僕のあまのじゃく#29

ティモンディ前田裕太さんの人気コラム【前田裕太の乙女心、受け止めます!】がリニューアル。

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ガラリと雰囲気を変えて、毎週変わるお題に沿って、前田さんに自由に言葉を紡いていただくフリースタイルエッセイ【僕のあまのじゃく】をお楽しみください♡

テーマ:「指輪」

オシャレで指輪をしている男が気に食わない。
細い指にお洒落なシルバーリングなんかつけている男をみると「っけ!」と心で悪態をつく。
何故か。

別に、旧時代的な考え方で、男とはこうあるべきだ!という大鉈を振りかざしたい訳では無い。
私の指が太過ぎて入らないからだ。
同様の理由でスキニーを履く男も気に食わない。
羨ましい、嫉妬というような感情がどこかにあるのかもしれない。
青春時代に周囲にオシャレな人間がいなかったから、そういう影響も多少あるのかも知れない。

なんだ、私の青春時代にはあんなキラキラした連中いなかっただろって。
眉毛をちょっと剃っただけでボコボコにされていた思春期を過ごしたら、そりゃそうなるだろう。
可哀想な男だと優しい目で見てやってほしい。

ピアスなんかしてる男も気に入らない。
耳たぶに穴をあける勇気が私には無いからだ。
でも、この嫌いだと思う理由を掘り下げて考えてみると、単に嫌いだという訳ではなく、自分の人生に置き換えて、ピアスをあけようと考えることが理解出来ないから苦手だと感じるのかもしれないなと思った。
理解が出来ないものっていうのは怖い。

幽霊も、呪いも、昆虫も、理解が出来ないから怖く感じたりする。
きっと私は細身で指輪をしている男は、気に食わないんじゃなくて、怖いんだ。
私の高校時代なんて全員坊主で、オシャレなんて皆無。

充実した毎日だったり、逆に暇を持て余しながら友達とワイワイ楽しく過ごしたり、そんな明るい日常に身を置くという選択をしなかった自分としては、どんな感性を持っているか分からない畏怖の対象なんだ。

僕はモルモットだったのかもしれない

番組で、動物園にお邪魔した時にモルモットに触れさせてもらった。
その時、モルモット達はキューキューと鳴き声をあげて、私に対して異常なまでに怖がっていた。
いや、そんな危害は加えないからさ、そんな恐れなくても、と思ったけれど、ハッとした。
私も、指輪をしている人に対して、同様の怯え方をしているのではないだろうか。

モルモットたちは人間という生き物を理解していないし、違う生き物だという理由で恐れているけれど、私が指輪をする男性に対して感じている恐れも、ある種同義。
「怖がらなくて良いんだよ」とモルモットに近づいても、キューキューと可愛く鳴き声をあげて、近づける手から逃げてしまう。

私の場合は鳴き声をあげず、代わりに偏見の目を向けるのでタチが悪い。
自分と全く違う、理解出来ないからと言って、拒絶するのは違うし、拒絶されるのは悲しい。
ダイバーシティだのいう今の世の中で、この考え方は是が非でも変えた方がいい。
変えねばならない。

かと言って、育った環境が極端だったので、いきなり考えを変えることは出来ないけれど、心の中で悪態をつくのをやめていきたいと思う。
そして、怯えるにしても、嫌悪して偏見の目を向けるのではなく、キューキューと可愛く鳴くようにしたいと思う。

ー完ー

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