ー人生において”勝ち癖”って、具体的にどういうことになるんですか? たとえば仕事で勝ち癖をつけようと思ったら、何に勝てばいいんでしょうか。

「自分の感覚に合った小さな勝ちを得ていくってことかな。ミュージシャンの例で考えたら、たとえば100万枚のヒットを出すことは誰もが認める大きな勝ちだとしたら、僕は現状勝ててないし、何ならほとんどのミュージシャンは負けているわけです。でもミリオンヒットは出さないけどミュージシャンとして充実してる人もいるわけで。別の勝ちっていうのもいくらでもあるわけですよね。たとえば今日のギターソロがすごくよかったとか、それだって勝ち。そういう自分的な勝ちを重ねることが自信に一番つながるんじゃないかなー」

ー勝ち癖がついてきたら、なんか最近いい感じ!っていうモードに入れると。

その人にしかできないフォームが定着していって自分が自分で認められることが自信になると思います。結局、真の勝利って、その人がその人でいられることだと思うので。それって人によって違うよね」

ーふ、深い。

「誰もにとって億万長者になることが成功じゃないし、尊敬を集めることが勝ちでもなかったり。人それぞれ色々あるよね。その人なりの勝利があるから、そこにたどりつくためのフォームをその人なりに追求するってことかな」

ータカハシさんは勝ち癖をつけるために一段階下がったりすることはあるんですか?

「うーん、下げるというか、明らかに他の人から見たらどうでもいいことで喜んだりはしてると思う。たとえば僕もミュージシャンとしてヒットするという目標があるじゃないですか。それでこのarの連載で面白いことが言えたって、全く関係ないことじゃないですか。だけど、arの連載で面白いことが言えたら、それは勝ってるんですよ。自分にとっては勝ってる。それを誰かが面白いって言ってくれたらそれは超勝ち」

ーまた別の勝ちですね。

「それがミュージシャンとして売れるっていう目標には直結するか分からないですよ。でも全然違うステージの話でも自分にとっては意味がある、っていう積み重ねも勝ち癖だと思うんで、そういう意味では阿佐田さんの言う勝ち癖をつけるための心がけはできてるタイプかも」

ー直結はしないけど、自分的にいい感じになれると。

「そうそう。まぁでも、あんまり自信ありすぎるのも考えものだからね。めちゃめちゃポジティブすぎる人は、それはそれで成長しないそうなんで」