ドラマ『いちばんすきな花』第8話を考察!
放送中のドラマ『いちばんすきな花』(フジテレビ系、木曜よる10時~)。誰もが一度は考えたことのあるテーマ”男女の友情”を題材にした本作について、コラムニスト・DJあおいさんに見どころや登場人物の心情について、考察してもらいました。
(こちらもチェック)【いちばんすきな花・考察】椿(松下洸平)が夜々(今田美桜)に”好き”という言葉を使った理由とは?第7話に散りばめられた「間違い探し」と「答え合わせ」をDJあおいが解説
不幸でマウントを取ってくる人の不幸は、果たして”不幸”なのか
聞くだけでちょっと熱が出る言葉、いちばん嫌いなポジティブワード発表会
紅葉(神尾楓珠)は『他人は変えられないけど、自分は変えられる』という言葉が苦手だと言う
この言葉はそもそもポジティブな言葉ではない
『自分は変えられるけど、他人は変えられない』という意味の、少し残酷でやるせない言葉である
それをポジティブな人が誤用して前後を逆にしてしまったために、本来あるべきはずである寂しさや虚しさ等のニュアンスが失われてしまった
そういう意味で紅葉が苦手だと言うのも頷ける
ゆくえ(多部未華子)は『死ぬ気で頑張れ、死なないから』という言葉が苦手だと言う
今は亡き某ミュージシャンの言葉として広く知られている言葉で、私自身がファンだったこともあり、好きな言葉ではあるのですが、これは自分を戒めるための言葉であって、他人に押し付けるものではない
自分にとっては戒めの言葉でも、他人に押し付けると途端にナイフになってしまう、取り扱いに注意が必要な言葉である
これもまたポジティブな人が他人に誤用してしまい、他者を傷付ける言葉になってしまったのは残念で仕方がない
夜々(今田美桜)は『生まれ変わったら夜々ちゃんになりたい』という言葉が苦手だと言う
不幸自慢が始まる合図として、他人を幸福と決めつけるプロット
不幸でマウントを取ってくる人の不幸は果たして不幸と言えるのだろうか
彼等は他人の幸福を羨んでいるのではなく、自分の不幸さえも相対的優位に立つための道具として扱う
その飽くなきポジティブ精神に辟易としてしまうのもよくわかる
そして椿(松下洸平)は『失敗は成功の基』という言葉が苦手だと言う
『成功者は失敗を悠々と語るよね』という椿の言葉には深く頷いてしまった
『止まない雨とか、明けない夜とかはないけど、咲かない花はあるしね』という言葉は花屋の長男らしい蓄積のある言葉だ
『置かれた場所で咲きなさいとかいい言葉だよね、でも、できれば最初から咲ける場所に置いてあげてほしいよね』と続け様に椿は言う
このとき椿の頭の中には美鳥(田中麗奈)の顔が浮かんでいたに違いない
夜々と椿は、昔から繋がっていた
中学生の頃の美鳥はいつもどこか怪我をしていて、ギラギラとしていて、みんなに嫌われていた
美鳥は『喧嘩をして怪我をした』と言っていたけれど、実は家庭内で深刻な問題があったらしい
それをはっきりと言わなかったのは、きっと『惨めな自分』になりたくなかったから
自分自身を保つため、精一杯の強がりとして『喧嘩をした』と言っていたのだろう
全てを察した椿と、全てを察してくれた椿を受け入れた美鳥
そこに直接触れることはなかったけど、再会した椿と美鳥の会話で
『怪我、もうしてない?』と尋ねる椿に対して『してない、もう喧嘩してない』と答える美鳥のシーンが全てを物語っていた
💐#すき花 のつぶやき💐
— 「いちばんすきな花」木10ドラマ公式💐<フジテレビ> (@sukihana_fujitv) November 30, 2023
怪我、もうしてない?
してない。もう喧嘩してない#いちばんすきな花 #松下洸平 #田中麗奈 pic.twitter.com/XliKXCDHpB
中学時代の美鳥は椿に将棋を教えてもらい、そして椿ママには料理を教えてもらい、それはそのまま夜々に繋がっていくことになる
幼少期の夜々は美鳥に将棋を教えてもらうが、実はそれは椿経由であった
椿ママの煮物を食べて思わず『懐かしい』と言ってしまう夜々(第6話参照)であったが、実は美鳥の料理の味でもあった
夜々は美鳥のイメージを『ぽわぽわした人』と言っていたが、それももしかしたら椿の影響を受けた美鳥だったのかもしれない
夜々と椿は美鳥を通じてずっと昔から繋がっていたことになる
今回は椿との出会いと夜々との出会いしか描かれなかったが、時系列で言えば次はゆくえとの出会い、そしてその次は紅葉との出会いがあるはず
それはどんな出会いであったのか、そしてどんな繋がりが描かれるのか、今から木曜日が待ち遠しい限りである
今回はシリアスなシーンが多かったため、重くなるかと思いきや、幼馴染みである紅葉とこのみ(齋藤飛鳥)の再会が良い緩衝材になってくれたように感じます
運命の再会に満面の笑みを浮かべるこのみに対して怯える紅葉
嬉々としてお風呂を入れにいくこのみ、そそくさと逃げるように帰ろうとする紅葉
これは市民プールでこのみが紅葉を沈めたエピソードに起因するのであろう
このみの満面の笑みはドSの本性が目覚めた笑み
きっと紅葉も内心では満更でもないはずだと願いたい(本性はドMかも?)
このシーンが重苦しい空気を一旦リセットしてくれたことは言うまでもない
本編のシナリオとは直接関係はないが、今回のMVPは個人的にこのみを推したい
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