僕のあまのじゃく#61

ティモンディ前田裕太さんの人気コラム【前田裕太の乙女心、受け止めます!】がリニューアル。

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ガラリと雰囲気を変えて、毎週変わるお題に沿って、前田さんに自由に言葉を紡いていただくフリースタイルエッセイ【僕のあまのじゃく】をお楽しみください♡

テーマ:買い物

また、ネットで服を買ってしまった。

なんとまあ、学ばない奴なのだろうか。

リメイクで作られたジャージなのだけれど、Instagramの広告で流れてきて、広告費を出した会社の目論見通り、あれよあれよという間に購入してしまったのだ。

でも、素敵だったんだから仕方ないでしょ?

その積み重ねで、カードの請求額に頭を悩ませるのだから世話がないけれど。

心躍るたびにお金を使っていて、我ながら単純だなと思う。

滅多矢鱈に購入ボタンを押しているが、それは本当に欲しい物なのか、と問う輩もいるだろう。

労働の対価として金銭をいただいている。

その、自分の労働を、その物に変えることは、果たして妥当と言えるのだろうか。

そういう考えもあることは分かるけれど、なんという悲しい考え方なのだろうかと思う。

私は、自分が素敵だな、と思ったものには、出費は惜しまない。
もちろん、使える資産に上限はあるけれど、あまり貯金をしようという概念はない。
買い物をして、余ったお金があるのなら貯金をするけれど、我慢して貯金をする、という考えはあまりない。

昔「TATTO HEARTS」という漫画が好きで読んでいたのだけれど、これが本当に面白かった。

ジャンプで連載をしていたそれは、幼いながら、当時の私をワクワクさせて、友達が買ったジャンプを立ち読みしていた。

それが、連載が打ち切りになってしまったのだ。

14話でだ。

早すぎる。

まさに、物語はこれから!って時だったのに。

理由はきっと色々とあるのだろうけれど、これも、きっと漫画が売れていれば、こんなことにはなっていなかったはずだ。

私の好きな主人公のお話が、金銭を出し渋ったせいで、志半ばで終わってしまったのだ。

まだ敵だって2人くらいしか倒してなかったのに。
なんか壮大な組織と戦うぞ!と匂わせて、それでお話は終了。

できれば、最後まで、彼らの活劇を見届けたかった。

ただ、好きなものは買わなければ、世の中から無くなってしまうのだ。

服だって、素敵だと思ったものに金銭を支払わなければ、そのデザインは需要がないと見做されて、生産をしなくなってしまう。

世の中は、買われるものが生産されて、買われないものは流通しなくなっていってしまうのだ。

悲しいかな。

良いと思ったものを買わなければ、世の中から自分の素敵だと思ったものはどんどんなくなっていってしまう。

金銭とは、自分の好きなものを世の中に残すための資産。

もちろん、最低限の計算をして貯金をしていくのも大切だけれど、度が過ぎると、どんどん心が躍るものが少なくなっていってしまう。

読者諸兄姉も、罪悪感など抱かず、自分の好きなものの存在のために、大いに浪費生活を謳歌しようではないか。

ー完ー

ティモンディ前田裕太「僕は家に鍵をかけない」【僕のあまのじゃく#60】

ティモンディ・前田裕太「売れても変わらないようにするにはどうすれば?」クレバーすぎる頭のナカ