生理中の腰痛の原因

なぜ生理中に腰痛が起こるのでしょうか。その原因を解説します。

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ホルモン物質-プロスタグランジンの影響

生理中に腰痛を感じるメカニズムには、プロスタグランジンと呼ばれる物質が関与しています。プロスタグランジンは子宮内膜で作られ、子宮を収縮させる働きを持つ物質です。

生理は妊娠が成立しなかった場合に、必要となくなった子宮内膜が剥がれ落ちる期間です。要らなくなった子宮内膜を体の外へ出すために、プロスタグランジンが分泌されます。
しかしプロスタグランジンの分泌量が多過ぎると、子宮の収縮が強くなり過ぎて、うっ血による腰痛やむくみ、腹痛や骨盤内の血行悪化が起こってしまうのです。

日常ストレスの影響

プロスタグランジン以外の生理痛が起こる原因に、腰回りの血流悪化が挙げられます。精神的なストレスや無理なダイエット、冷えなどは血流を悪くしてしまう原因です。

そのため、生理中のダイエットは一休みしましょう。また、ストレスが過度にかからないようにリラックスして過ごせるよう、心がけてくださいね。

参考:公益社団法人|日本産婦人科医会 (1)月経困難症

子宮や卵巣の病気が原因の可能性も

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生理中の腰痛が重い原因として、子宮や骨盤の病気が考えられることもあります。もし、以下の項目で当てはまるものがある場合は、一度婦人科を受診してみましょう。

・通常の仕事や日常生活が困難になるなど、仕事や日常生活に支障がでる程の痛みがある
・痛みが以前よりも強くなってきた
・経血量が多くなってきた
・経血にレバーのような血のかたまりがたくさん混じっている
・今まで使っていた鎮痛薬が効かなくなった
・強い痛みが4日以上続く
・月経のとき以外にも下腹部痛がある

参考:慶応義塾大学保健管理センター|月経痛と上手に付き合おう!(pdf)

少しでも快適に-生理時の腰痛対策

生理痛の腰痛って、重く鈍い痛みがつらいですよね。ここからは、生理時の腰痛対策をご紹介していきます。

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からだを温める

生理痛に感じる下腹部の重い苦しさや痛みの原因は、骨盤を中心として血流が滞ってしまうことです。

お風呂につかったり、腰回りを温めたりすると、血流が改善され痛みが和らぎます。
お腹まわりを温めるという意味で、生理中のファッションは、お腹まわりを包みこむものがおすすめです。冷房が効いているお部屋場所では、ブランケットなどを利用して身体が冷えないように予防しましょう。
腰にカイロを貼ったり、ホットパックを当てたりして直接温めるのも効果的です。

生活リズムを整える

ただでさえ生理中は、ホルモンバランスが崩れやすい期間です。ホルモンバランスの揺らぎは、ストレスや疲れの原因にもなります。
バランスの整った食事、良質な睡眠、規則正しい生活リズムを心がけて、心と身体の負担を少しでも軽くしてあげましょう。

ストレッチなど軽めの運動

少し動ける程度の痛みであれば、ストレッチなどの軽めの運動をすることも有効です。
じっと動かないままでいると、血行が悪くなる原因にもなります。ウォーキングやストレッチなどの軽めの運動をして、体をほぐしましょう。血行促進やリフレッシュの効果が期待できますよ。

漢方薬や薬を使った月経痛対策

身体をほぐしても痛みが引かない時は、我慢し過ぎず薬に頼ってみましょう。月経痛に使われるお薬について解説します。

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鎮痛薬

生理痛はプロスタグランジンという物質が原因で起こります。したがって、体内でプロスタグランジンが作られるのを抑えてくれる、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)という種類の鎮痛薬が有効です。
『痛みを感じたら、我慢せずにできるだけ早く飲むこと』が、鎮痛薬を使う場合のポイント。
体内にプロスタグランジンが多く溜まってしまうと、せっかく鎮痛薬を飲んでも効果が出るまでに時間がかかることがあるからです。

ストレスはプロスタグランジンの産生をさらに増やしてしまう原因にもなります。痛みを我慢することは身体にとってストレスなので、痛みを感じたら早めに痛み止めを飲んで、つらい時間が短くなるようにしましょう。

低用量ピル

生理時の腰痛が強く、鎮痛薬では痛みを抑えられないケースでは、低用量ピルの使用も検討されます。
低用量ピルは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類のホルモンが入ったお薬です。
卵巣から分泌されるホルモンの量を減らすことで、生理の経血量を減らす効果があります。低用量ピルが必要となるかどうかは医師が判断します。症状の重い方は、まずは一度病院で受診をしてくださいね。

漢方薬

生理時の腰痛対策として、漢方薬が使われるケースもあります。
生理痛に使われる代表的な漢方薬には、当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸などがあります。

漢方薬は、体質や体の状態に合わせて処方されるお薬です。同じ症状でも、合う漢方薬が人によって違うこともあります。
たとえば同じ生理痛でも、PMSにも悩んでいる方には加味逍遙散、便秘がひどい方には桃核承気湯、むくみを強く感じる方には当帰建中湯が検討されるといった具合です。
漢方薬はドラッグストアなどでも購入できますが、自己判断で長期間服用していると、副作用が起こってしまうことがあります。一定期間服用しても改善が見られない場合は、医師や薬剤師に相談してくださいね。

まとめ

生理痛の腰痛の原因は、プロスタグランジンが多く分泌されることにあります。生理中は腰回りを温めたり、軽いストレッチをしたりして血行が良くなるようにしてあげましょう。
ストレスも痛みを起こしてしまう原因です。生理中はゆったりモードで過ごしてくださいね。鎮痛薬を使う場合には、我慢しないで早めに飲むことも忘れずに。

テキスト/みち89