僕のあまのじゃく#75
ティモンディ前田裕太さんの人気コラム【前田裕太の乙女心、受け止めます!】がリニューアル。
ガラリと雰囲気を変えて、毎週変わるお題に沿って、前田さんに自由に言葉を紡いていただくフリースタイルエッセイ【僕のあまのじゃく】をお楽しみください♡
前田裕太(まえだ・ゆうた)
PROFILE:1992年8月25日、神奈川出身。グレープカンパニー所属のお笑い芸人ティモンディのツッコミ、ネタ作り担当。愛媛県の済美高校野球部に所属した同級生・高岸宏行が相方で、2015年1月に結成。2人の野球経験を活かした『ティモンディベースボールTV』の登録者数は23万超え。ar web連載『僕のあまのじゃく』では、フリースタイルエッセイを毎週お届け中。
テーマ:息抜き
人生はマラソンだ、だなんて格言がある。
元を辿れば、欧州の言葉で、人生は短距離レースではない、という言葉から来たワードらしい。
各々のゴールがあって、一歩一歩進めばゴールに近づく。
誰だってランナーなのだ。
それぞれのペースでそれぞれのゴールに走っていくのが人生。
つまづくことだってある。
けれど、諦めずに立ち上がって進んだ者は必ず前進するし、地道に進めばいつかは報われる。
ひたむきに走っていく中で、給水ポイントで息抜きをして、また目的に進んでいく、というものだ。
なんだか、素敵なことを言っているように感じる。
だが、果たしてそうだろうか。
本当にそうなのか?
人生ってマラソンではない。
ゴールがあっても、逆走したっていい。
車に乗って楽したって、給水スポットでゆっくりしたまま進まなくったっていい。
寄り道だって、もはや寄り道ではない。
誰が決めたレースに乗る必要だってないのだ。
そもそもまだ知らない世界に知らない道のりがあるのに、走り出すのがそのゴールでいいだなんて決めるには早すぎる。
勝手にゴールから近づいてくることだってあるだろう。
一体誰だよ!人生をマラソンだなんて言った奴は!
いくらでも膝に手をついて休んでいい。
息抜きに趣味の時間を取ったっていいのだ。
いや、もはや”息抜き”という概念も、どうかと思う。
仕事を頑張って、息抜きをするために休暇を取る、という考えの人も多いだろう。
まあ私もそう思うことが多いのだけれど。
でも、仕事を頑張ることが人生の全てではない。
もちろん、仕事を頑張ってステップアップしていくのも喜びの1つかもしれない。
けれど、それはあくまでも幸せの1つでしかない。
仕事は生きるための金銭を稼ぐための手段。
生活の基盤を作るための行為だ。
息抜きの趣味の時間こそ、人生を豊かにしている瞬間ではないだろうか。
私で言えば、本を読んだり、写真を撮りに行ったり、油絵を書いたり、映画を見たり。
そんな時間が人生を豊かにしているような気がする。
それって、もはや息抜きではなくて、生きる目的そのもののような気がする。
仕事をして、息抜きをするのではない。
息抜きは、もはや、生きる行為そのものなのだ。
豊かな人生を送るために、仕事を頑張る。
うん、これがしっくりくる。
とは言いつつも、M1グランプリという他人の決めたレースに今年も参加するつもりでいるので、短距離レース的な頑張り方もしなければならないのだけれど、2023年はたくさん息抜きをして、その息抜きをより豊かにするために仕事を頑張ろうと思う。
ー完ー
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