、
自分の中で理解できないものを放置しておけない性分なのだ。
その点、虫は理解ができないから苦手だ。
理解できない行動を平然ととるし、なんでそんな動きをするのか分からない奇妙な身体のつくりだったり、移動する時のウネウネとした動きなんて理解に苦しむ。
足がいっぱいあるのも信じられない。
ムカデやゲジゲジの多足類なんてあんなに沢山足を生やして、一体何を考えているのだろう。
調べても、そういうもんだ、としか書いていない。
分からない。
怖い。
カマキリが一番やばいと思う。
生き物は、必要があったり強い意志を持ち続けて、形を変えたり進化を続けてきた。
カマキリは、自分の手を鎌にしたい、鎌にしたい、と願い続けて何年も何年も強い信念を持ち続け、ようやく彼らは手を鎌にすることに成功した生き物。
正気の沙汰じゃない。
両方の手が鎌だったら、かっちょいーのになあ、と何百年と願い続けた結果、手を鎌にすることができた、その執念。
常軌を逸している。
そんな生き物の気持ちなんて、いくら説明された所で理解できるわけもない。
分からないから、怖い。
いも虫もよくわからない。
何を望んで、あんなうねうねとした動きをしているのか。
もっとはっきりとした動きをしろ、と怒りを覚える。
絵本の腹ペコあお虫ですら苦手だった。
意思を持った生き物の動きではないとしか思えない。
きっといも虫と話ができたとしても、意思が通じ合える気がしない。
どうして恐怖を感じるのか
こうなってくると、理解ができないだけではなく、もしかしたら私は意思疎通ができそうにない点に恐怖を感じるのだろうか。
分かり合えない、と割り切れれば、きっと楽なのだろうかもしれないけれど。
意思疎通ができないでいえば、虫でなくとも、SNSで他人を必要以上に傷つけるリプライなどを見かける。
その度に、きっとストレスの吐口にしているのだろうな、と想像はつくのだけれど、誰かが傷つくのに、それでもなお酷い言葉を送る人間に理解ができないし、なんだか意思疎通の出来なさそうな人間が目につく。
だから、そんなリプライを見るたびに、自分は関係ないのに嫌悪感を覚えたり、苦手だと思ったりするのだろう。
これから先、誰かの言葉で傷ついたりすることもあると思う。
そんな時は、その相手のことを私にとって虫のような存在だと割り切れたら、きっと楽なんだろうな、と思う。
人に対して思うべき感情ではないのだろうけれど、理解のできない存在に対しては、そんな風に対応していこうと思う。
ー完ー
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