特集「終わった恋の整理整頓」の第3回はライターのカツセマサヒコさん。
きっと誰もが経験したことのある「失恋した後の行動」についてです。


恋の魔法は、終わった途端に呪いに変わると思う。

付き合っていたときはあれほど愛おしく思えたプレゼントや思い出が、終わった途端に傷をえぐる凶器に変わる。

4℃のアクセサリーでも、東急ハンズで買ったお揃いの文具でも、それを見るたび別れたふたりは罪悪感を募らせたり、過去への執着を生みだしたりする。

形がなくたって、前の恋人と行った場所を歩くたび、その人の笑顔や会話、匂いがフラッシュバックして、胸のかさぶたを疼かせる。

好きであればあるほど、きっとそんな苦い経験をして、過去の傷を残したまま今に至っている人も多いと思う。

失恋したら、相手が次にどんな人と付き合っても、文句は言えない。
新しい恋人との幸せそうな写真やエピソードがインスタグラムに添えられても、黙って見ているか、フォローを外して視界から消すしかない。


また、失恋したら、相手の好きなものを街中で見つけても、もう連絡することは許されない。
「好きだったアーティストの新譜、初回盤買ったかな。ちゃんと予約したかな」

貴方の心配は、きっとあの人には届かない。貴方の知らないところで、あの人は別の世界を生きている。


そして、失恋したら、相手がどれだけ辛そうにしていても、優しい言葉をかけてはならない。
SNSに書き込まれた「高熱」の文字や不幸な状況を見ても、助けに行くべき人は貴方じゃない。別れたその人はきっと自分でどうにかするし、新しくできた助けるべき人に、助けてもらうはずだ。


こんなことばかり続くのが、失恋というものだと思う。
多くの偉人が、単なるバカに成り下がってきた恋愛の、最果ての正体だと思う。