初心者向け美容医療 ヒアルロン酸編
みなさん、こんにちは!皮膚科医の藤巻あいらです。
今回のテーマは「ヒアルロン酸」です!
美容医療の中でもメジャーな施術なので、興味のある方がとても多いと思いますが、
SNSで本当かウソか分からないような情報が出回っているようにも感じています。
今回も皆さんに正しい情報がお伝えできればと思っています。
ヒアルロン酸って?
ヒアルロン酸を打てる場所は基本的に顔や首!おっぱいはかなり危険?!
鼻のヒアルロン酸注入は危ないってホント?
ヒアルロン酸の種類
費用と事例のご紹介
ヒアルロン酸を入れ続けると皮膚が伸びてたるむ??
副作用はある?デメリットについても聞いてみた
クリニックや医師の選び方は?
ヒアルロン酸って?
ヒアルロン酸はもともと皮膚など体内に含まれる物質ですが、美容医療において使用されるヒアルロン酸は、顔に注入することでたるみの原因となる皮膚の内側のボリュームを回復させたり1)、リフトアップ効果をもたらす目的のジェル状の物質です2)。様々な種類のヒアルロン酸があり、部位や目的によって製剤を使い分けます3)。
「ほうれい線を治したい」「額やこめかみなどの輪郭をきれいにしたい」等の希望で、ヒアルロン酸注入を検討される方が多くいます。
ヒアルロン酸を打てる場所は基本的に顔や首!おっぱいはかなり危険?!
ヒアルロン酸注入は、顔や首、手の甲に注入することが基本であり、これはヒアルロン酸注入の歴史からも、安全性は確立されています4)。またガイドライン上も、顔に対するヒアルロン酸注入の安全性に関しては、合併症は軽微なものがほとんどで比較的安全な治療と言われています5)。
ただし!ここで、注意したいのがヒアルロン酸注入による豊胸術です!
実は、ヒアルロン酸注入による豊胸術は、ガイドライン上も、安全性は保証できず、行わないことを強く推奨する、とされているのです!!
ヒアルロン酸による豊胸術では、顔とは違い使用する量もはるかに多く、そもそも顔と乳房は組織の特徴が全く異なることから、乳房は容易にしこりになりやすい箇所として知られています4)。また、注入を繰り返すことで持続的な炎症がおき乳癌発生リスクを高めたり、乳がんの発見を遅らせる可能性もあるとされています5)。
鼻のヒアルロン酸注入は危ないってホント?
鼻のヒアルロン酸注入による血管塞栓などは、眉間のヒアルロン酸注入に比べると少ないと報告されていますが、他の治療と同様、リスクゼロではないことも確かです!
ただし、血管が豊富な場所と、そうではない場所など、解剖をきちんと理解した上で注入することでリスクをなるべく下げることは可能です6)7)。また、何かが起きてしまった時に迅速に対応してくれる医師・クリニックを選ぶことも大切なポイントです。
また、一般的に、鼻に異物を挿入する手術などを受けたことある人では、ヒアルロン酸注入による血流障害のリスクが増加するといわれています8)。
カウンセリングを受ける際は必ず、以前の美容歴も伝えてください。
ヒアルロン酸の種類
ヒアルロン酸の濃度のみならず、ヒアルロン酸の分子同士をくっつけるための架橋剤の濃度など、製造方法の違いにより、ヒアルロン酸製剤ごとに特徴が変わってきます。
注入された箇所にとどまる力が高いような製剤や、リフト力をもたらす製剤、注入された箇所で周囲の組織となじみやすい製剤などなど・・・そのため製剤ごとに持続期間も異なってきますが、注入する部位や箇所、目的によって製剤を使いわけています9)。
費用と事例のご紹介
当院、今泉スキンクリニックでは、初回は「58,300円/1㏄」あたりで治療をうけていただけます。
1つ事例写真と詳細を紹介します。
ヒアルロン酸を入れ続けると皮膚が伸びてたるむ??
答えはNOです!
そもそも、30歳ごろから皮膚のコラーゲンやエラスチンといったハリを保つ繊維に変化が起きはじめ、皮膚はどんどん薄く、小じわができやすくなります10)。そして実は、土台となる顔の骨や脂肪も年齢とともにどんどん小さくなり、表面の組織のたるみがおきてきます11)。
そのため、むしろ、へってしまった顔の土台となるボリュームを回復させてたるみを治したり、皮膚そのものに注射することで、自分のコラーゲンやエラスチンを増やし12)、モチモチのお肌を取り戻してくれるのがヒアルロン酸なのです!
副作用はある?デメリットについても聞いてみた
注入時、針を使う治療なので多少の痛みがありますが、麻酔クリームを使用することもできます。
また治療後の数日間、赤みが出る場合があり、軽い腫れや軽度の疼痛が出る方もいますが、翌日には治るケースがほとんどです。
クリニックや医師の選び方は?
前述の通り、何かが起きてしまった時に迅速に対応してくれる医師・クリニックを選ぶことが、とても大切なポイントです。
また、
・カウンセラーさんではなく、医師が治療方針を決定する
・質問の返答をごまかさずに理論に基づいて説明しているかどうか
というポイントも見極めるときにいいかもしれません。
まとめ
ヒアルロン酸注入は、リスクの観点からも非常に技術を要する治療ですので、医師選びは慎重に行う必要がありますが、注射のみで、美肌づくりや、形に変化をもたらすことができる、美容医療には欠かせない存在です。注入治療は特に、かかりつけ医をみつけてうまく付き合って行くことが大切です!
是非一度お気軽にご相談ください♡
1)Akinbiyi T, et,al. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2020 Oct 15;8(10):e2763.
2)Haidar R,et,al.Plast Reconstr Surg. 2021 May 1;147(5):765e-776e.
3)Chiang YZ,et,al J Eur Acad Dermatol Venereol. 2017 Mar;31(3):405-413.
4)McCleave MJ. Aesthetic Plast Surg. 2010 Feb;34(1):65-8; discussion 69-70.
5)特別号美容医療診療指針(令和3年度改訂版), 全日本病院出版会 日本美容外科学会会報(2022)Vol. 44
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/biyo2v.pdf)
6)Moon HJ,et,al.Facial Plast Surg Clin North Am. 2018 Aug;26(3):323-330.
7)Lee YI, et,al.Surg Radiol Anat. 2014 Sep;36(7):669-74.
8)Moon HJ.Facial Plast Surg Clin North Am. 2018 Aug;26(3):323-330.
9)Sundaram H, et,al.Plast Reconstr Surg. 2013 Oct;132(4 Suppl 2):5S-21S.
10)Boehm, Lucas M. M.D,et,al. Plast Reconstr Surg.2021 Feb147(2):p 319-327.
11)Shaw RB Jr, et,al.Aesthet Surg J. 2012 Nov;32(8):937-42.
12)Landau M, et,al. Plast Reconstr Surg. 2015 Nov;136(5 Suppl):188S-195S.