僕のあまのじゃく#93

ティモンディ前田裕太さんの人気コラム【前田裕太の乙女心、受け止めます!】がリニューアル。

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ガラリと雰囲気を変えて、毎週変わるお題に沿って、前田さんに自由に言葉を紡いていただくフリースタイルエッセイ【僕のあまのじゃく】をお楽しみください♡

テーマ:梅雨

私は雨の日が好きだ。
なのに何故「天気が悪い」という時は”雨の日”である共通認識があるのだろう。
天気が悪いね、という言葉を聞くたびに残念で居た堪れない気持ちになる。
私にとっては悪くないのに。
むしろ好きなのに。
みんな雨の日は天気が悪いって言うよねえ。
自分の好きなものが、一般的に悪いとされているのは悲しい。

確かに土砂降りで満足に外へ出歩けない程の天候であれば、悪天候と呼んでも仕方ない。
けれど、だとするならば、外出の気が引ける程の炎天下の日も同様に、悪天候と呼んでも差し支えないはずだ。
雨で濡れる事実も、暑さによる発汗でシャツが濡れるのも、結論だけで見れば同じはないか。
雨の日は濡れるから悪い天気だ、という理屈なのであれば、汗がダクダクの日も同様に天気が悪い、と表現しなければ破綻している。
あんまりだ、雨の日だけ目の敵にされて可哀想だ。
過ぎたるは及ばざる如し。
雨でも晴れでも過ぎた天候は同様である。
同列に扱ってほしい。

窓から雨の天候を目にして「今日天気悪い」だなんて言っていた、おかしな友人がいたものだから「悪くないでしょう」と問い詰めたことがあった。
友人から見たら私こそ変な友人だろう。自分でもそう思うけれど、一概に雨の日を悪者にする姿勢を見過ごす訳にはいかない。
「雨は天気が悪い訳ではない」と私が言うと、素っ頓狂なことを言っている奴だ、という目を向けてきた。
自分の意見が如何に暴論か自覚のない人間の顔だ。

友人は「低気圧は体調が悪くなるから、悪いんだよ」などと言っていた。
その体調の悪化は気圧のせいで、雨が悪い訳ではないくないか?
雨が降らなくとも気圧が低くて体調が悪くなる日があるように、低血圧の体調不良に対して影響を与えているのは気圧なのだ。
雨の日が悪いというのは断じてお門違いだ。
貴様は間違っている!と是正するほど子供ではないので言葉を飲み込んだけれど、大体の人は雨の日に悪さを押し付けている。
酷い話だ。私は君の味方だからね。雨。

ってか、雨の日って普通に良くない?
理解者がごく僅かでもいることを願っていうのだけれど。
雨音を聞くと落ち着くじゃない。
日常の騒音も雨音に飲まれて、全員に対して平等に同じ現象が訪れているという事実がいい。
雨は平等なのだ・
道を歩いていても、知らない人達と一緒の音を聞く環境ってのもなかなか訪れない訳で。
日頃からパソコンや映像を見ることで視覚を酷使していると、雨の日なんかは聴覚に比重が大きくなって気分転換になる。
自然の音というのはわざわざ録音して音源にして流すくらいリラックス効果があるから、まあ当然なのだけれど。

私にしてみたら梅雨は雨の日が連続で訪れる精神的バケーション。
読者諸兄姉は、私の目の届く範囲では決して雨の日のことを指して天気が悪い、という表現は避けていただきたい。

ー完ー

ティモンディ前田裕太「前田少年のお財布事情」【僕のあまのじゃく#92】

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