そして共演されている方々のあたふたした反応も、まさにリアルが潜んでいますね。
そうなんですよ。そこもポイントで、エキストラさんには撮影の詳細を説明しないまま当日来ていただきます。「黒い靴とズボンを持ってきてと言われまして…。で、なんの現場ですか?」みたいな状態。そこでちょっとだけ役柄とリアクションを説明させていただいて、本番は急に「なんすかこれ!」みたいな空気が始まるので、困る人がいっぱい。その困る顔がまた面白い!
そして多くの人をトリコにする、想像を超えた映像が完成するのですね。秋山さんの今後の野望は?
いろんな職業のプロになってきましたけど、微生物とか、何億円もだまし取った魔性の女詐欺師とか、もう何年も前からクリエイター度外視になっていますから。自分が扮装したいものをやるスタンスは今後も変わらないと思います。
この10年間を振り返って変化したことはありますか?
体重が10kgほど太りました。おかげでそのまんま力士やアジアの巨像になれます。逆に「アルセーヌ・ダルタニアン」というパリコレモデルではボディラインを黒く塗って、後ろに黒背景を持ったら細く見えるので、ヤセるテクニックを習得できました。体型はどうとでもいけますね。ミイラはヤセているのが常識なら「史上もっとも肥えたミイラ」と言えばいいだけの話。自分の体の変化も楽しみながら遊んでいます。
ロングヘアもとてもお似合いです!
この髪の毛もね、ノープランで伸ばしていたら、カツラがいらないくらい地毛が活躍しています。若い頃はワックスで空気感を出していましたけど、今は空気感ゼロスタイル。1ミリも空気が入らないように椿油で押さえつけています。不思議なもので、自分のこだわりは変わってきますよね。
椿油でスタイリングしているのですね。
脱衣所にも置いて、風呂上りに全身に塗っています。考えられないでしょう。あぶら(皮脂)を落とすために洗顔したのに、またあぶらを塗るって。でも肌に塗ると、日焼けがワントーン上がっていい感じにカメラに映るんですよ(笑)。
読者には仕事や恋愛がうまくいかず、自分を好きになれない人も多いです。前向きになれるアドバイスをください!
性格の変な部分だったり、うまくいかないもどかしさは自分がいちばん知っているから、自己嫌悪に陥るのは当然だと思います。僕は結構自分のこと好きですけど、「好きだなぁ、じぶん♡」っていつも言ってたら気持ち悪いでしょう(笑)。偉そうなこと言えないけど、芸人になって26年かな、失敗した経験はすべて材料になっています。「何年前すごいことがあって」みたいに話す材料がないほど、面白みのないことはないので。これは芸人に限らず、「昔、自分が嫌いな時期があってさぁ」「どこが嫌いだった?」みたいに、その経験をしたからこそ話せる材料がたくさんあると、その人自身に深みが出るのかなと思います。
すべては人生の糧になるということですね。
そうですね。みなさんも演じてみたらどうですか。望み通りの人物像だったり、あえてイヤなやつを期間限定で演じてみて、“このスタンスが楽だな”というキャラクターを見つけてみると、自分に新しいキャラを取り入れられます。お試しなので気楽に、架空の人物を演じてみると楽しいかもしれません。
秋山さんもクリエイターズ・ファイルを続けていい影響を感じていますか?
はい。適当なことばかり言ってますけど、なんとなくそれっぽく言っていたらその場がまとまる。そのうちにいろんな場面を乗り越えています。“これはこれで、まぁまぁ良い感じの空気になってる”みたいな状況もいいものです。
持ち味がどんどん進化する秋山さんから目が離せません。最後に、この展覧会に来場する方にメッセージをください。
最初はフリーペーパーから始まり、少しずつ観ていただける方が増えて10年目で100万人の登録者に達成しました。いつも応援してくださる方への感謝も込めて、10周年という記念のクリエイターズ・ファイルを楽しんでいただきたいです。ぜひ胸やけを覚悟して遊びに来てください!
「10周年 クリエイターズ・ファイル 胸やけ大博覧会」 in 池袋
2017~18年の約1年間で、累計25万人を動員した展覧会「ロバート 秋山竜次プレゼンツ クリエイターズ ・ファイル祭」が一層パワーアップ。体感型エンターテイメントを軸に、ここでしか見ることのできない展示物や撮り下ろしの映像、100人を超える全クリエイターが勢揃いする狂気の部屋など、数々の展示が目白押し。開催期間中には、人気クリエイターが続々登場する熱狂必至のイベントが開催されるかも⁉ 展覧会記念グッズをはじめアパレル・雑貨・出版物などのクリエイターズ・ファイル公式グッズも販売予定。詳細はこちら
Styling:Furusawa Ai
Hair Makeup:Ito Yuka
Text:Iida Honoka
Composition:Kamakura Hiyoko