女の子の憂鬱に寄り添う、をテーマに始まったarweb の新コラム連載。モデルや文筆家として、Z世代に大人気の青戸しのさんが紡ぎ出す言葉に注目です!

第一回:パーソナルカラー万歳!骨格診断万歳!…でも最近の私、なんかつまらないな。

骨格診断、パーソナルカラー、顔タイプ診断ーー最近インターネット上でこれらのワードをよく見かける。

生まれ持った身体に調和する色、骨格に合ったファッション、顔タイプから分析されたメイクやヘアスタイル。
そういった風潮は私にも馴染んできて、自分に似合うものがどんなものなのかも大体分かってきた。
タッチアップや試着をしなくても迷わず商品を購入できるし、美容室で必ず聞かれる「今日はどうされますか?」に即答できるようにもなった。これは私にとって大きな進歩だ(あの質問、聞かれた途端に頭が真っ白になりません?)。

パーソナルカラー万歳!骨格診断万歳!「キョウハドウサレマスカ」も、もう怖くない!
それでもふと、鏡に映った自分を見て思う時がある。

最近の私、なんかつまらないな。

今日は乙女休みます。/青戸しの

「骨格ストレートさんのNGコーデ!」「〇〇はもう古い!今年のトレンドはこれ!」みたいな、おそらく悪気なく書かれた記事を読んで泣く泣く断捨離してみたり、「モテる女子はみんなこれを使ってる!」と雑誌で紹介されていた商品を慌てて購入しに行ったり、気付いたら私の”好き”は置いてけぼりで、あんなに楽しかった毎朝の支度が、今ではただの作業になってしまった。完全にトキメキ不足だ。

トキメキ不足の私に突然「イケてる遺影撮影会」のお誘いが

先日、不足したトキメキを補充するために下着の通販サイトを徘徊していると、高校時代の友人から「イケてる遺影撮影会しよ」と訳の分からない連絡が来た。
時刻は深夜23時。ツッコむ気力もなかったので「いつ?」とだけ返した。

「今夜、私の家で」ーー今夜?私の家で?

ここから友人の家まで片道45分はかかる。明日も朝から仕事だし、まだ夜ご飯も食べていない。

そもそもイケてる遺影撮影会ってなんだよ。
悔しいけど、ちょっと面白そうだ。

結局私は、いそいそとパーティードレスとメイク道具を抱えて、彼女に会いに家まで向かうことにした。
友人のメンタルも、明日の仕事も心配だったけど、今夜だけは久しぶりに感じたこのときめきに身を任せたい。

今日は乙女休みます。/青戸しの

彼女の振る舞いを見ていると「自信と美しさは直結している」と感じる

イケてる遺影撮影会は、準備に3時間、撮影に1時間かかった。

誕生日に着る予定だったイエローのドレスはやっぱり可愛くて、似合うメイクを研究しているうちに気が付くと、時計の針は4時を回っていた。明け方、最寄り駅で買ってきた牛丼を食べながらなるべく自然な感じで「死ぬ予定があるの?」と聞いてみた。

「いや、ないけど」 

ないんかーい。
真っ黒なドレスに身を包んだまま、牛丼をかきこみ、彼女は続けた。

「人なんていつ死ぬか分かんないし、今のうちに盛れてる写真撮っときたかったんだよね。人生、今が一番若くて可愛いんだしさ」

なんて"おもしれー女"なんだ。そういえば彼女は昔からこんな感じだった。

高校時代、初めてのデパコスを買いに、2人で出かけたことがある。
「人気の色とかありますか?」と曖昧な質問をする私の横で、友人は「パッケージが可愛い!テンション上がる!」と店頭に並んだ新発売のリップを即決していた。
デパコスのリップなんて、学生にとって決して安いものではないし、大人になった今でも即決する勇気はない。

私は結局、30分近く悩んだ末に、店員さんに勧められたものを購入した。

帰宅途中、「もう少し試さなくてよかったの?」と聞いてみると
「似合う色はもう持ってるからいい、それより今日は可愛いものが欲しかったの」と満足げに微笑む彼女を見て、自信と美しさは直結しているのだと痛感した。
私も自分の好きを選ぶべきだったと、少し後悔していると、友人が私の顔を覗き込んで「やっぱりその色似合ってる、デパコスの店員さん凄いわ」と言った。

彼女はいつでも、自分がトキメくものを選んでいたけど、自分に似合うものを探す私を否定したことは一度もない。
私がつまらないと感じていたことも、彼女といると不思議と自信に変わるのだ。

翌日、友人から「私の葬式には最高にイケてる服で来てね、ダサい祭壇だったらぶち壊していいから!」と、また訳の分からないLINEが届いたけど、一緒に送られてきた遺影候補は間違いなくイケていた。

おしゃれの動機なんて、世間ウケでも自分ウケでもいい

ベストセラーになった『人は見た目が9割』という本があるが、このタイトルの意味は決して外見に限った話ではない。
自信や、ゆとりある心は確実に私たちを美しくしてくれるし、その根源にあるのは揺るぎない自己愛だ。

例えば、振り向かせたい人がいるのなら徹底的に好みをリサーチして相手に合わせてもいいし、反対に自分の"好き"を褒めてくれる相手を探してもいい。
どちらも自信を持って玄関を出られたら、それこそが揺るぎない自己愛に繋がるのだから。

おしゃれの動機なんて、世間ウケでもいい、自分ウケでもいい、なりたい自分ならそれでいい。
窮屈なものからは、裸足で逃げ出していい。

今日の私、最強じゃん! と思えたら、きっとそれだけで大抵のことはうまくいく。

Text:青戸しの(Instagram:@aotoshino_02)

「この透明感を手に入れたい…」憧れのつるんと毛穴レス肌に♡111万本販売突破した【魔女工場の美容液】が優秀すぎる