僕のあまのじゃく#25

ティモンディ前田裕太さんの人気コラム【前田裕太の乙女心、受け止めます!】がリニューアル。

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ガラリと雰囲気を変えて、毎週変わるお題に沿って、前田さんに自由に言葉を紡いていただくブリースタイルエッセイ【僕のあまのじゃく】をお楽しみください♡

テーマ:「あくび」

あくびって我慢しないといけないという風潮に全く理解ができない。
私は社会人経験が無いので、分からないけれど、きっと大事な会議の中で大きなあくびをしたら上司とかに怒られるんでしょう。

高校時代には、練習中の休憩時間にあくびをしたら「お前何あくびしてんだよ」と先輩にボコボコにされたことがある。
こんなことなら学校で教えて欲しかった。
他人の前であくびをすると怒られますよ、だなんて習ったことないのに、何故我慢したり、口元を隠したりしないといけないのだろう。

退屈だと思う時に必ずあくびが出るわけでもないし、相手への侮辱行為でもない。
調べたら、あくびというものは脳が酸素を取り入れてリフレッシュしようとする行為であって、仕事のクオリティを考えたら我慢するよりもよっぽどあくびをした方が、その先の仕事の質に良い影響があるらしい。
良い行為ではないか。

けど、一定数の人間は、「俺はあくびをするのは必ず眠い時だから。今眠いって思ってたんだろ」という一方的な思考の押し付けであくびを咎めるのだろう。
私は仕事中のあくびは大いに結構だと思っているけれど、他人の行動を許容できない心の狭い人間達に咎められるせいで仕事が減るのも嫌なので仕方なくあくびが出そうなときは我慢している。

あくびって悪いことなんだろうか

悪い行いではない生理現象を咎める人が跋扈しているのは、なんて生きにくい世の中なのだろうか。
以前、仕事をしている時に、カメラが回っている最中、若いモデルさんがあくびを我慢している瞬間があった。
それが目立った訳ではないのに、収録が終わった後、その子のマネージャーに「あんたあくびしてたでしょ」と叱られている場面を目にした。
「ごめんなさい」とその子は反省していたけれど、謝るなよ、とつい口に出してしまった。

運のいいことに当事者には声が届かなかったので良かったけれど、そんな大罪を犯したわけでも、そもそも悪い行為でもない。
仕事が台無しになった訳でもないのに、怒るのはおかしいだろ、と心の中では憤慨していたのだけれど、他事務所の方針に口出しする資格もないので、結局、ぐっと歯を強く噛み込むことしかできなかった。
情けない。

こんな理不尽が世の中では当たり前なのだろうか。
異性と逢い引きをした時にあくびをした時には、「楽しくないよね、ごめんね」と悲しそうに気を遣われてしまった。
「そんなことないよ」と言うと、「だって眠そうだもん」と言われたけれど、あくび=眠いと決めつけるのは短絡的だし、眠い=楽しくないという考えに至るのは浅慮だという旨の返答をした結果、あくび関係なく険悪な空気になってしまった。

みんなにはあくびで大きな口を開けた時に見える喉ちんこが、地面に向かって親指を突き立てているように見えるのだろうか。

読者諸兄姉も、他人のあくびには寛容であって欲しい。

ー完ー

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