残暑の夕暮れ、
夏の終わりの空気に包まれながら、
すぐそこに秋が来て、やがて冬になることを肌に感じる。
ふと、
一つの恋にも春夏秋冬があることを思い出した。
昔から大好きだった漫画『フルーツバスケット』にはこんなセリフがある。
***
「雪が溶けたら何になるでしょう?」
「……水になるに決まってるだろう」
「ぶっぶーっ
春になるんですよ」
***
冬が終わればまた春がやってくる。
けれど、
冬になって冷え切った恋に
また春がやってくる確率はどうしてこんなにも低いのだろう。
新しい恋をするのには勇気と時間と心のスタミナが必要だ。
そんな中で、「元恋人」という存在、
時間が経っていても心の片隅にいる存在ー…
一つの春夏秋冬を経た二人なら、
一からお互いを知ることも、
理解ができないがゆえに起こるすれ違いも、
心をかき乱されるようなドキドキと不安も、
そんなもんはすっぽかしてさ、
もう一度夏の終わりから始めて
心あったまる実りの秋に向かってもいいじゃないか。
そんな夏の終わりに
“まだ終わらせたくなかった恋”が再び始まりますようにー…。
漫画・文:山科ティナ
漫画家・イラストレーター。SNSを通し発信する妄想胸キュン漫画が話題に。女性が憧れるカップルのシチュエーションや、メロメロ必至なイケメンの登場など、幅広い妄想力と絵心に注目。著書に『140字のロマンス』(祥伝社)など。
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