婦人科医と考える「生理」と「フェムテック」
多くの女性にとって大きな問題である「生理」、最近耳にすることが多い「フェムテック」。
この2つのキーワードについて、産婦人科医師の海老根真由美先生にお聞きしました。
産婦人科医師として埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターで講師及び病棟医長を務めたのち、自らの出産を機に順天堂大学の非常勤講師に。2013年には産婦人科、婦人科、乳腺外科も併設している女性クリニックを開院。仕事も育児も頑張りたいと願う現代女性の強い味方。
生理を見直すことは人生を見つめること 自分の幸せなライフプランを考えよう
最近、フェムテックについて雑誌などでも盛んに特集が組まれています。様々なプロダクツで生理を快適にすることはとてもよい取り組みですが、ピルやアイテムで生理痛の痛みを和らげるなどということは、一面的、表面的なことでしかありません。自分の生理を見直すことやフェムテックは、女性が「幸せになる」「自立した女性になる」ためのツールのひとつであり、テクノロジーだけでは、幸せや自立は実現不可能なのです。重要なのは、生理やフェムテックと自分なりの人生哲学や思想をつなげて考えること。そうでないと大事なことは見えてこないように思います。
女性に生理が来るということは、「身体が妊娠の準備をしている」ことです。たとえば生理痛や生理過多などの不快な症状があったとして、生理を止めるというピル的な対応でいいのか、もっと違う解決法を考える必要があるのか。それは「将来的に自分の子供を持つのか持たないのか。持ちたいとしたら何歳くらいまでにと考えているのか」を切り離して考えることはできません。
今の時代、様々な生理用アイテムもあるし、生理の痛み止めやピルなど、ある程度、生理や排卵をコントロールできるようになりましたし、出産に関しても不妊治療の技術も向上してきています。医療の進歩やテクノロジーによって、女性にとって自分の生き方を選択することができる世の中になってきた。もちろん、キャリアを全うするもよし、子供を望むもよし、両方を手にするのもよし、その他の選択肢だってきっとあるはず。大事なのは、その中で「 あなたはどんな人生を選びたいですか」 ということ。
〝自分がどんな幸せを望んでいるのか〟〝この先どうやって生きていきたいか〟。生理との向き合い方、付き合い方を考えることは、これからの「幸せの設計図」を考えることでもあると思います。
あとひとつ、「婦人科に行きにくい」と感じてしまう読者の皆さんへ。(毎年の検診等は当然として)婦人科を受診する以前に、日頃から自分の生理についてもっと考えて、分析しておくといいと思います。「婦人科を受診して」と雑誌などで言われる割に、いざ勇気を出して相談に行ったら素っ気ない対応をされた経験がある人も結構いますよね。でも、その中には前回の生理がいつだったかも把握していない人も…。あまりに漠然とした受診だと医師も判断が難しくなってしまうのかも。周期はもちろん、量や痛みのピークなど、自分の生理のタイプを普段から把握しておくと、何だかわからない不調も言語化しやすくなるので、医師とのコミュニケーションもスムーズになると思いますよ。
Styling:Imamura Hitomi
Hair Makeup:Kato shiho(PEACE MONKEY)
Model:Jonishi Seira