本当は兄弟が欲しいけど、仕事や金銭面、時間や心理的な面などを理由に第2子をためらってしまう「2人目の壁」。公益財団法人1more Baby応援団の調査によると、そんな「2人目の壁」を感じている人は78.6%にものぼるのだそう。今回は5歳の子を持つar編集長・足立と、1歳の子を持つ本企画のライター・日笠、そして5歳の男の子と2歳の女の子を持つモデル・宮城舞さんの3名でトーク。第2子出産のタイミングや2人育児について、数字だけでは見えてこないリアルな「2人目」事情を伺いました。

コロナ禍で家族の大切さに気づき2人目を決意

2人目は計画的だったという宮城舞さん。
日笠
足立さんは5歳のお子さん、私は1歳半の子供が1人。いわゆる「2人目の壁」というものを感じている真っ最中なわけなんですが、2人兄妹のお母さんである宮城さんは、2人目のご出産は計画的だったんですか?
宮城

計画的ですね。ただ、もともとは2人欲しいと考えていたけど、1人目の出産後しばらくは自分のキャパ的に「1人っ子じゃなきゃ無理だ!もう産めない!」と思っていました。でも、上の子が2歳半くらいの時にコロナ禍になって…。他人と気軽に会うことが難しくなった時に、私自身が自分の弟と妹に頼ることがすごく増えて、“家族が親以外にもいる”っていいなと思うようになったんです。
兄弟には親の愚痴も気軽に話せるし、逆に両親に何かあった時に相談も協力もできる。そう実感した時に、“2人欲しい”と思っていた気持ちが蘇ってきたというか。

日笠
たしかに自分自身の兄弟構成ってかなり影響されるかもしれません。私は自分が1人っ子なので、兄弟がいる暮らしっていうのがあまり想像できないんですよね。
足立
兄弟でも、仲が良い家もあればそうじゃない家もあるよね。私は兄がいるけど、一緒に出かけたこともあまりないし、仲が悪いわけではないけど、兄弟がいてよかったと感じることもそれほどなくて。だから自分の子も「別に一人でよくない?」って思っちゃうのかも。
日笠
私の場合は体外受精で授かっていて、また産むとなった場合もおそらく体外。となると、タイミングが完全に自分次第なんです。自分から動き出さなくちゃいけないから、余計にハードルが上がってしまって……宮城さんは妊娠・出産のタイミングを考えるなかで、上のお子さんとの年の差などを意識することはありましたか?
宮城
上の子が3歳の時に第二子を妊娠したんですが、そのくらいの年齢になると“対人間”という感じで、ちょっと楽になるんですよね。ある程度話もできるし、自分的に気持ちの余裕もできて“「なんか産めそう!」って思えるようになったかも。
日笠
妊娠中の子育てはどうでしたか?
宮城

私はすごくお腹が張りやすかったので、妊娠中は抱っこもあんまりしてあげられなくて。保育園のお迎えの帰り道とかに、「抱っこしてよ」って泣かれて切なくなったこともありました。
それに、つわりが酷くて寝ていることも多かったし、出産の時には入院もするから、パパに慣れてもらわなきゃと思って2人で出かけてもらう機会をすごく増やしたんです。そうしたらだんだんと上の子が私に甘えなくなって、「妹はママ、僕はパパ」って、もともとママっ子だったのにすっかりパパっ子になってしまったのは、すごく寂しかったです。

日笠
成長といえば成長だけど、たしかにそれは寂しいかも。
足立
実際、2人目産んでみてからはどうでした?
宮城
大変でした(笑)。 でも、4学年離れてると、 やっぱりお兄ちゃんもある程度は妹のお世話ができるんですよね。2歳差とか年子だったら、私は育児ノイローゼになってもおかしくなかった。3歳以上離れてると可愛がってくれて、助けてくれることもあって、この学年差でよかったな…というのは産んでからもすごく感じます。
日笠
そうか、私はまだ子供が1歳半なので「ここにもう1人って…」と思うと不安も多いけど、3歳にもなるとそんなに余裕が生まれるんですね。
足立
家族が4人になって、旦那さんとの関係は変わりましたか?
宮城
よりチームになった感じかな。旦那さんもどんどん子煩悩になっていって、 子供2人を連れて出かけることができるようになりました。最近は私以外の3人で旅行にも行っちゃってます。

