「誰ともお別れしないって勝手に決めていたんです」

ーーー番組の撮影前夜の心境は?回を重ねるごとに変化はありましたか?

回を重ねるにつれ、もちろんその時々の選択が苦しかったこともあります。

でも、どの瞬間もどのデートも「楽しもう」という気持ちでいました。だって私が楽しくないのに、相手が楽しいわけないじゃないですか。

だからデート前やローズセレモニーの前も、番組のルールなどは一度考えないようにして、常に「楽しみ」「楽しもう」と思いながら臨んでいました。

ーーー番組のなかで、1番思い出に残っていることは?

私、あんまり“1番”って言葉が得意ではなくて。1番も2番もなくて、すべてのデートが特別だし、すべてが大切な思い出です。

ーーーでは、自分らしさを表現できたと感じるデートやシーンはありますか?

最初は自分の行動によって(男性参加者)みんなを傷つけるんじゃないかと考えすぎて、自分の気持ちに素直になれない時がありました。でも回を重ねるうちに、私自身も正直でいないといけないなと思うようになっていったんです。

第7話のローズセレモニーで、杉ちゃんにハグをしたのもそう。今までの私だったら、黄さんを傷つけるかもしれないと思って何もしなかったけど、あの時、杉ちゃんにすごく感謝の気持ちがあったので……。

実はあの回では、誰ともお別れしないって勝手に決めていたんです。

3人のご実家に行って、その後にお別れを告げるってまるで家族が受け入れられなかったように見えちゃうじゃないですか。そんなことないんです。どのご家庭も本当に愛に満ち溢れていて素敵だったので、比べることなんて絶対できなくて。

あの日、杉ちゃんが気持ちを伝えてくれたけど自分が楽に感じていた感情に気づいただけで私の気持ちを伝えることができなくて、後悔していました。私はお別れしないという先が見えていたから、その一瞬に想いをかけて伝えることを怠ったんだと思います。

でもそう思っていた時に、それを全て正してくれたのがあの言葉だった。

杉ちゃんが「明日世界が終わるとしてもリンゴの木を植えよう」と言ってくれて。その言葉はきっと「明日ローズがもらえなくても僕は萌子さんを想っています」という意味だったと思うんです。

それを聞いた時、誰とお別れするかしないかをわかっているのは私だけなんだと気づいた。みんなは先のわからないなかで想いを伝えてくれているのに、私も同じように苦しまなきゃフェアじゃないと思い、気持ちを改めたんです。

だからローズセレモニーで『もしも明日世界が終わっても、、、』と同じルターの言葉で『”今じゃなくても”がやらなかったになるのは実に早い』という言葉をおくってスギちゃんを抱きしめました。

黄さんが居心地が悪くなるかもしれないから、次2人で会った時にしよう。とかではなく。今、自分の気持ちに素直に表現したいと思ったんです。あの時のハグは、大切なことに気づかせてくれた杉ちゃんの言葉が嬉しかったから、私も気持ちを表現しないといけないと思っての行動でした。

「私の言葉で一瞬傷ついたとしても、それから先が幸せであればいいなと思って」

ーーー最後の決断をするのにどれくらいの時間がかかったのですか?

撮影期間中ずっとです。いつ決めた、という区切りはなくて。ここまで作り上げてきた過去があるからこその答えで、撮影中の2ヶ月半という時間をかけて導き出したのがあの決断でした。

ーーー周りからのプレッシャーやお相手の男性のことを考えて、落ち込んだりしませんでしたか?

もちろん悲しかったです。私がローズを渡さないということは一生の別れ、死に別れるくらいの覚悟でいました。自分にプレッシャーをかけていたんでしょうね。

でも本当にそれくらいの気持ちで向き合っていて、もうこの人たちと二度と会えないのかと思ったら……苦しくて苦しくて仕方なかったし、涙は止まらなかったです。だって大好きなんだもん。

ーーーその気持ちは、どうやって立ち直らせたのですか?

男性たちがこの経験を経て幸せでいてくれたら、どこかで笑っていてくれたら、私も幸せだから。そんな想像をしていました。

最後の3人は特に、私のことを本当に好きでいてくれたんです。だからこそ曖昧にローズを渡したりできない。「あなたは私の求めている人ではありません」とハッキリ言わないと次に進めないと思いました。

私の言葉で一瞬傷ついたとしても、それから先が幸せであればいいなと思って。そういう気持ちで伝えた言葉は、他にもたくさんあります。