生理中の運動や筋トレはしない方がいい?
生理中だからといって、運動や筋トレを制限する必要はありません。プロゲステロンの影響で身体に蓄えた脂肪や水分は、生理が始まると体外へ排出しやすくなります。そのため、生理中は、むくみ対策や痩せやすい身体づくりにも良いとされるデトックス期間。
しかし、体調が優れない時や経血量が多い日は、立ち眩みなどの貧血症状を起こしやすいので、無理はしないように注意しましょう。休憩をこまめにとり、普段より軽めの運動に切り替えるなど、自分の体調と相談しながら調整してください。
適度な運動はPMSの緩和につながる
普段から適度な運動を心がけることは、PMS(月経前症候群)の緩和にも効果が期待できます。生理前に悩まされる肌荒れや食欲増進などの症状は、良質な睡眠や適度な運動、ストレスケアによって改善することも。一方で、偏った食生活や睡眠不足・運動習慣がない場合は、下腹部痛やイライラなどPMSの症状に悪影響を及ぼすこともあるので、注意が必要です。
また、女性アスリートと非アスリートの月経随伴症状の研究結果によると、非アスリートの方が、PMSや月経困難症の症状が強かったという結果も示されています。PMSの症状が辛い方は、生活習慣を見直して、普段から適度に身体を動かすと良いでしょう。
参考:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsnr/31/2/31_20080307002/_pdf/-char/ja
参考:筑波大学 運動と月経随伴症状の関係(PDF)
生理中におすすめの運動
「しんどい・・」「やる気が出ない」と、気分が憂鬱になりがちな生理期間中は、できればベッドで休みたいと思うことが多いかもしれません。しかし、そんな人こそ、頑張らずにできる運動を取り入れることで、体調が整い心身ともにすっきりするはず。実際に、月経困難症の女性を対象とした研究では、週3回、45〜60分程度の運動を生理中も継続することで、生理痛が緩和したというデータもあります。生理中におすすめの運動を紹介するので、できる範囲で試してみましょう。
参考:https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD004142.pub4/full
ストレッチ、ヨガ
生理中のストレッチやヨガは、腹痛やむくみの解消・リラックス効果が期待できます。下腹部や腰がズンと重くなる生理痛は、プロスタグランジンによる子宮収縮と、それに伴って子宮の血流が停滞することから生じるものです。呼吸を意識したストレッチやヨガをすることで、骨盤周りの血行が改善されるだけでなく、精神的安定をもたらしてくれます。特に股関節や腰周りを中心に全身の筋肉を伸ばすと良いでしょう。
中程度のエクササイズなら、ピラティスも生理中におすすめ。ピラティス特有の胸式呼吸は、自律神経を刺激するので、イライラや落ち込みなどを解消してくれます。運動が苦手な方は、ゆったりと寝たままでも簡単にできるストレッチ・ヨガから始めてみましょう。
軽めの筋トレ
生理中は、負担の少ない軽めの筋トレがおすすめです。エストロゲンやプロゲステロンなど女性ホルモンの分泌が低くなる生理期間は、筋トレの効果が出やすいといわれています。定番のスクワットは、下半身の筋肉を引き締めて代謝を上げる効果や、骨盤内の血流を改善して生理痛の緩和にもつながるでしょう。足を肩幅よりも大きく開くワイドスクワットは、10回程度体幹を意識しながら行うことで、大殿筋や脊柱起立筋が鍛えられます。
筋トレをする際は、こまめに水分を摂りながら無理をせずに行ってください。
参考:https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/textiles/db/seeds/descente29_09_kubo.pdf
ウォーキングなど有酸素運動
ウォーキングなどの軽い有酸素運動は、血流を改善し、生理痛の緩和にもつながります。息が切れるほどのランニングは、貧血症状など体調不良を引き起こしやすいので、心地よいと感じる程度の散歩にとどめましょう。
また、水泳も生理中に行える有酸素運動の一つです。経血漏れが気になる方は、直前にタンポンを装着すれば問題ありません。水中でのウォーキングは全身運動になるので、ボディラインの引き締めも期待できます。経血が多い生理2日目や、下腹部痛が辛い時などは休んでくださいね。
生理中に避けたいこと
生理中の適度な運動は、辛いPMSや生理痛の緩和に効果が期待できます。いつでも快適に過ごしたい方は、生理期間に気を付けるべきNG行動も知っておきましょう。
激しい運動
激しい運動とは、30分以上の長時間のランニングや、リフティングなどの歯を食いしばる運動を指しています。また、息切れや立ちくらみが起きたり、息を止めたりするような運動も避けた方が良いでしょう。スマートウォッチ等で心拍数を計測する場合は、20~30代なら145~150回/分以上にならないよう気をつける必要があります。
無理なダイエット
生理中は、激しい運動や食事制限などでダイエットを行うことは避けてください。長時間、負荷がかかる運動をすることで、かえって血液循環が悪くなり、めまいや吐き気など脳貧血の状態を起こすことがあるからです。
また、ダイエットによる心身のストレス増大や急激な体重減少は、無月経を引き起こす恐れも。無月経の状態で女性ホルモンバランスが崩れると、骨粗鬆症や排卵障害、不妊の原因にもなりかねません。もし、生理周期が乱れたり、月経が3カ月以上こなかったりした場合は早めに医療機関を受診しましょう。
参考:http://jsog.umin.ac.jp/70/jsog70/5-1_Dr.Ono.pdf
体を冷やすこと
生理期間は、子宮内膜が剥がれ落ちることで低体温期になるため、身体の冷えを感じやすい時期です。冷えは、生理痛や頭痛の悪化を招くため、腹巻きやカイロなどで下半身を温める習慣を心がけてください。保温性に優れたシルク素材のレッグウォーマーは、季節を問わずサラッと着けられます。
また、生理中は、アイスクリームやパイナップルなど体を冷やす果物もできるだけ控えて、温かい豆乳やココアを選ぶのがおすすめ。エストロゲンと似た構造の大豆イソフラボンは、生理痛の緩和につながり、ココアに含まれるポリフェノールは冷え改善が期待できます。
カフェイン、アルコール、タバコは控えめに
生理中は、普段の嗜好品を少し控えめにすることも大切です。ブラックコーヒーや紅茶に含まれるカフェインや、タバコのニコチンは血管収縮作用があるため、 生理痛を悪化させてしまう原因に。
また、お酒の飲みすぎにも注意が必要です。生理中は、排出される経血によって、ただでさえ貧血の状態。アルコールの利尿作用が加わると、ますます脱水症状を起こしやすくなってしまいします。また、循環血液量が減っていることで血中アルコール濃度が通常より高くなって、悪酔いすることも少なくありません。飲み会でも無理をせず、ノンアルコール飲料と組み合わせて、自分の体調を優先しましょう。
まとめ
生理中は、身体や心の変化でストレスが増えやすい期間。心地よいと感じる適度な運動習慣が、PMSや生理痛を緩和してくれます。締め付けの少ない服装で、ヨガやウォーキングなど楽しみながら体を動かしましょう。