「だけど映画は撮り続けないといけないし、お金もないってことで、そこから先、全然顔も似てない別人がその役を引き継いでるんですよ。でもどう見ても別人でヤバイってことにやっぱりエド・ウッド監督も途中で気づいたっぽくて、ドラキュラが顔を隠しながら人を襲うっていう(笑)。そういうの見てると、あ~、くだらね~!って思って安らぎますよ」
―(笑)。あ! もしかしてお笑いユニットのザ・プラン9ってこの映画からとった名前なんですかね?
「そうみたいですよ。ダメ映画界では、すごい有名な映画なんですよ。UFOも飛ぶんですけど、すごい安っぽい、灰皿を2枚くっつけただけのを釣竿で吊るしてるやつが飛んでるっていうことで有名だった。んだけど近年、実はそのUFOはちゃんと作ったものだったってことが発覚したの。要するに、誰かが一応作ったんだけど、何十年も灰皿だと思われ続けてきたくらいのクオリティっていう。ホントの灰皿よりさらにヒドイよね(笑)。そういう癒しのクソ映画っていうのは世の中にいっぱいあるんですよ」
―エピソードだけでも相当面白いですね(笑)。
「最近はサメ映画が流行ってますよね。顔が5個あって5人同時に食べれるサメとか、下半身はタコのサメとか、飛んでるサメとか、ダメ具合がすごすぎて訳がわからない。で、必ずビキニの美女がビーチでワーキャー言ってる場面から始まって、そいつがサメに食われて、っていうストーリーまで何のひねりもなく(笑)。アメリカって凄いなって思いますよ。そういうの見てると、あー、世の中ってすごいバカな奴もいるし、地球のどこかではこれで暮らしてる奴もいるんだなーと思うと、すごい癒されます」
ー愛すべきダメさですね。
「Youtubeとかもいいんですけど、やっぱYoutuberさんも頑張ってるじゃないですか。けっこう僕も魚さばいてる動画とかボーッと見るの好きだけど、言っても”俺は魚さばけるぜ!”っていうギラついた部分が多少はあるじゃないですか。でもダメ映画にはそのギラつきもズレてるっていうのがすごいんだよね」
ーゆるさがイイと。
「『2000人の狂人』っていう、これまたB級映画界では有名な作品があるんですけど、村に行ったら村人が全員ヤバイ奴で、迷い込んだ若者が次々殺されていくみたいなよくあるホラーで、スプラッターの元祖的な映画なんですけど、まずそもそも20人くらいしかいないんですよ。1980人どこ行った!?みたいな(笑)。しかも動きも全然やる気なくて、自分にカメラが向いた瞬間だけちょっと真面目に”ヤバそうな奴”を演じるみたいな瞬間とかも映ってて、すごい癒される」
―新次元の癒し(笑)。ダメ映画って、ホラーが多いんですか?
「そうですね。ホラーとかSFが多いのって、やっぱ最初は低予算で怖がらせようと頑張ったけど結果ダメだったっていうギャップが起こるからなんですよね。最初は宇宙船の壮大なセットを組もうと思ったけど、予算が全然なくて段ボールになっちゃった、みたいな。その偶然のダメさがあって初めて、真のダメ映画たりえるんですよ。逆に言うと、すごい低予算で作ってたけどハネちゃったものとかもあって。『カメラを止めるな!』もそうだし、過去にもすごい低予算でも歴史に残るような名作っていうのはたくさんある。だからスタートラインの志はみんな一緒だったんだよ。だけどだんだんダメなほうに行く人と、いい方向に行く人といるって話で。いい方しか注目されないですけど」
―切ない(笑)。
「そういう部分に癒しを感じますね。日本の特撮とかでも、地球の危機って設定なのに登場人物が5人しかいないみたいなさ(笑)。それ本当に危機なの!?っていうのとかを見ながら、あぁ、大変だったんだろうな~と現場にも思いを馳せながら、見るわけですよ。そうすると、中には妙に頑張ってるシーンとかも出てきたりして、感動してしまうという」
ーだんだん見たくなってきました(笑)。
「たとえば寝る前とかって、すごい大作とか名作を見ちゃうと、高ぶって眠れないじゃないですか。だから逆に寝る前にB級映画はめっちゃおすすめです。もしかしたらこういうB級映画って、今後は現れないかもしれないね、今ってYoutubeとかでも、必ず誰かが見てくれるって思いでみんな作ってるから、当時みたいなやっつけ仕事の作品はもう生まれないんじゃないかな」
―そうかもしれませんね。眠れない夜には『プラン9・フロム・アウタースペース』を。
「はい。あんまり残酷なシーンもないし、オススメです。しかもar女子で『プラン9・フロム・アウタースペース』見てる人いたら相当やばいよ! ワンランク上のar女子だね。おタク男子にモテまくると思う。まぁおタクのモテたいかは分かりませんが…」
・寝る前の癒しタイムにはくだらないB級映画がおすすめ。
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【ミュージシャン】
ロックバンド”オワリカラ”と特撮バンド”科楽特奏隊”のギター/ヴォーカル、ソロの音楽活動など。
【イラストレーター】
グロカワキャラ”小腸はみ出し夫”の生みの親など。
【執筆家】
いくつかのWEBサイトで連載など。
【ハイブリッドおタク】
バンドのフロントマンの固定概念を覆すガッチガチな情報量と批評眼/語り口、そしてポンコツさ。
愛するのはゴジラ/ウルトラマンを始めとする<特撮>全般、映画、アニメ、マンガ、お笑い、ゲーム、蕎麦など。
特技は<才能の無駄遣い>
座右の銘は<世界の創作物に愛を>