「最後は少し上級者向けで、背骨に着目した動きです」

ー背骨ですか?

自律神経のホルモンは背骨に沿って出る箇所があるので、背骨をほぐすことも大事なんです。
背骨は全身の中でもっとも細かく小さな骨が密集している部分。1本の棒のようにがちがちな状態ではなく、背骨の1個1個を動かしてほぐしてあげることで、自律神経が整っていきます」


ーすごい! 背骨1個1個を動かすイメージを持つだけでも、何だかほぐれてくるような気分になりますね。

「そのために有効なのが、”キャットカウ“というヨガの動きです。椅子に座り、足の親指で床を踏みしめたら…」

「下のほうから少しずつ上体を丸めていきながら、4拍かけて息をゆっくり吐きます。まず下腹部やおへそが背中に近づくように後ろに引きます」

「次はみぞおちを後ろに引く感覚で、背中へ近づけます」

胸の真ん中を後ろに引きます。同時に肩甲骨を左右に広げます」

「あごを引いて背中をもっとも丸くします。ここで息を吐き切ります

「ここからはまた4拍かけて、息を吸いながら上体を起こしていきます。足の親指で床を踏みながら、を少し起こします」

座骨で床を押す感覚で、腰を起こします」

「丸くなっていた肩甲骨を下にさげるように、元の位置へ」

「最後に顔を上げます」

ーこうして自分の身体の動きに意識を向けると、自然と呼吸がゆっくりになりますね。

「そうなんです。それにリラックスした呼吸は、吸うと吐くのあいだに”“があるんですよ。
たとえば温泉につかった時、”ハァ~“とリラックスしてため息をつきますね。脱力していると、すぐには息を吸わなくないですか?」


ーたしかに吸わないです!

「”“ができますよね。つまり、この“間”をつくるような動きを伴えば、自然とゆっくりと深い呼吸ができるようになるんです」

ーなるほど! 先ほどのキャットカウは、まさにそういう動きなんですね。

「はい。ゆっくり呼吸すると、身体の末端まで酸素がいきわたるから、自然とポカポカしてきますよ」

ー寝る前はもちろん、起き抜けで身体が冷えている時や、疲れがたまってきた時にも、ゆっくり呼吸するとよさそうですね!

たかが呼吸、されど呼吸。
深くリラックスした呼吸を身につければ、副交感神経が高まって心地よい状態をキープできるから、家や会社、電車の中でもいつでもトライしてみて。

これで五月病も怖くない! 明日から学校やお仕事、頑張りましょう☆


平賀きょう子先生
東京・日本橋「スタジオシャンティ」 代表、「呼吸ヨガ®︎」の創始者。スタジオでのヨガ指導のみならず、数々の雑誌や書籍での執筆も手掛ける。


Photo: Oka Chisato