人の目を気にせず好きな洋服が着たい!

「タイトな洋服を着ると男性からの視線を感じるのが嫌だ」という読者の声に、「わかる~」とエライザさん。
今回もそんなお悩みをテーマに、上野千鶴子さんと池田エライザさんが徹底討論します!

池田エライザ。ar6月号より

対談してくれたのはこのお二人。

自分ウケな洋服なのに男性の視線が…

エライザ 自分では華奢ではないと自覚はあったけれど、周りより少し身体が大きいだけだとあまり気にしないで育ったんです。
10代で芸能活動を始めた途端、「胸がデカいから頭が悪い」「胸が大きい人は性にだらしない」みたいに決めつけられて、しん
どかったです…。

千鶴子 どこでどんな風に言われるわけ?

エライザ 例えば、シリアスな番組に出た時に「池田エライザは乳だけ出してしゃべらなくていい」ってネットに書かれてい
ました。芝居でも「胸ばかり目立って芝居に目が行かない」というコメントにショックを受けて、揺れないようにサラシを巻
いたりも。ありのままの自分の身体は好きだし、セクシーさも楽しみたいけれど、現実は消して消して…。芸能界に限らず、体型への偏見で苦しんでいる人は多いと思います。

千鶴子 そういうの聞くと、変わらないなって思いますね。ネットだったらまだオフにできるけど、昔のおっさんたちは面と向かって「ボインだねー」って、もんだり触ったり平気でしてたから。面と向かって言わなくなっただけ、ましにはなったかも。今はセクハラじゃないかって男性も気にするようになったでしょ。世の中が変わるっていうのは、建前が変わることだと思うの。初めて「痴漢は犯罪です」ってポスターを見た時は本当に感動した。痴漢が犯罪になっても痴漢はなくならないけど、社会が「アウトだよ」と表明することに意義がある。痴漢をする人たちの本音は変わらなくても「やってはならないことをやってる」っていう建前ができたことは、進歩です。

エライザ 最初の話に戻っちゃうんですけど、ドレスで舞台挨拶に出た時に、「大胆露出!」とか「惜しげもなく谷間をチラ
リ」とネットニュースの見出しにされるのも複雑な気持ちです。作品や自分の発言とは関係ないし、服が好きでブランドやデザイナーをリスペクトしているから余計にがっかりします。

千鶴子 おっさん向けメディアは相変わらずね。でも、あなたが支持してほしい対象やマーケットとは違うんじゃない?女性を性的な商品だと思ってるおっさんメディアでは、露出度の高さを商品にさせられる。女性というだけで学者でも政治家でも宇宙飛行士でも、顔や体型を品評しようとする。そういう時はね、あなたに判定される理由はない!って毅然としてればいい。露出度高い服を着たって、あんたのためじゃねえよ!って堂々とね。女の子たちは抑圧から解放されて、どんどん好きなファッションを楽しめばいい。

エライザ そうですね。今は自分ウケという言葉があって、女の子たちが自分にウケるファッションとかメイクを楽しもうと盛り上がっています

千鶴子 昔は、痴漢やセクハラにあったら、お前の格好が悪い、露出度が高いんだって被害者の責任にされていたの。加害者や周りの人だけじゃなく、裁判所までそういう判断をしてきた。でもね、どんな格好をしようが加害者が悪いという風に常識を変えてきた。

エライザ 自然に変わったんじゃなくて、変えてきた人たちがいたんですね。

千鶴子 そうそう。リブの女たちは、「ブスのヒステリー」とか「女たちは黄色い声で叫んだ」とか書かれながら闘ってきた。長い間、女は男のために存在し、男に認められてなんぼとされてきたけど、あなたに認められなくて結構よ!ってね。

Model:池田エライザ
Photo:Hanamori Yuri
Styling:Ito Makiko
Hair Makeup:Inomata Maiko(TRON)
Text:Osada Anna
Composition:Suemura Mana