僕のあまのじゃく#46

ティモンディ前田裕太さんの人気コラム【前田裕太の乙女心、受け止めます!】がリニューアル。

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ガラリと雰囲気を変えて、毎週変わるお題に沿って、前田さんに自由に言葉を紡いていただくフリースタイルエッセイ【僕のあまのじゃく】をお楽しみください♡

テーマ:さようなら

中学2年生の頃、ELLEGARDENにハマった。
以後、エルレと略称を使用していくことにする。

私とエルレとの出会いは唐突だった。
友達の家に行ったとき、そいつの兄ちゃんが部屋で曲を流していた。
それが部屋から漏れて聞こえてきたのだけれど、それが、もうビックリするくらいイカした曲だったのだ。
イカしたって表現がなんだか年代を感じさせてしまうけれど、今の若い子がシビれるものを表現するのに、如何なる言葉を用いるか分からないので、僅かな恥ずかしさを感じながらもイカした、と表現したいと思う。

隣の部屋から流れるイカした曲が、私の初めてのバンド曲との出会いだったかもしれない。
その場で、隣の部屋に乗り込んで、このイカした曲なんですか?!と、そこまで面識のない友人の兄に不躾な質問をぶつけるくらい琴線に触れた。
その時に流れていたのが「ジターバグ」という曲なのだけれど、もう、本当にイカしていた。

なんか、イカしたって表現のダサさに自分が耐えられなくなってきてしまった。

エルレの音楽は、当時の私には眩しく感じた。
耳から聴いているはずなのに、視覚にチカチカするくらい、疾走感のある光を感じたのだ。
こう言うと、とても詩的な感受性を持っている男のように思えるけれど、全くそんなことはない。
当時の私には、本当に目にくるくらい刺激的だったのだ。

その場で仲良くもない友人の兄にCDを借りてしまうくらい心を射抜かれ、それからというもの、自分の周りの友達に、さも自分が見つけてきたかのような顔で、めちゃくちゃいい曲があるんだよ、と言ってエルレの曲を布教して行った。

「まださよならも言えてないのに」

そこから、同時期にSOUL’d OUTという伝説的なグループにも心を奪われ、私の青春時代は、ほぼその2グループがウォークマンの曲を占めていた。
ウォークマンももう伝わらない時代になってきたのか。
年齢は重ねるほど伝わるものが少なくなってきて、昔のものを伝えるのも難しくなってきてしまったなあ。
携帯できる音楽再生機器だと思ってもらえればいい。
当時の携帯は、着メロと言って、連絡が来た時に自分の好きな音楽を設定できたのだけれど、親からの連絡が来た時は、エルレの曲を設定して友人からの連絡が来たら、SOUL’d OUTの曲にして気分を上げていた。

ただ、そこから高校に入り、
愛媛で寮生活をしながら野球部での練習に励む日々を送ると、一気に世の中と隔離される期間に入る。
朝から晩まで野球漬け。
そんな生活を3年間みっちりとして、私の青春が幕を閉じたのだけれど、その間に、なんと。
私の好きだった2グループが活動休止してしまったのだ。

知らない間に敬愛するグループが2組ともおやすみになってしまった、それを知った時の大学1年の時の衝撃ったらない。
まだ、さよならも自分の中で言えてないのに。

そこからというもの、私は、世の中で活動している人たちで、心を揺さぶれれたものがあったとしたら、いつさよならが来るか分からない、というのを身をもって経験したので、いつ活動休止になったとしても、自分の中で、気持ちよくさよならが言えるくらい会える時には会いに行くし、CDも買うし、グッズも手に入れるようにしている。

もう見ることができないと分かっていたら、と後悔することがないように、応援できる時に自分のできる最大限の応援をすると決めるに至ったのだ。
音楽をしてるグループはCDとライブとグッズが応援になると思っているから、そのような応援の形になっているのだけれど、これは今後も継続していこうと思っている。

嬉しいことに、エルレはまた活動を再開したのだけれど、これからも、さよなら、と後悔のないまま言えるように、自分の好きなものは一生懸命に応援していきたいと思う。

ー完ー

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