信頼できるクリニックの探し方、皮膚科専門医に聞いてみた


―クリニック選びでは着目すべきポイントはなんですか?

必ず見てほしいのは医師の専門性と経歴。美容医療であれば、「日本形成外科学会認定形成外科専門医」または「日本皮膚科学会認定皮膚科専門医」を取っているかが大きなポイントです。「専門医」は箔の付いた信頼のある肩書きなので(※)、クリニックの看板でも堂々と標榜することができます。ちなみに○○学会所属とうたって信頼を得ようとするクリニックもありますが、学会にはお金さえ払えば所属することができますから、それだけでは安心材料にはなりません。各学会のサイトには、全国の専門医一覧が載っていますからそこで確認するのが安心ですね。クリニックに直接電話して、医師の初期研修先、専門医資格の有無を聞くのも手です。

※慶田先生によれば、医学部を卒業し、大学病院などで5~6年間研修した後、専門医試験に合格して専門医になることができるとのこと。日本皮膚科学会認定専門医の数は全国に7,000名弱ほど(日本皮膚科学会公式サイトより。2022年7月現在)。


―専門性に欠く医師も存在するのでしょうか?

残念ながらいます。なぜ、これほどまでに専門性と経歴の重要性をお話するかというと、最近は研修を十分に受けずにクリニックに所属して事故を起こす医師が増えているから。美容医療といえども、命にかかわる重大な事故が起きるケースもあります。万が一、患者さんが皮膚がんを発症していたにもかかわらずそれを見落とし、そこにレーザーを当ててしまったとしたら…がんが転移するなんてことも十分あり得ますからね。そういった意味で、一般的な疾患を診ることができる専門医のところで美容についても相談できた方が絶対に安心です。

―受診を考え直すべきクリニックの共通点などはありますか?

「カウンセラー」と呼ばれる人が在籍し、治療の相談に乗っているクリニックはまず疑った方が無難ですね。というのも、患者さんの治療方針を決められるだけの知識や技術を持っているのは「医師」ですから、カウンセラーが治療方針に口を挟むのはおかしなことなんです。また、本来、美容医療は絶対にやらなくてはいけないものではなく、個人の自由意志によって選択されるべきもの。それを踏まえると、無理に治療を勧めてくる医師も違和感がありますよね。安値で治療を契約させ、オプションメニューを追加させてお金を儲けようとする商法もよく聞きますから、最終判断を値段に頼るのはあまりオススメできません。リスクやコスト、治療の限界点についても正直にお話してくれる医師がいいと思います