僕のあまのじゃく#74

ティモンディ前田裕太さんの人気コラム【前田裕太の乙女心、受け止めます!】がリニューアル。

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ガラリと雰囲気を変えて、毎週変わるお題に沿って、前田さんに自由に言葉を紡いていただくフリースタイルエッセイ【僕のあまのじゃく】をお楽しみください♡

テーマ:自信

私は劣等感の塊だ。
あれができない、これが足りない、と欠如しているものを痛感しながら日々を過ごしている。

現状に満足したまえ、と言う者もいるだろう。
けれど、それは現状に満足できている者の余裕があるから、そう言えているに過ぎない。

「お金が全てではない」という者が往々にしてお金持ちで「顔が全てではない」という者が大体容姿に恵まれているのと同様だ。
如何に素敵な言葉をかけようと、自信を肯定できている人間からの声は、劣等感まみれの人間には届かない。
大体、みんな素敵だよなんて言葉を投げかけてくる人間は、自分を愛せている人だろう。

私だって産まれた頃は純粋で真っ直ぐな精神健康児だったのに、何故こうも根からひん曲がってしまったのだろうか。

原因を探ってみると色々な要因が挙げられるけれど、間違いなく言えることは、自分に自信がないからだと思う。
世の中自分に自信のない人間の方が多いのではないだろうか。

私は、基本的に人間は自信がない生き物なのだと思っている。
私が特別おかしい訳ではない。
あなただって、きっと自信がないのだ。
気づいていないかもしれないけれど、あなたは私の仲間なのだよ。

生まれながらに自信のある人は、自信があるというより、世間知らずなだけに思える。
周囲を見れば自分よりも上の人はいくらでもいるし、その人たちと同等に渡り合おうなんて思ったら、普通は不安な気持ちの方が強くなるだろう。
社会と繋がっている以上は、世間の評価に晒されて生きていかねばならないし、その度に自身と他人を比べることになって自信を失っていくことになる。

では、そのまま劣等感のある自分ごとは愛せないものなのだろうか。
んー難しい設問だ。

ポジティブな先輩達を例に、その答えを模索したいと思う。

明るい性格で、自分に自信のある代表格といえば、我らが大先輩のさんまさんである。

明石家さんまさんは、どんなことでも落ち込まないという。

ポジティブモンスターだ。

その理由を探ってみると、どうやら落ち込む原因は自分が”出来る”と思っていることにあるという。
出来るはずなのに、出来なかった事実が、自分を落胆させるらしい。

だから、自分が出来ると過信しない。

さんまさんはそう言っていた。

ああ、つまり私は自分ができる人間なのだと根底に思っていたということなのか。
自分に期待をしてしまっているのだろう。
劣等感の塊だと自分のことを思っていたけれど、それは”したい”ことや”できると思っているレベルのこと”ができないから落胆しているだけで、自分のキャパを理解してその中でやりくりするしかないと割り切れば、気持ちも落ち着いてくるという理屈だ。
さすがポジティブモンスターのお笑い怪獣レジェンド。

ただ、今の私が、自分は出来ないのだから、と言い聞かせることは、いい方法ではない気がする。
自分にはできないのだから、と烙印を押してしまっては、どんどん自分のことを嫌いになってしまうからだ。
もう少し、自分の愛せる部分を数点見つけてから、この方法を試してみたいと思う。

他に誰か参考になる人はいないものか。

そんなことを思っている時、南海キャンディーズの山里さんと話をさせてもらう機会があった。
これは絶好の機会だ。
自分に自信をつけることのできるヒントが見つけられるのではないか、と胸を躍らせて、色々と質問をぶつけた。

私は、山里さんのことをテレビを見ていた時の印象から、自分にあまり自信のない人なのかなと勝手な印象を持っていたけれど、聞いてみて気がついた。
私とは全く異なる人種だ。

実は、自分が大好き。
彼はピカピカのスターだったのだ。
彼から溢れ出る自信も相まって、私には眩し過ぎて一等星が歩いているように見えた。

聞くと、芸人を始めた当時からマネージャーが精神的にも凄い支えてくれて、彼は天才だ、とチヤホヤしてくれていたらしい。
そのおかげで、自分自身も自分に対して自信を持てて、その自信を失うことなく、結果として、今の地位が築けたという。

なんだよ。
仲間じゃないのかよ。

思えば、私はプロ野球選手を目指して、ひたすら野球しかしてこなかった時代があったけれど、結果として夢は叶わず挫折したし、
弁護士を目指して勉強をしたすらに続けてきたけれど、それも実現はしなかった。
人生の全てを捧げるくらいに努力したつもりだったものが、悉く叶っていない、失敗続き人間。

そんな人間が、自信なんてつくはずもない。
失敗だらけの連続なのだ。

山里さんも、参考にはならないのか。

ただ、山里さんは当時のマネージャーが期待をしてくれて、褒め続けてくれたから、落ち込むこともなかったと口にしていたことを思い出す。

もしも、私も自分に自信を持てるようになるのだとしたら、きっとここにヒントがあるはずだ。

身近にいる人間にそういう人がいないのであれば、自分自身がその褒める役割をこなせばいいのではないか。
自分で自分をひたすらに褒めれば、きっと自信が出てくるのではないか。

欠落している部分だらけの人間だけれど、ものは試しに、自分を褒めてみるところから一度チャレンジしてみようかな、と思う。

「締め切りは過ぎているけれど、こうやって執筆を続けていて偉いぞ!前田!」

あれ、何だか改めて自分の人間性に疑問を持つようなものが露呈してしまったような気がする。
なかなか難しいなあ、これ。

自分に自信をつける旅は続く。

ー完ー

ティモンディ前田裕太「今年の目標が決まった」【僕のあまのじゃく#73】

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