マッチポンプ

この根深い問題を理解するためにはまず「マッチポンプ」を理解しなければなりません。その説明から始めましょう。

マッチポンプ?



消防士?

消防士になる方というのは多かれ少なかれ「火事で命を落とす人を1人でも減らしたい、助けたい!」という気持ちがあって消防士になっていることでしょう。

そうですね。

もちろん、理由がそれだけということはないでしょうが、その気持ちが0ということはないはずです。もし0なら、命の危険があるあんな仕事に就きたいと思うはずがありません。本当に心の底から尊敬します。

そうですね。本当に有難いです。

で、ここまでは良いのですが、これが強すぎると「命を救って、みんなのヒーローになりたい」となってきます。

? 別にいいんじゃないですか?
確かに「火事からみんなを守りたい」と「火事からみんなを守って、ヒーローになりたい」は極めてよく似た感情です。
それに英雄願望は誰しも持っている当然の感情。それがなければ、どうして火の海に突入することが出来るのでしょうか?
確かにその海の中に、自分の助けを待つ人間がいる。その人間を救いたいから突入する。
しかし、その感情だけで突入できるほど人は強くはないのです。
その人間を救えば、自分は英雄になれる。
その感情は緊急時においては必要な感情でしょう。個人的な経験則で語れば、こういう英雄願望持ちほど緊急時に役立つ人間もおりません。

だから、何が悪いんですか?
その英雄願望がこの割合ならいいのです。
しかし、それがこうなると危険です。

??? 何が悪いんですか?
「ヒーローになりたい」という気持ちが「命を守りたい」を上回ってしまった消防士が働いているエリアで火事が全然発生しなかったらどうなりますか?

良いことじゃないですか。
彼はヒーローになりたいんですよ?
全然ヒーローになれないじゃないですか。
だから、もしその気持ちが大きくなりすぎてしまったら、放火するんです。
自分で家を燃やし、その住人を命の危機に晒し、そして救い、ヒーローになる。
これをマッチポンプと言います。

あ…… !
マッチポンプという言葉が有名なので消防士を例にとってしまいましたが、これはあらゆる業界で存在する問題で御座います。

そうなんですか?
ええ。残念ながら。
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