『逃げ恥』や『恋つづ』など、数々の胸キュンドラマを生み出してきたTBSの火曜22時枠。『着飾る恋には理由があって』の第九話を考察します!
たった一つの投稿で…SNSが恋路にまで変化をもたらす。
『着飾る恋には理由があって』第九話は、真柴(川口春奈)がSNSにアップしたバッグに盗作疑惑がかかる事件が発生。それにより仕事のみならず、駿(横浜流星)との関係にも変化が生じていきます。
真柴は、「TODO」のバッグを「可愛くてとっても気に入った!」と投稿はしたものの、自分で購入しただけで商品の提供も受けておらず、金銭も貰っていない。けれど、10万人を超えるフォロワーを持つインフルエンサーなこともあり、「ステマ女」「謝れ」「もう投稿やめろ」などと批判が殺到してしまいます。
真柴の後輩・茅野ちゃん(山下美月/乃木坂46)も、「この(携帯の)中でのことが、こんなに大ごとになるなんて…ちょっと怖くなる」と言っていましたが、まさにその通りで。たった一つの投稿で、「前から痛いと思ってた」と世間の風向きは一気に変わってしまう。SNSが持つ怖さのようなものを感じました。
社内に迷惑をかけていることに罪悪感を感じた真柴は、松下課長(飯尾和樹/ずん)に「店舗で働かせてほしい」と頼みます。そして暫くの間、店舗で勉強をすることに。目の前のことに一生懸命に取り組む真柴は、遅くまで居残り商品の位置を覚えたりと店舗でも努力を重ねます。そんな真柴の前に現れたのは、駿ではなく葉山(向井理)でした。
真柴が欲しい言葉は、「着飾らなくていい」から「今の君がいい」に
真柴が“着飾るガール”になる要因の一つでもあった葉山の存在。
フォロワーが求めている自分になるために、葉山に認められるようにとガチガチに取り繕っていた心を溶かしてくれたのは、駿でした。駿はいつも、「着飾らない方がいい」と声をかけてくれていた。けれどアンチコメントが多発し、誰にも求められなくなった(ように感じる)真柴が欲しいのは、「今の君がいい」という言葉だったのかもしれません。
「多分私、どこかで調子に乗っていたんだと思います。フォロワー数を増やすために、自分を盛って、着飾って、流行りのものに飛びついて…」と言う真柴に、葉山は「なんでそんな風に思うの?毎日一生懸命お洒落した真柴のインスタは、そばで見てて楽しかったよ。流行りの服を着て、ワクワクする気持ち。お気に入りの物に囲まれて、心が浮き立つ感じ。俺は、そういう幸せだって大切だと思うんだ」と声をかけます。
ある意味、「着飾ることになんて意味がない」と言う駿とは真逆の意見。けれど、今の真柴には「真柴は間違ってない。胸張って。インスタもいつか再開して欲しい。俺も楽しみにしてるんだからさ」という言葉の方が胸に響くのかもしれません。
抱えている悩みが変わることで、一緒にいたい相手も変わっていく
フォロワーに賞賛されることにプレッシャーを感じていた真柴が、今度は批判されることに恐怖を感じるように。すると、自ずと一緒にいたい相手も変わっていく。
店舗で、「(盗作事件のことがあるから)接客を控えろ」と言われた夜も、駿には「楽しいよ。みんないい人ばかりで」と言っていましたが、葉山には「携帯見るのすら怖くなっちゃって、店舗でも上手くいかない」と曝け出すことができる。
真柴と駿は、「お互い頑張ろう」とそれぞれの夢を対等に応援し合う関係でした。どちらが寄りかかることもなく、きちんと自立した上でそばにいるような。
真柴と駿の“自立した上で支え合う”関係性が揺らぐ
真柴が「もう逃げたい」と思った時、駿も転機を迎えていました。
「北海道で新しく店を出さないか?」と誘われた駿は、真柴に相談をします。「正直迷ってる。まずはくるみに、ちゃんと話したくて」と。すると真柴は、「私も一緒に行きたい。行こうかな」と答える。駿は喜ぶのかと思いきや、「えっ、仕事は?」「えっ、一緒に行って何する?」「家は?」と戸惑っている様子。
「(仕事は)北海道で探すよ。店で雇ってくれる?一緒に住もうよ。狭くてもいいじゃん」と言う真柴に、「逃げてない?今仕事が辛いからって逃げるな。ちゃんと現実と向き合った方がいいと思う」と愛情が故の厳しい意見を述べます。
「自分のように逃げてほしくない。自分の夢を叶えてほしい」という思いから言ったものですが、真柴は「なんでそんなこと言うの?」と傷ついてしまう。「無責任なこと言えないよ。一緒にいれたらいいなって思うよ。でもさ、違うよなんか。今こんな感じで一緒にいてもダメになる」という駿の言葉は、真柴と築き上げてきた“自立した上で支え合う”という関係が垣間見えます。
それにしても、駿は真柴になんて返して欲しかったのでしょう。「一緒に行かない」という選択をしたとしたら、2人は離れ離れになってしまいますよね。
ただ、駿からすれば離れ離れになることよりも、真柴が自分の目標や夢を見失ってしまうことの方が怖かったのかもしれません。「私はここ(東京)で頑張るから、お互い頑張ろうよ」という言葉を期待していたように思います。2人の関係性は、側にいないだけで揺らぐことがないということは分かっているから。
キャパオーバーになった真柴を抱きしめたのは、葉山だった
そんな時、真柴に「明日社長から話がある」という連絡が入ります。それは、良くない報せだということは分かっている。
SNSを開いたら、アンチコメントがずらり。逃げ場になってくれるかと思った駿からも突き放されてしまう。キャパオーバーになった真柴は、葉山に助けを求めます。泣きながら、「逃げたいって思っちゃうんです。無理して、着飾っても誰も……。もう限界かもしれないです」と訴える真柴。泣いている姿が周囲から見えないように、葉山はそんな彼女をそっと抱きしめました。
「(駿といることで)真柴が幸せならそれでいい」と言い、身を引こうとしていた葉山にとって、真柴のこの涙はなお辛いものだったはず。「笑ってくれてなきゃ困るよ」と言う表情からは、切なさが見て取れました。
来週最終回を迎えるのに、真柴と駿はすれ違っているし、これまで全く葉山に揺れていなかった真柴が揺れる展開も……?最終回、果たしてどうなるのでしょうか!?全く予想がつかない真柴の恋の終着点。「着飾る恋ロス」の筆者は、来週終わってしまうなんて……と寂しさを感じていますが、最後までしっかりと見届けたいと思います。
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