僕のあまのじゃく#10

ティモンディ前田裕太さんの人気コラム【前田裕太の乙女心、受け止めます!】がリニューアル。

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ガラリと雰囲気を変えて、毎週変わるお題に沿って、前田さんに自由に言葉を紡いていただくブリースタイルエッセイ【僕のあまのじゃく】をお楽しみください♡

テーマ:「友達」

大人になると、なかなか友達ができなくなる。
いや、元々友達は少ない方なのだけれど、その増減はリーマンショックの日経株価もかくやというほどに下落の一途を辿っている。
これではいけないと自覚はあるものの、原因はなんとなく分かっている。

もちろん新たな出会いが少なくなったことも関連しているけれど、年齢を重ねれば重ねるほど、友達認定をする検問官が容易に友達と認める判を押さなくなった節があるからだ。

その程度の関わり合いでは、友達とは言わぬぞ。
相手は友達だなんて思ってない、失礼だぞ。
調子に乗るなよ。と精神的入国を拒否し心の予防線を張っている。

心を傷つけまいと、今や侵入者を拒むレーザーセンサーのように四方八方に予防線を張りぐらせた結果、自分自身も身動きがとれなくなってしまった。
見るも無惨に。
でも、傷つくよりはよっぽどマシだ。

歳を重ねるほど、傷口の治りは遅くなるのは身体だけではないし、擦り傷も致命傷になりかねない。
そう考えると、新しい友達は出来ないし、なんなら別に必要ないと開き直る始末。
何をそんなに傷つくことがあるのか、と自分でも思うけれど、単にあれこれ理由をつけて、新たに交友関係を築くのが面倒なだけなのかもしれない。

大人になってからの友達の作り方

ある日、Twitter上で、私の好きなサッカーチームのファンが有志で観戦会をしましょうと呼びかけているツイートを見かけた。
私の趣味にサッカー観戦がある。
というのも18歳の頃からドイツのドルトムントというサッカーチームを溺愛している。
ドイツと日本の時差の関係上、試合を観られるのはいつも深夜で、普段一人で夜な夜な観戦しては、あーだこーだ空間に向かってうわ言を並べてばかりの日々。

そんなこともあって、自分と同じ好きなものを愛する同士達が集まる観戦会ツイートに興味を唆られた。
独りを楽しんでいたし、友達なんていなくても良いと心の城壁を万里の長城ほどに伸ばしていたけれど、友人なんて、いたらいたで楽しいに決まっている。
四の五の言わず躊躇いがちな一歩を踏み出してみようと、思い切ってその観戦会に参加することにした。

当日は仕事があって終わったその足のまま、主催者が準備してくれた会場に行った。
見知らぬ人の中に飛び入る事もそう無いので、少し浮き足立った状態で会場についたのだけれど、会場の中では各々が好きな選手のユニフォームを着ていて、既に始まっている試合に一喜一憂していた。

能天気な私は仕事終わりで、私服で会場に行ってしまい、早々に失敗を犯してしまった。
これだったら私もユニフォームを着て行ったら良かったと後悔したけれど、そもそも盛り上がっている試合の途中から観戦会に参加するなんて、シラフの状態で知らない人達の3次会に参加するようなもの。
十分に手遅れだった。

右でも左でもグループが出来て、雑談しながら大型スクリーンに映る試合を観戦して盛り上がっていた。
3学期に転校してきた学生のような気持ちってこんな感じだったんだろうな。
熱い展開の試合が繰り広げられる中、僕の友達作りの試合は早々に終了のホイッスルが鳴っていた。

せめてサッカーの試合だけは勝ってくれと願って独りで観戦していると、とある選手が、あまり目立たないけれどチームのために効く働きをしているのを目にした。
「いい仕事するなあ」
気付いたら普段のように独り言を口にしていた。
するとその瞬間、近くにいた同年代くらいの男性が、その選手を見て「いい選手だなあ」と私と同じようなことを口にした。

お、分かってる人いるねぇと目線を向けると、彼もこっちを見て「ですよねえ」と話しかけてきた。
今のプレーがどうの、と言葉を交わしていると、自然とそのまま二人で試合を観戦する流れになった。
一人で観戦していた僕の試合もまだ終わっていなかったのだ。

諦めたらそこで試合終了なのだろうけれど、諦めていても試合は終了していなかった。
こんなパターンもあるんだね、安西先生。
共通の趣味があると、話は意識しなくとも弾む。
気がつくと、その男性と試合についてああだこうだ観戦しながら楽しく話をしていた。

大人になってからの友人の作り方なんて、教えてもらったことがないし、実際、友達なんてなかなか出来ない。
ただ、普段は触れない世界には、まだ見ぬ友達がきっとまだいるのだろうな、と思う経験をした。
5年以上前の話だけれど。
他人に見切りをつけず、また何か別の趣味でこの先、また友人が増えることに期待したい。

ー完ー

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