一人っ子よりも肩の力を抜いて育児ができるように

「下の子の育児は“1人目と同じことをもう1回”っていう感覚ではないかも」
足立
私も、兄弟がいたらいいなとは思うんだけど…。一人っ子だと、まだ家の中に大人の人数のほうが多いじゃないですか、父、母、息子って。でも子供が2人となると、もう対応できる気がしないというか。それに、一番ネックなのはやっぱり「仕事どうすんの?」っていうところかも。
日笠
わかります!仕事と子育ての両立は、1人の時と2人目の時で変化はありましたか?
宮城
我が家の場合は2人目が生まれる前から保活をしていたのが大きかったです。もう1人増えても預ける場所があるっていう安心感があったから、2人になったほうが仕事しづらいみたいなことは意外とないかも。ひやひやするのは、どちらかが体調を崩した時だけかな。「お願いだからうつらないで!」みたいな。
足立
たしかに病気は兄弟だと本当にきついですよね。
宮城
子供たちが胃腸炎になって、汚れたシーツを泣きながら洗ったこともあります(笑)。
日笠
他に2人育児で大変なことってありますか?
宮城

色々あります。保育園の送り迎えの時、自転車の後ろと前にそれぞれ乗せてるんですけど、2人とも同時にずーっと喋ってる。どちらにも返事をしないと怒られるから、聖徳太子にならなきゃいけないのが大変ですね(笑)。
あとは食の好みも違うので、2人が食べられるものをそれぞれ作らなきゃいけない。こっちは肉が好きだけどこっちは食べない、とか……。

日笠
そういう時はどうしてますか?
宮城
2パターン用意して、食べなかったら別のものをあげることが多いかな。まぁでも、食事も1人目の時は食べないとすごく心配してたけど、2人目になると「食べないの?オッケー」みたいな(笑)。
足立
たしかに1人だけだと過保護すぎちゃうかなって思うこともあって、周りのお母さん達を見てても兄弟がいるといい感じに力の抜けている人が多い気がする。
宮城

1人目ってすべてが初めてだから完璧にやりたいと思い過ぎちゃうけど、2人目になるとそれが少し緩和されて、いい意味で肩の力を抜いて育児ができるようになりました。
お宮参りやお食い初めとかの行事も、1人目はすごく張り切ってたけど、2人目は無理ない範囲で…ってなるし。離乳食も「そんなきっちり量らなくてもいけるな」みたいな。下の子の育児は“1人目と同じことをもう1回”っていう感覚ではないかも。

足立
逆に2人産んでよかったな、楽しいなって思う時はどんな時ですか?
宮城
楽しいことばかりですよ!下の子がもうすぐ2歳になるけど、だんだんと会話もできるようになってきて、兄と妹の掛け合いを見ているだけで面白いんです。一緒に寝てる姿も可愛いし。2人でいる光景を見ると微笑ましくて、日々の大変さよりも、幸福感で満たされることの方がずっと多いですね。あと、うちは兄弟で性別が違うことで、おもしろいと感じることも多いです。
日笠
やっぱり男の子と女の子とでは違いますか?
宮城
遊び方も、成長の仕方も全然違う!喋り方や仕草、 興味を持つものも違って、下の子とはもう“女友達”って感じで笑いあったりしています。

上の子の“お兄ちゃん・お姉ちゃん”姿に萌えるのは兄弟の特権

「どうして妹にばかり優しくするの」と息子に言われてしまったこともあります。
日笠
私がもし2人目を…って想像したら、バランスよくどちらも平等に接してあげられるかが心配で。宮城さんが日頃から気をつけていることはありますか?
宮城
どうしても、ふとした時にお兄ちゃんを我慢させてると感じることはあります。例えば、今は下の子が上の子のおもちゃを全部欲しがる時期で、貸さないとその場が収まらないからそういう時に我慢させちゃう。「どうして妹にばかり優しくするの」と言われてしまい申し訳なく思ったことも。そういう時は、“あなたはすごく特別だよ”っていうのをたくさん伝えるようにしています。最近だと息子と2人だけでディズニーランドに行きました。
足立
2人の時間を持つのが大事って言いますもんね。
日笠
たしかに、意識してそういう時間を設けないと日々があっという間に過ぎていっちゃいそう。
宮城
あとは、下の子が1人遊びをしてる時にお兄ちゃんをこっそり抱っこしてあげたり、「妹には内緒ね」って2人の秘密を作って特別感を出すようにしています。
足立
なるほど、マネジメントだ。
宮城
実際、1人目ってすごく特別じゃないですか。その子に起こる出来事も、感情もすべて初めてのことばかりだし。 そんな1人目の子が“お兄ちゃん”してる姿って、すごく萌えるんです。「そんなことできるようになったの!?」って。
日笠
たしかに! それは1人っ子を育てていたら見られない姿ですよね。
宮城
下の子も赤ちゃんが大好きだから、もう少し大きくなったら2人で一緒にお世話してくれそうだな、なんて想像もしたりして。
足立
じゃあ3人目も……?
宮城

今はまだ考えてはいないけど、下の子が2歳になってちょっと楽になってきたら、ありかもとは思うようにはなりました。「3人目もいけなくもないな!」みたいな自信は、2人産んでみて感じています。

Photo:Hanamura Katsuhiko
Text:Hikasa Reina
Hair Makeup:Tsujimura Yukie