青戸しのが乙女の憂鬱に寄り添うコラム連載!

”女の子の憂鬱に寄り添う”がテーマのarwebコラム連載「今日は乙女休みます」。毎回違うテーマに沿って紡がれる青戸しのさんの言葉にちょっと身を委ねてみて♡

(前回のコラムはこちら)突然失踪した友人、その理由は?複雑な環境からの“大人の逃げ出し方“を考察

第八回のテーマは「浮気」。青戸しのさんの紡ぐ言葉にちょっと身を委ねてみて。

「誠実そうな人が好き」といった私に、友人が放った一言

先日就寝前にTikTokを眺めていると、突然画面に初恋の相手が映し出された。
懐かしさに思わず「ひえっ」と声に出てしまった。
そこに映っていたのは2009年に放送されたアニメ「怪談レストラン」に登場する「甲本ショウ」というキャラクターだった。

懐かしさに衝撃を受けたせいか、TikTokを閉じてしばらくしても眠気が訪れなかったので私は仲のいい友人に電話をかけた。
謎の感傷に浸りながら、一連の流れを説明すると友人は電話口でゲラゲラ笑い転げた。


「そんな事で深夜に電話かけてきたわけ?  まあどうせ暇だったからいいんだけどさ」


なんだかんだ言いながら、こんなくだらない話に最後まで付き合ってくれるのだから本当にいい友人だ。

「確かに綺麗な顔してるけどあんたの好みのタイプとは違くない? メガネかけてる人が好きなんじゃないの?」

そういえば過去に友人らと好みのタイプの話になった際、「誠実な人」と答えるには面白みに欠けるかなと思い、「メガネが似合う人が好き」だと言ったことがある。
「間違いではないけど、誠実そうな人が好みってだけ」
「誠実に”そう”も何も無いのよ、ピアス20個空いてて黒髪マッシュでも浮気しない人はしないし、メガネかけててもする奴はするんだよ」
あまりの正論パンチにぐうの音も出ない。
「そもそも誠実であるとか、浮気しないとかは出来て当然だからね、恋人をつくる上での免許みたいなもんなの、ちゃんと免許取ってから運転してて偉いね〜って褒められたことある?ないでしょ?当たり前の事を理想とするのやめな」

文字に起こすと若干説教臭く感じるが、電話越しでも友人の真剣な顔が目に浮かぶようだった。多分私は彼女にとても愛されている。

「浮気した人」「浮気された人」それぞれに言いたいことは...

「浮気されました」「浮気をしています」この類の相談を受けることがよくある。

浮気をしている側の理由は様々だけど、私は必ず同じように返している。「どうか恋人にはバレないように、墓場まで持っていってください」もちろんバレなきゃいいと言う意味ではない。
バレたところで浮気した側は恋人やその友人からの信頼を失うだけで済むだろうが、浮気された側は今後お付き合いする人全員を信頼できなくなる。それがどれほど苦しいことか私はよく知っている。「他に好きな人ができた」なんて変に暴露されるくらいなら適当な理由をつけて別れを切り出される方がよっぽどマシだ。
一方で浮気をされた、もしくは現在進行形でされている側の人達には「好きなようにしなさい」と言いたい。
友達や家族に相談しても「そんなやつやめとけよ」と言われるのがオチだろう。
かく言う私もきれいさっぱり別れることを勧めるけど、どうしても許せないのであれば法に触れない範囲で最高の復讐を企んでもいいし、別れが惜しいのなら許しても縋っても良い。
自分で始めた恋なのだから終わらせる時も自分で決めるべきだ。

鬱々とそんな事を考えていると友人が口を開いた。

「コロナが落ち着いたら理想の彼氏探しに行く旅しようよ」
「旅?どこに?」
「フランスか、イタリア、眼鏡が似合う金髪碧眼であんたのことだけ愛してくれる人探しにいこう」

あまりの強欲さに今度は私が吹き出してしまった。

「いるかな、そんな人」
「世界一周してから考えよ」
思わず「賛成!」と大きな声で答えた。

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