大学1年生の時、当時付き合っていた年上の彼氏とスーパーで買い物をしていました。
お会計は2千円くらい。レジにて、女子高時代に暗記したモテテクテンプレートが口をついて出ます。財布を両手に抱え、「いつも悪いよ、私も払うよ」と上目遣い。
もちろん、断られることを承知の上。
当時の私はかなりの貧乏。夢もモワっとしたもので、何か誇れる実績もありません。
年上の彼は、こう言いました。。
「払うからいいよ。その代わり、これからも俺にご飯作ってくれればいいからね」
…これがいつぞやのメロドラマだったら、「これって…プロポーズ!?キャ〜♡お料理頑張る♡」となる、かも?
仮にも 平成生まれの私、サーーーっと血の気が引いていくのを感じました。
その瞬間、このままこいつと人生を共にした時のシミュレーションが頭をよぎりました。
―例えば1年後。
私「ねえ、もう別れよう。」
男「は?俺がお前に今までいくら使ってきたと思ってんだよ!
別れるなら今までお前に払った金、全部返せ!!」
…って言われたらどうしよう…もし別れたくなっても、この人の経済力に頼ってたら、
言い出せないかも…
―例えば5年後。
男「結婚しよう!」
私「うん!!!!」
男「じゃあ今まで通り、俺の稼ぎで養うから、仕事はしないで家庭に入ってもらえる?」
私「えっっっっっっっ………????」
…どうしよう…その時この人なしで生きられなくなってたら、私これ、断われるのかな…???甘えまくってた生活レベル、下げられんのかな…????私の夢は…?仕事は…?自己実現は……????
―例えば20年後。
私「不倫するなんてもう限界、離婚しましょう。」
男「お前、この家も、子供の養育費も、生活費も、全部俺が払ってるのに、行くとこなんてあんのかよ?」
…そんな言われたらどうしよう…え…ないじゃん…つらくなったとき行くとこないじゃん人生終わりじゃん…
―例えば60年後。
爺「ばあさん、めしはまだかね」
私「あらやだ今朝は食べたじゃないの。私ゃカラオケに行って来ますよ。」
爺「そうかそうか。昼はカップラーメンで済まそうかね」
私「私がいなくてもまともな食事をしてくださいな」
爺「お前がいないと、食事も、洗濯も、風呂の用意もできないんじゃ」
先立つ私。残された爺、何日も着替えず風呂に入らず衰弱、コンビニ弁当のゴミの中で孤独死、2ヶ月後に発見…
…ここまで見えた。
私のたくましすぎるシミュレーション力によって、
数秒前までレジでいちゃつくカップルの片方だった私、スッと真顔になり、
相手の財布にものすごい力で千円札をねじ込む。
いや、今後のことなんて何も話し合ってないのにその一方的な養ってやるよ発言は何ですか???
「なめんじゃねえぞ。オメーの飯炊きバ◯アになるために生まれて来たんじゃねえ!!!!」
今タイムスリップできるなら、迷わずそのスーパーに戻る。で、これを言ってその場を立ち去る。そしてそいつとはもう一生会わない。それがしたい。
でも、当時の私にはこんな言葉は浮かばなかった。
何より、言い返したとして、これから絶対おごってもらわないなんて出来ないって思ったから。それくらい私は経済的に弱く、依存していたんです。